男女の会話35

「熱いのが平気な歩き方」


男:こんばんは。男です。
女:グッドイブニング。女です。だからってイブニングドレス姿やないですけど。
男:なんで英語で挨拶しとんねん。イブニングドレス?キミはそんなドレス着たことあんのか?
女:脱いだ事ないですね。
男:へ~マジで?脱いだことないんやぁ…。……って、当たり前やがな!どうせ着たこともないんやろ?危うく騙されるとこやったわ。
女:なんにも騙してまへんけどね。着た事ないから脱いだ事もないってだけの話で。
男:もうええわ。面倒くさいし。ところで話は変わるけど、連日暑いよな。キミは体調大丈夫か?
女:今のところ大丈夫です。暑さには強い方なんで。熱い豆腐でも丸ごと食べられますし。それこそマリリン・モンローの『お熱いのがお好き?』みたいな。あたしの場合は『お熱いのも大丈夫♪』やけどね。
男:そっちの熱さちゃうねんて。ほんでマリリン・モンロー出してくんなって。いちいち面倒やから。
女:ええですやん。マリリンぐらい出したって。
男:マリリンゆーな。モンローって言え。で、ほんまに熱い豆腐を丸ごと食えるんか?
女:そっちが気になりはりましたん?熱い豆腐を丸ごとね。いや、ちょっとだけ見栄張りました(照)豆腐をまるごと食べられる口の形してまへんので。
男:口の形とかの問題ちゃうやろ。大きさやろ。でも結局熱いのは平気なんやな?
女:気温が?
男:豆腐や!!“熱い”の字がちゃうやろ。
女:気温もまぁまぁ平気ですけど、豆腐の熱さも平気ですよ。豆腐だけやなくて、できたてホヤホヤのマリリンの小籠包とかでも大丈夫でっせ。
男:マジかい!?あれは熱い汁もいっぱい出るからなかなかひと口で食べられへんぞ?かじるだけでも大変やのに。ってかさ、なんで小籠包にマリリンくっ付けるかな。やめてくれへん?
女:かじるなんてもったいない。あの汁が満タンになってる状態で口に入れて、口の中で弾けさせるのがマリリンの小籠包のモンローの醍醐味なんです。
男:無理やりモンロー付け足しやがったな…。ほんでもしかしてそれ、冷めた小籠包ちゃうやろな?
女:さっきから熱いやつやーゆーてますやん。
男:いや、またどっかで“言葉の詐欺”まがいのテクニックを駆使してるんちゃうかなと思って。うーん、信じがたいな…。
女:あ、あとね、熱いスープとかでも平気です。
男:液体もか。すげーな。それはすごいな。すごいと思う。
女:あたしはこう見えて“キャット・タン”やないですから。
男:“猫舌”じゃないってゆーた方がわかりやすいんやけどな。
女:“キャット・タン”ではないですが、“キャメレオン・タン”の女と呼ばれております。
男:キャメレオン?……ひょっとしてカメレオンのことか?
女:訛って言えばそうなりますね。
男:キミが訛っとんねん。ほんじゃキミ、カメレオンみたいにあんなに舌がビヨォ~~~ンって伸びるんか?
女:そうそう。遠くにおるハエに向かって伸びるんです。
男:よりによって対象もカメレオンなみにハエなんかい?
女:ハエはわかりやすくするためのイメージですがな。まぁ正直にゆーとあたし、ハエよりお菓子のカスの方がありがたいですけど。
男:なんでカスやねん。カスもいまいちやけどな、イメージ的に。ハエよりはマシな程度かな。
女:だけど伸びた舌をまた口の中に回収するのが面倒なんです。
男:面倒なん?まるで消火訓練の後の放水ホースの片付けみたいやな。それはカメレオンとはちょっと違うよな?
女:そらそーでしょ。だってあたしはキャメレオンちゃいますから。
男:いや、だってさっきキミ、自分でゆーてたやん。
女:あたしがゆーたのは“キャメレオン・タン”の女。“キャメレオン”やとはゆーてまへん。
男:腹立つわ~。まぁええけど。
女:あたしのこの“キャメレオン・タン”でダーツしたら、優勝すると思いまっせ。
男:伸びる舌でダーツ?すなすな。汚いやんけ。
女:まぁ確かに。雑菌に気を付けんとねぇ。
男:いや、ダーツが汚れるから。
女:そっちでっか?あたしの“キャメレオン・タン”を舐めたらあきまへんで?
男:舐めるかい!それってマジで舌同士の……いや、ええわ。キミの“キャメレオン・タン”の話はもうええから。熱いのが平気って話のはずやろ?
女:気温ですよね。
男:豆腐や!!“熱い”の字がちゃうやろ。ってまたこのくだりやっとるがな。
女:小籠包も忘れてはりますよ。できたてホヤホヤのマリリンのやつ。
男:マリリンはええから。わかっとるわ。なんでいちいちそこまで言わなあかんねん。
女:あとスープも…。
男:しつこいな、キミ。
女:モンロー・ウォークはできまへんけど、キャット・ウォークもできまへん。
男:どっちもできひんのになんで言い出したんかわからんねんけど…。
女:キャメレオン・ウォークは得意です。
男:またカメレオンかよ。ちょっと待った。カメレオンの歩き方…え?どういう歩き方や?
女:知りまへんの?あたしのキャメレオン・ウォークはこんな感じです。

 

 

 


男:ふざけた歩き方やな…。わざとか?
女:わざとやなくて、こういう歩き方ですってば。
男:この曲に合わせて歩いてるんちゃうんか?
女:ちゃいますって。あとからこの曲をかぶせてるんですってば。
男:キミ、こんな歩き方してんのか?
女:場合によっちゃね。
男:どんな場合やねん?そんな場合ってあんのか?酔っ払ってるみたいやん。
女:あたしは酔っ払った姿を人の目にさらさない女なんで。
男:えっと、それはなんで?
女:かっこ悪いやないですか。酔っ払った女の姿なんて。そんなん人に見られたくないですよ。
男:うむ。それはわかるんやが…だったらあのカメレオン・ウォーク?あれも見せん方がええんちゃうの?
女:あたしのキャメレオン・ウォーク?なんでですのん?あんなかっこええ歩き方、見せたくなるってもんですがな。
男:キミのその感覚、オレにはようわからんな。ハッキリ言ってキャット・ウォークの方がかっこええと思うで。
女:ふふふ。だからってマンさんがキャット・ウォークしたところで全然似合いまへんけどね(笑)
男:誰がオレが似合うってゆーた?そう言うことやなくて…。あとずっと疑問に思ってるんやけどな…。
女:なんでっか?
男:カメレオンの歩き方ってさ、結局4足歩行やん。キミ、4足歩行してんのか?まさかそれはないやろ?
女:さすがのあたしでも普段は2足歩行です。4足歩行はキャメレオン・ウォークの時と、夜寝る時に寝床に入る時。そして朝起きてトイレに行く時。あとは酔っぱらった時。以上です。
男:どんな生活しとんねん、キミ。ほんでさっきキミは『あたしは酔っ払った姿を人の目にさらさない女なんで。』ってゆーてたよな、偉そうに。でもよう聞いたら『あんなかっこええ歩き方』とかゆーてるし。話が矛盾してへんか?結局なんでカメレオン・ウォークするんかもようわからんし、一番気になるのは、酔っぱらって4足歩行するのはなんで?全く意味がわからんねんけど。
女:あたしにもわかりまへん。だってヨッパやから。意味もわからずやってますので。
男:本人が意味わからんかったら、オレはもっとわからんよな。わかった。モヤモヤしてるけどあきらめるわ。
女:そういうマンさんは“ナンバ歩き”が似合いますで(@_@)
男:今度はオレの歩き方かい。ナンバ歩き?なんやそれ?
女:あたしもよう知りまへんけど、昔の日本人はナンバ歩きやったとか…。今の人って…日本人に限らず世界中の人ですけど、左右の手と足を交互に動かして歩くやないですか。
男:えーっと、確かに。
女:ナンバ歩きは、簡単に言うと右手と右足が前に出てる時、左手と左足が後ろに。次はその逆…って感じの歩き方ですねん。
男:ん…あれか?緊張しまくった人が手と足を同時に出して歩く…あんな感じか?
女:まぁそんなニュアンスですね。動画を見ればそんなにマヌケやなくて、もうちょっと自然に歩いてるように見えますけど。
男:そうなんや…。で、オレに似合うのがそのナンバ歩き?その根拠は?
女:根拠はズバリ!!なんとなくです。
男:聞かん方がマシやったな。
女:で、なんで歩き方の話になったんでっか?
男:知らんから。キミが言い出したんやろ?
女:あー…お熱いのが平気♪からモンロー・ウォークでしたっけ?なかなか有意義な会話でしたね。
男:どこが有意義やねん。なんの役にも立たん話やがな。
女:そう?じゃ今度はちゃんとモンロー・ウォークとキャット・ウォークをなんばウォークでできるように練習しますわ。マンさんもなんばウォークでナンバ歩きしてくださいね。
男:ここでなんばの地下街、なんばウォークを出してくるとは!!全く予想……できてたかも( ̄▽ ̄;)
女:負けず嫌いでんな、マンさん。
男:やかましいわ!!今日は撤収や。
女:えー?ちょっと早いでんな。
男:もう十分や。また次回楽しめばええやろ。
女:ま!マンさんはこの会話、楽しんではるんですね?
男:まぁちょっとはな。楽しまんとな。キミも楽しんでるやろ?
女:あたしはそうでもないかな(ㅎ.ㅎ )
男:シバいたろか。はいはい、撤収やぞ。
女:わかりました。そろそろイブニングドレスに着替えます。
男:着替えんでええから。じゃあまたな~。
女:ほなね~♪

終わり