男女の会話27

「それってもはや…」


男:こんばんは。男です。
女:わんばんこ~。女の中の女です。
男:わんばんこって…鶴光師匠か。
女:ワンコインで思い出しましたが。
男:わんばんこやろ。ワンコインゆーてへんやろ。
女:最近困ってますねん。
男:人の話聞いてんのか?
女:聞き捨ててます。それより困ってますねん。
男:聞き捨てるなよ。ほんでなにに困ってんねん?
女:500円玉なんですけど。
男:玉ゆーなよ。500円硬貨やな?
女:話の流れからゆーて、多分それやと思われます。
男:それしかあらへんがな。
女:あたしは幼少の頃からずっと、玉って呼ぶように躾けられてます。
男:それ躾けとかやないと思うけど。
女:じゃあアメ硬貨?けん硬貨?硬貨乗り?くす硬貨?金硬貨?
男:最後のはキミがゆーたらあかんやつや。
女:ちゃんと言えなくてごめんなさい。
男:言わんでええねんて。ほんでさっきから屁理屈ゆーとんな。いつものように。
女:マンさんがあたしの話を茶化すからですやん。
男:茶化してへんがな。で?500円硬貨がどうしたん?
女:最近、自販機で使えん500円玉がちょこちょこありますねん。
男:ああ、新硬貨が出回りだした頃のあるあるやな。
女:同じ価値のお金やのに困ります。なんとかゆーといてもらえまへん?
男:オレが?誰に?
女:お金屋さんに。ちゃんと使えるお金売ってくれって。
男:お金屋さん。キミ、お金屋さんでお金買った事あんのか?
女:直接はまだないです。なんてったってしがないリーマンショックですから。
男:ショックはいらんやろ。リーマンな。いや、OLか?
女:OとLの間に💝を挟むと、OILになるよん。
男:その情報、今必要か?“I”を挟むってことやんな…もしかして“愛”か?
女:正解!マンさんには縁のない愛です。
男:やかましいわ。オレのこと言えた立場かよ。
女:言えまくりですよ。あたしは多くの愛を注がれて生きてきましたから。
男:多くの愛?ほんまかよ。
女:ほんまですよ。だから愛子って名付けられたんですから。
男:なに!?キミって愛子って名前やったんか!?
女:んなわけないですやん(笑)
男:嘘なんかーい。ようそんな平気で嘘付けるよな。
女:愛の話なんてどーでもええんです。500円玉が使えんって話です。
男:新しい硬貨に対応してへん自販機が多いねん。半導体不足もあるからもっと時間かかるんちゃうか?待たなしゃーないな。
女:えー…時間ないのに。いつまでそこで待たなあきまへんの?
男:ひょっとしてキミ、自販機の前でじっと待つつもりなんか?
女:え?もしかしてテントとか寝袋も必要?BBQセットと木炭も?トランプとかUNOとかも?ツイスターゲームも持って行く?
男:どこの自販機の前でテント張ってBBQとかそんなゲームしとんねん。邪魔過ぎるわ。
女:だってそんな長い事待てまへんがな。
男:あのな。新硬貨に対応すんのはもっと時間かかるから。自販機の前やなくて家で待っとけ。
女:家で?ツイスターゲームして?
男:せんでええがな。普通に待っとけよ。
女:将棋でもええかな?
男:してもせんでもええけど。普通に過ごしとけって。
女:じゃマンさんと将棋で勝負しましょ。マンさんは飛車角金銀全部あたしに譲ってね。
男:絶対負けるわ。自信あるわ。
女:そうかな?マンさんは王将やなくて玉将やのに?
男:いつからオレの方が玉将って決まったん?
女:マンさんが男やから。
男:男やから玉なんかい!ほんで王将は強い方が持つんやからやっぱりオレの方が負けそうやな。ってか、飛車角金銀なかったら手足のない状態やないか。
女:なるほど…あたしに例えたら、カツラと付けまつ毛と付け鼻と入れ歯のない状態か…。
男:……キミは変装してんのか?
女:自分でもほんまの顔覚えてまへん(笑)
男:笑いごとかよ。たまには素顔に戻った方がええぞ。
女:やだ。緊張してしまいます。
男:緊張するような素顔って…どんな素顔やねん。
女:どんなって…言わなあかんかな…すっぴんの“キアラ・フェラーニ”の目と鼻と口を少しいじくり倒した感じです。
男:もはやそれは…“キアラ・フェラーニ”からほど遠いよな…。
女:あきまへんか?…じゃあ…白髪で色白の“ルピタ・ニョンゴ”でイメージできます?
男:誰やそれ?ググれば出てくるか?……って、ググってみたけど、色白にしようにも想像力が働かんわ。
女:マンさんは想像力が弱いですもんね。じゃラスト。若かりし頃の“カトリーヌ・ドヌーブ”…のケツアゴです。今の顔はみないように。
男:なんでケツアゴだけやねん!?“ドヌーブ”の顔は必要ないんかい。今の顔も見てもーたし…ほんでも全然わからんし。
女:まったくマンさんは。もっと想像しなはれ。顔の長さは“アマル・クルーニー”の長さにまだアマルぐらいです。
男:シャレゆーとんか。それも顔の長さだけやないか。どんだけ長い顔しとんねん。ってゆーかオレら、以前もこんなやり取りしてたよな?
女:してたかもですね。なんの話やったか覚えておりまへんが、確か素顔の話でしたよね?
男:それは今の話や。前はお互い想像し合うって話やったやろ。
女:今は、素顔のあたしと自販機の前で将棋しようって話ですよね?
男:人の話聞いてんのか?将棋って、そんなとこで誰がするかい。
女:マンさんも素顔で勝負でっせ?
男:なんでオレまで素顔やねん?見せたないわ……いや変装してへんけども。
女:確か、若かりし頃は“レオなルド・ディカプリオ”で今は“ジャック・ニコルソン”でしたっけ?
男:レオなルド…ライオンなルドってことか?そんな名前やったっけか?ほんでそんなことひと言もゆーたことないぞ。
女:うっそー?“カッコーの巣の上で”“シャイニング”した事あるってゆーてましたがな。
男:映画のタイトルでゆーな。それはキミの脳内の話やろ?オレはそんなことやったこともないし言われたこともない。
女:わかりました。そこまでゆーならツイスターゲームで勝負ですな。
男:なんでキミとツイスターゲームせなあかんねん?
女:だってマンさんが有利でっせ?あたしは体が異常に固いですもん。
男:そんな問題ちゃうねんて。
女:え?もしかして………?
男:今度はなにを妄想してんねん?
女:ミニスカ希望とか?
男:シバいたろか!!なんでオレがミニスカのキミとツイスターゲームせなあかんねん。想像もしたないわ。
女:いや、別にあたしがミニスカ履くとはひと言もゆーてまへんけどね。
男:……だったらオレかい!!ミニスカなんて履くかい!!
女:あたしもぴっちり短パンのマンさんとのツイスターゲームは、考えただけでつわりが酷くなります。
男:今度は短パンかよ……。ほんでつわりってゆーな。吐き気と言え。いや、なんで吐き気やねん失礼な。
女:吐き気で思い出しました。最近500円玉が使えん自販機があって不便なんですよ。
男:キミは記憶喪失か?ようしれ~っと話を最初に戻せるよな。しかも吐き気で思い出すって強引過ぎるぞ。
女:強引過ぎますよね、苺大福って。
男:はぁ?
女:最近の苺大福って強引やないですか。
男:なにが?どういうこと?
女:昔は大福の中に苺が全身入ってて、外から見たらわからんくって、食べてビックリでしたやん?
男:苺大福ってわかってて買ってんねんから食べてビックリせんやろ。
女:わかっててもビックリしますやん。おお~苺が(◎_◎;)ってな感じで。
男:ん~そうかな…。
女:でも最近の苺は、大福から飛び出してますよね?あれっていつか絶対逃げますで?
男:逃げるかい!逃げたらそれってもはや苺大福ちゃうやん。
女:苺に逃げられた苺大福ですよね。可愛そうやからバカ売れしそう💦
男:なにが可哀そうやねん。そんな大福売ってたら詐欺やないか。
女:とにかくあの姿は強引ですわ。酷すぎます。
男:なんでキミがそこまで言うねん。なにが気に食わんのかわからんけど。
女:気に食わんですよ、大型商業施設のトイレ。
男:え?今度はトイレ?なんでそんなコロコロ話題が変わんねん。付いて行くのがやっとや。
女:トイレ見つけて入りますやん?
男:トイレ…入るよな。ほんで?
女:用を足しますやん?そこ詳しく聞きたい?
男:いらんから。ほんで?
女:全部済んでトイレから出て…ああ、個室やなくてトイレという施設から出るって事。
男:はいはい。出てからどうした?
女:たまにどっちに行けばええかわからん構造の時があるんですよ。左やったっけ?右やったっけ?って。いちいちそぉ~っと左右を覗いたりして。それが気に食わんのです。
男:どっちに行けばええかってこと?そんなん、来た時の逆でええんちゃうの?
女:そんなん覚えてないですよ。特に初めてのトイレならなおさら。
男:あ~でも…オレもたま~にあるわ。どっちから来たんか覚えてなくて、左右のどっちが覗いてみたり適当な方に歩いたら女子トイレの入り口やったとか。
女:入って行ったんでしょ?
男:入るかい!すぐ引き返したわ!わざと間違えたと思ってんのか?
女:マンさんはわざとでしょうけどね。あたしは気に食わん。間違って男子トイレの中まで入って行ってまた個室に入った事ありますもん。
男:それってもはやキミは男やん。なんでオレだけわざとやねん。キミの方がどう考えてもわざとやろ?
女:バレました?
男:バレバレやん。
女:バレバレですよ。信号がもう赤になったのにスピード出して通過する車。そのずっと前に黄色になってますやん。距離的に見て自分が通過する頃には絶対に赤信号になってるはずってわかってるはずですやん。それやのにさも黄色に気付かんかったフリして。そこで減速すりゃええのに逆にスピード出して。出した挙句少し間に合わんから結果的に信号無視ですやん。きっと「もうすぐ赤になるって気付かんかった…」とか言うんでしょうけど、そんなん嘘ってバレバレですやん?
男:今度はそっちか。説明するの大変そうやな。
女:説明するの大変ですよ。マンさんのコスプレ好きを。
男:ちょっと待った。誰がコスプレ好きやねん?そんなことゆーたことないぞ?嘘ゆーなよ。
女:ひょっとしてマンさん、あたしが噓つきとでも?
男:さっきから嘘つきまくっとるやないか。いや、今までの会話でも嘘ついとるよな?
女:あたしは悲しいです…( ノД`)シクシク…あれを嘘とかゆーやなんて…( ノД`)シクシク…
男:嘘泣きすなすな。あれが嘘やなかったらなんとゆーねん?
女:ボケです。れっきとしたボケをかましてるんですやん。会話にはボケが必須でしょ?
男:ボケって必須か?会話で必須て、それってもはや漫才やないか。
女:じゃちゃうか。
男:あっさり引いたな。この会話は漫才じゃないって思ってるんやな?
女:当たり前ですやん。誰がそんなとんでもない事ゆーてますのん?
男:誰がとかは知らんけど、オレがなんとなく、ふとそう思ったから。
女:いやいやいや。じゃマンさんはツッコみって事になってまいまっせ?
男:しっかりツッコんでるけどな。
女:ツッコみ担当でっか?
男:担当とかゆーな。担当とかゆーたらもう漫才になってまうがな。
女:漫才ちゃいまっせ?漫才なら立ち位置も決まってますからね。あたしらは立ち位置なんて決まってへんでしょ?
男:立ち位置もなにも、二人並んでへんからな。
女:でしょ?あたしは横になってますし。
男:やっぱり寝そべってんのかい!
女:そんなキッツい言い方しはりますけどね、マンさん。
男:なんやねん。
女:この体勢でアイスカフェオレをストローで飲むの大変なんですよ?
男:寝ながら飲もうとしとんかい!?飲む時ぐらい起きろよ。
女:えー…めんどっちーわぁ。
男:そのセリフ。最初の頃にようゆーてたよな。
女:でしょ。あの頃を最後に封印しましたから。
男:今ゆーてもーたがな。
女:たった今、禁断の封印が解かれましたんやん。
男:映画の宣伝みたいやん。
女:“カッコーの巣の上で”“シャイニング”ってか?
男:“ジャック・ニコルソン”ちゃうから!はいはい、もう撤収や。
女:え~、じゃあ“キアラ・フェラーニ”も撤収やね?
男:その人を語るなよ。そう、撤収な。また今度な。
女:じゃ次回はお約束の浦島太郎で。
男:まだ終わらんのかーい。はよ終わろうや。
女:そろそろ終わりますってば。期待しててください。100までは届きまへんから。
男:100って例えるのがすごく怖いねんけど。
女:大丈夫ですって。
男:頼むで。じゃ、またな~。
女:はーい。ほなね~♪

終わり