男女の会話26

「裏・浦島太郎物語5」


男:こんばんは。男です。
女:ちょいっす。女と見せかけて、玉手箱 明美(たまてばこ あけみ)です。まだ開けてまへんけどね。
男:いやほんまに。この冒頭のやり取り何回目や?いつまでやんの?
女:いつまでやるんでしょうねぇ。あたしにもさっぱりわかりまへん。
男:そんなわからんもんを続けてて楽しいか?
女:もうここまできたら楽しいとかやないです。女の意地です。
男:意地なんかい。女のってのが意味わからんけど。
女:ほんでもマンさん?
男:なんや?
女:マンさんはこの浦島太郎くんに幸せになってもらいたいとは思いまへんか?
男:はぁ?オレが?浦島太郎に?全く思わへんけどな。
女:そうなんでっか。
男:キミはそんな風に思ってんの?
女:思ってまへん。
男:思ってへんのかーい。てっきり思ってんのかと思い込んでたし。
女:あたしからしたら浦島太郎くんもウミガメも、どうなってもよろしいわ。
男:んー…まぁキミの考えた物語やから文句は言わんけど。案外冷たいよな、キミ。
女:フラペチーノ明美と呼んでください。
男:誰が呼ぶかい。キミの冷たさは液体窒素なみちゃうんかい。
女:いやさすがにそこまで冷たい事はないです。おそらく。で、いつまで待ったら本題に入ってもよろしいんでっか?
男:あのな。なかなか本題に入らんのはオレのせいなんか?
女:マンさんのせいが7割。あたしのせいが1割です。
男:オレのせいがそんなに多いんかい……ん?あとの2割は?
女:その他のせいです。
男:その他のせい!意味わからん!!
女:マンさんとその他のせいでなかなか入れない本題に入ってよろしい?
男:勝手にせい!!
女:えーっと…イケイケのウミガメに拉致された純粋な浦島太郎くんは、富士の樹海の風穴の中にある竜宮城『ブラックジャック』で何日も過ごしておりました。
男:ああ、そうやったな。竜宮城っていくつもあるんやったな。
女:そうです。面倒なんで『BJ』にしときましょうか。
男:わざわざ竜宮城の名前を略さんでもええやろ。そない何回も出てくるわけちゃうやろうし。
女:何回も出てくるかも知れまへんで…。
男:そうなん?それなら『BJ』でもええけど。
女:ええでっか?間違っても『バイケル・ジャクソン』の略やないでっせ?
男:誰やねんそれ。
女:BJで何日も過ごしたウミガメと浦島太郎くん。あんなに上から目線で、なんとなく男をたぶらかしそうな雰囲気をかもし出してたウミガメは、せっせと自ら太郎くん身の回りの世話をしていました。あ、太郎くんって太陽の塔で有名な岡本太郎氏やないですよ?
男:わかっとる。間違えるわけがない。しかしウミガメはなんでそんな一生懸命に浦島太郎の世話をしてたんや?なんか目的があんのか?
女:うーん…それを語り始めたらめっさ時間がかかると思います。
男:え?そうなん?
女:はい。該当のウミガメに限らず、他のウミガメたちも、とある目的があって何人もの太郎くんを拉致しては竜宮城に閉じ込めて世話してるんですから。
男:ちょっと待ってや…なんか色々出てきて頭が混乱してきた。まず聞きたい事が何個かある。忘れんうちに今挙げておくからメモしといて。
女:わかりました。
男:まず①他のウミガメってなに?ウミガメって他にも存在すんの?次に②何人もの太郎くんってどういうこと?何人も拉致されてるん?それってみんな『太郎』なん?なんかそういうミッションを組織的にやってんの?
女:えらい質問がいっぱい出てきましたね。知恵熱出てきてるんちゃいます?
男:出るかい。歳なんぼやと思ってんねん。
女:赤いちゃんちゃんこ辺りでしょ?
男:もうちょっと若いわ。
女:予備校生?
男:それ若すぎる。ちょうどええとこないんかい?
女:その間って事ですね?名推理でしょ?
男:それは推理とは言わん。
女:質問に答えなあきまへんか?
男:答えてもらわんと、わからんまんまの物語になってまうで?
女:ん~これは困ったぞ。どうやって説明しよう。おもくそざっくりでも構いまへん?
男:わかればざっくりでもええねんけど?
女:じゃざっくりと。いくつもある竜宮城は、組織的に存在しておりまして、その総本山は日本政府に行きつきます。
男:日本政府?竜宮城って、政府の組織なんか?
女:大雑把に言えばそうです。
男:正確に言ってもそうやろ?
女:そのようです。
男:じゃ乙姫様とかウミガメも組織の一員やねんな?当然。
女:もちろん組織の人間です。
男:人間なん?
女:人間かな?
男:かなって…マジかい…。
女:その組織は日本のために色んなミッションを展開しておりまして、いくつもある竜宮城にはそれぞれに乙姫様やウミガメが複数存在しております。
男:うーん…なんかえらい話になってきたな。
女:そこんところあんまりウダウダ話しても面白くないんで、やめます。
男:やめるんかい。
女:政府関連の特別組織としてなんだかんだミッションを遂行してるってわけです。
男:簡単に言えばそういうことか。でもさっきもゆーたけど、ウミガメがやってる事の目的がいまいちわからんのやけど。
女:細かい目的を説明すると長くなるんで、見た目の現象だけでええですやん。
男:見た目の現象?どういうこと?
女:何があったかだけを話して、その意味までは説明せんって事です。物語としてはそんなんでええでしょ?
男:ええんかな?そんなんじゃ面白くないんちゃうの?
女:これはあくまであたしが考えた物語なんで、面白いとか面白くないとかの評価は必要ないと思ってます。
男:まぁキミがそういうならそんでええか。
女:そういうわけで、長い間BJでウミガメに世話してもらいながら生活してた太郎くんは、ある日突然ウミガメからこんな事を言われました。
男:ウミガメがなんかゆーたんか?
女:「なぁなぁ太郎。チミはほんまに太郎なん?」すると太郎は答えました。「太郎やけど?なんで?」
男:“太郎”って名前にこだわってんのかな…。
女:ウミガメは言いました。「長男?」太郎が言いました。「え?長男ちゃうけど?」ウミガメの表情が険しくなり「やっぱり…どうもおかしいと思ったわ。じゃチミはもう家に帰り。送って行くから」
男:え?長男じゃないことがわかった途端、追い出されたん?なにこれ?
女:意味は説明しまへんが、そーゆー事なんです。
男:ふーん。で、浦島太郎はさっさと帰ったわけやな?元々、早く帰らなあかんってゆーてたもんな。
女:いや~それがそうはいきまへんねん。
男:え?
女:太郎くんはBJでの気楽な生活に慣れてしまって、今さら世知辛い現実の生活には戻りたくないと思ってしまってたんです。
男:あらら。だけどウミガメがそういう生活をさせたてたんやから、浦島太郎のせいじゃないよな。
女:まぁウミガメからしたら目的があったからなんですけどね。でもその目的が達成できそうになかったんで、無理やり太郎くんを元の世界に帰そうとしたわけです。帰したいウミガメ。帰りたくない太郎くん。さて二人はどうなったのか?
男:いや~なんか難しそうやな、その展開。気持ちが相反してるからな。
女:確かにそうですね。だけどウミガメは、太郎くんをBJに連れて来るときも拉致まがいの強引な行動をとってました。なので帰す時も容赦ないと思いますでしょ?
男:そうやな。帰すのも強引やったんちゃうの?
女:どうなんでしょうね?それはまた次回のお楽しみっちゅー事で。
男:おいおいおい、まだ続くんか?なかなか終わらんやんけ。
女:仕方ないですやん。ダラダラ話してても長いだけで面白くないですから。それに…
男:それに?
女:まだ玉手箱開けてまへんからね。
男:玉手箱…最後は開けるんか?
女:まだ言えまへんなぁ。あたしの口からは。
男:キミの口からじゃなかったら誰の口から言うねん?キミしかおらんやないか。
女:うふふふ。まぁ好きなように思っといてください。では、またごきげんよう~(。・ω・)ノ゙
男:こらこらこら。なに勝手に終わろうとしとんねん?
女:だから続きは次回って…。
男:だからってキミが仕切るなよ。オレが仕切るから。
女:マンさん、仕切りたガールでっか?
男:なんでオレがガールやねん。
女:仕切りたおじさんか。
男:ボーイって言えんのか?
女:明美は言いたくないです。
男:そういう時だけ明美とかゆーな。ずるいぞ。
女:じゃ玉手箱ならよろしいか?
男:それもなんだかな…
女:わかりました。玉手ばっこんにします。
男:それもやめとこうな。二度と言うなよ。さてと、じゃまた次回やな?次回には終わらせてや。
女:終わると思いますよ?もう今回で佳境を越えましたんで。
男:どこに佳境があったんかさっぱりわからんねんけど…。
女:ありましたよ。いや、ありますよ。マンさんの髪の毛の生え際に。
男:生え際に佳境って…なんかヤバそうやな。
女:よ~く見るとヤバいです。
男:見たんかい!?勝手に見るなよ!
女:見えまへんて。マンさんも神経質でんな。
男:キミと喋ってたら神経質にもなるわ。
女:あらら、そらあかんね~って事で、ごきげんよう~(。・ω・)ノ゙
男:勝手に仕切るなってゆーてるやろ。
女:まだでっか?はよ終わりましょうよ。
男:はいはい。ほんじゃ撤収な。またな~!
女:はーい。ほなね~♪

つづく