エッセイ
「“姫”が“男”になったら&その逆2」


こんにちは。RIOです。

相変わらずなんだか微妙なタイトルのエッセイですが、今回は第2回目です。
内容は、有名な物語でよくある『~姫』とか『~太郎』のタイトルをそれぞれ『~男』とか『~女』のように性別を逆にしたら、その内容はどのようになってしまうのかを考えてみようという画期的なエッセイです。《どこが画期的やねん》
それでは早速始めます。



人魚姫』→『人魚男

ある嵐の夜、人魚男は海で溺れていた王女様を助けます。
なんで王女様が嵐の夜に海で溺れていたのか…それは誰にも分りません。《分からんのかい》
とにかく溺れていた王女様を助けた人魚男は、王女様の美しさに一目ぼれしてしまいます。
しかし人魚男は、体だけはたくましい筋骨隆々の立派な男性のボデーでしたが《ボデーゆーな》
残念ながら首から上の顔面と頭部だけが魚とゆー外見。うーんこれはなんとも…。《そっちのタイプの人魚やったんかい…》
今はまだ気を失っている王女様ですが、意識を取り戻して自分の姿を見られたが最後、きっと王女様は悲鳴を上げて逃げていってしまうでしょう。
これは絶対に自分の姿を見られてはいけない…。
でもこの美しい王女様を置いて去って行けない…。
とりあえずなんとか誤魔化そう。《そんなんでええんかよ》
そう考えた人魚男は、たまたま近くにあった漁師小屋の中に王女様を運び、たまたまそこにあった毛布を王女様に被せます。《えらいたまたまばっかり重なってるな》
そしてスマホを取り出すと《人魚男ってスマホ持ってんの?》
ネットでイケメン男子の画像を探してダウンロードし、画像の顔の部分だけを切り取り加工します。《なんとなく企みが分かってきた気がする…》
爽やかなイケメン男子の笑顔…うーん、ほれぼれしそうなイケメンフェイス。《なんでほれぼれしとんねん?》
人魚男はその加工した画像をGoogleドライブに一旦保存。
急いで海に飛び込み、海中の自宅に帰ってPCとプリンターを立ち上げると、Googleドライブに保存したイケメンの顔をA4用紙に印刷します。《やっぱりそれやろうとしてたんか》
印刷した紙を手に取った人魚男は悪態をつきます。
「なんてこった!!白黒画像やないかい!!」
人魚男の自宅のプリンターは、カラー印刷できない機種でした。《細かい設定やの》
考えあぐねた人魚男はその印刷した画像を、白人イケメン男子という事にします。《マジかよ》
そして印刷したイケメン画像を上手に切り取り、お面を作ります。
そのお面をジプロックに入れて海中を泳ぎ、再び漁師小屋の王女様の元へ急ぎます。
王女様はまだ気を失っています。
人魚男は急いでジプロックから取り出した白黒のイケメンお面を被ります。
そしてちょうどその時、王女様が意識を取り戻します。
起き上がった王女様は辺りを見回し、イケメンのお面を被った人魚男に言います。
「ここはどこ?私は誰?あなたは誰?」
人魚男は優しく答えます。
「あなたは海で溺れていたんですよ。きっとあなたは王女様だと思います。そしてぼくは、ただのマッチョなイケメンです」《自分で“マッチョなイケメン”ってゆーなよ》
王女様は言います。
「溺れてた?私が王女?…わけが分からない。あなた…なんで上半身裸なん?確かにマッチョやけど」
人魚男はさらに優しく言います。
「あなたはまだ混乱してるようですね。でも早くお城にもどらないと、みんな大騒ぎしてると思います。しばらくここで休んでからお城にお戻りください」
すると王女様は
「ちょっと待って。めっちゃお腹空いた。このままじゃ動けない…」
人魚男はイケメンお面の下で困った顔になります。
でも見た目は爽やかに笑っています。《そらそーやろ》
「王女様、今なにが食べたいですか?」
王女様はしばらく人魚男のマッチョなボデーをじっと見つめた後、こんな事を言います。
「魚の煮付け」
それを聞いて人魚男は思わずギョギョッとします。魚だけに。《上手いこと言わんでええねんて》
「いや、それはちょっと…他には?」
「魚の煮付けが食べたい。無性に食べたい。お頭付きのんがええわ。そー言えばあなたのボデー、色も雰囲気もまるで魚の煮付けみたいやね…美味しそう」
「これは困りましたね。ここにはそんな食べ物無いですし…」
「あー…ご飯と魚の出汁の効いた味噌汁もあれば最高」
「ええ…💦王女様ってそんな料理も食べるんですか?」
王女様は怪訝な表情になります。
「あのさ、さっきから私の事を王女様ってゆーてるけど、私は王女様ちゃうよ?」
「え…でもその王家の紋章のネックレスが…」
「ネックレス?…ああ、これはうちのオカンが趣味で作ってくれたやつやねん。ああ見えて意外と手先が器用で感心するわ~」
「ああ見えてって言われてもあなたのオカン見た事ないから。……という事は、あなたは王女様ではないと?」
「ちゃうちゃう。あたしは漁師見習いやねん。私は魚が大好きやねん。だから漁師になったんやもん。あ…そうか!」
「どうしました?」
「あたし、さっきも漁に出てたんやった。でも嵐に遭って…そこから記憶にないわ」
人魚男は王女様…いや、自称漁師見習い女をじっと見ながら
「でもどう見てもその衣装は王女様の衣装ですよね?そんな恰好で漁をしてたんですか?」
「そんなん人の勝手やん。大将からも色々言われたけど、あたしはこの恰好が好きやねん。どんな恰好で漁やったってかまへんやん」
と、少し不機嫌になります。
「いや、だけど王女様…」
「王女様ちゃうってゆーてるやん、しつこいな。それよりなんか食べ物ないの?」
「今ここに食べ物は……あ、じゃあ町に出てマクドでなんか買ってきましょう」
「あたし今はマクドの気分ちゃうねん。ほんでさっきからあなた、なんで笑ってるん?しかも爽やか気味に」
「いや、それは…」
自称漁師見習い女は立ち上がり、人魚男に近付くとじっと顔を見つめます。
人魚男はじりじりと後ずさりしますが、自称漁師見習い女は目も逸らさずぐいぐいと詰め寄ってきます。
「………それ、なんか被ってる?」
人魚男はめっさ焦ります。
まさかこの爽やか笑顔のイケメンお面がバレるなんて!!
ここはなんとか誤魔化さないと💦
「はい、被ってます。あえて被ってます。ちょっと訳がありまして…」
「なになに?訳ってなに?なんでそんなん被ってんの?なにーな?なんでなん?」
そのぐいぐいと来るしつこさに人魚男はタジタジです。
「あの、その、ああ、今度ボディビルダーの大会がありまして。それの練習を…」
「あーマッチョなんはそーゆー事か」
簡単に納得されたので人魚男は拍子抜けします。
しかし自称漁師見習い女はニヤニヤしながらこんな事を言い出します。
「私が手伝ってあげようか?」
「手伝うって、何をですか?」
すると自称漁師見習い女は急に叫び出します。
「胸がケツ~!!腹筋板チョコ~!!肩がメロン!!脚ゴリラ!!仕上がってる~!!」
人魚男はつぶやきます。
「王女様…いや、あなたは大会に行った事あるんですか?」
「無いって。あたしはマッチョに興味ないし。そんな事より……」
と言いながらキラキラした目でさらに近付いて来ます。
人魚男はとうとう壁際まで追い詰められ、身動きできなくなります。
「な、なんですか?」
「そのお面の下の顔、見してーや。どんな素顔なん?」
「嫌、ダメです!人には見せられません!」
「人にはって、あなたも人やねんから。なぁ見してーや。もしかして素顔もイケメンなん?」
「そんなわけ無いじゃないですか。イケメンじゃないからこうしてイケメンのお面で隠してるんですから」
「そうなん?ますます見たくなってきたやん」
「やめてください。もうお帰りになってください。お城…いや、家の人が心配してますから」
「わかった。あなたの素顔を見たら帰るわ。だから見して」
と言いながら、人魚男のお面に手を伸ばす自称漁師見習い女。
人魚男は叫びます。
「あ!ダメです!!」

夜の漁師小屋から、大きな叫び声がします。
「煮付け~!!」
「お頭付き~!!」
「しかものどぐろ~!!」
「キンメが良かったのに~!!」
「仕上がってる~!!」

その後、人魚男の叫び声がします。
「ほっといてくれ!!」




次回は『太郎』→『女』でやってみます。

ほなね~♪