男女の会話13
「あたしの脳みそ」


男:こんばんは。男です。
女:こんばんは。覆面女子です。
男:なんで覆面なん?ほんで女子なん?
女:覆面みたいなもんですやん?顔見えてへんし。
男:そらそーやけども。まるでキミが覆面かぶってる風に聞こえるやん。
女:かぶってる風に聞いてたらいいですやん。
男:なんやそれ?
女:目ぇだけ出してると思ってたらいいですやん。
男:目ぇ見えてるんかい。
女:女子風に思ってたらいいですやん。
男:それは嫌や。
女:嫌なんかい。ちょっとぐらいいいですやん。
男:女子はあかん。
女:えー?じゃあ…熟女?
男:うーん…あってもそれぐらいかな?
女:今日も天気良くないですな。
男:急に話変えやがったな?なんか都合が悪いんか?
女:あたくしは都合のいい女ですから。
男:それやめとけよ。違う意味の女になってまうぞ?
女:あたしも今マズいなと思いました。一瞬だけですけど。
男:一瞬だけかい。ずっと思っとけよ。ほんでまた蒸し返すけど、熟女の話は都合悪いんか?
女:チミ、もしかして熟女が好きなんでっか?
男:いや、そんなフェチじゃないけど。さっきキミが熟女のワードが出た途端話を変えたから。なんかあるなと思って。
女:仕方ない…じゃあ言います。
男:お?やっぱりなんかあったん?なになに?
女:えらい食いついてきましたね。
男:だって気になるやん。
女:熟女って聞くとあたしは……
男:あたしは?
女:カレーを思い出すんですよ。
男:……カレー……カレー?って、あのカレー?
女:他にどのカレーがあるんでっか?
男:じゃあのカレーか。なんでカレー?
女:熟したカレー。美味しいですやん?
男:熟したカレー?一晩置いたやつとかの?
女:そうそう。熟してコクが出るやつ。
男:うん、それが?
女:ほのかに薫るカレーの臭い…そっからまた思い出すんです。
男:熟女からカレー。カレーから…何を思い出すん?
女:カレー臭です
男:カレー臭?……ちょっと待て。
女:はい?
男:もしかしてその薫り…加齢臭の事ちゃうんか!?
女:おー、よくわかりましたね。
男:わかるやろ!!発音そのものが一緒やないか!!
女:え?“カレー臭”……“加齢臭”……ほぼ一緒ですね?98%ぐらい?
男:限りなく100%に近いけどな。
女:確かに!
男:納得してる場合かよ。なんで加齢臭?熟女?なんで熟女のワードから逃げるように?意味わからんねんけど。
女:結局なにが言いたいかと言いますと、加齢臭が嫌なんです。
男:はあ?って事は?…キミは加齢臭って知ってるんか?
女:知ってるもなにも、加齢臭を発してる人ってけっこう多いですよね?
男:んー、そんなに意識したことないんやけど。
女:カレー臭は意識してるのに?
男:ややこしいな、その発音。カレーの臭いは…意識するかな?ええ臭いやし。
女:でしょ?
男:でしょ?って、なにそんな鼻の穴ふくらましとんねん?
女:見えてますのん?あたしの鼻の穴が。
男:見えてるかい。嘘ゆーたんや。
女:噓つきでんな~。
男:キミに言われたないわ。
女:いや、あたしはそんな嘘ついてまへんで?
男:おかしいな?オレが知ってるキミは嘘ばっかりついてんぞ?
女:じゃそれはあたしじゃないっすわ。
男:あたしじゃない……聞き捨てならんな、その言い方…もしかしてキミ、替え玉作戦か?
女:そうそう、作戦ですわ。「おやじ~替え玉追加~♪」
男:それって…麺のお替りやろ。
女:随分溜まってます。くっさいし。
男:それ…肥溜めやろ。汚いな。
女:んー!んんー!!…声が出んわ。
男:“声が出ん”やな?替え玉とはかなり離れてきたぞ。
女:それ、あかんね。
男:“それダメ”やんけ。もうダジャレのクオリティー低すぎやぞ。
女:そらすんまへん。疲れてますねん。
男:疲れてるんかい。なんでそんな疲れんねん?
女:なんでって、この会話で(笑)
男:笑いながら言うなや、おい。
女:マンさんは疲れまへんの?この会話。
男:んー…疲れる時もあるかな。キミの怒涛のボケに対応せなあかん時とか。
女:せなあかんって、まるで正義のヒーローみたいにゆーてからに。
男:正義のヒーロー。みんな子どもの頃に一度は憧れるで。
女:あたしも憧れましたわ。ヒーローになりたかったなぁ~。
男:キミ、なんでヒーローになりたいん?ヒロインやろ?
女:ああ、そっか。正義のヒロインですね。って、そんなんおったっけ?
男:おるやろ。オレは知らんけど。
女:セーラームーンとか?
男:ああ、そうやな。そんな感じかもな。
女:プリキュアとか?
男:うんうん、そんな感じ。そういうのに憧れたんやろ?
女:ちょっとちゃうかな?あんなチャラチャラしたコスチューム、苦手なんで。
男:そうなんや?あのコスチュームが好きなんちゃうんかい?珍しいな。
女:あたしはできたらコスチュームは無い方がありがたいです。
男:え?意味わからんねんけど。
女:まず顔はマスクで隠します。
男:やっぱりマスクなんかい。マスク好きなんか?
女:マントも必要。
男:マント?そうなんや。
女:ブーツも必要。足が長く見えるから。
男:足長く見せたいんかい。
女:そんな感じ。
男:え?それだけ?あとは?
女:あとはマッパですがな。
男:………どんなヒロインやねん?
女:けっこう仮面ですがな。しかも実写版の(笑)
男:けっこう仮面!!笑ってる場合か!そんなんに憧れるなよ!
女:でもなんか、そんな恰好してたら周りにいっぱいギャラクシーが集まってきそうですやん。
男:ギャラクシーやなくてギャラリーな。なんで銀河がいっぱい集まって来んねん。
女:できたらギャランティーに集まってほしいですわ。できるだけ多く。
男:キミは金の亡者か。
女:金なんてどーでもええんです。正義のヒロインに金は必要ありまへん。
男:それはええけど、けっこう仮面だけはやめといた方がええ。
女:そうでっか?じゃ、チャラチャラしたコスチューム着たけっこう仮面にしますわ。
男:そうやな…って言うか、それでもけっこう仮面がええんかい。
女:そりゃ憧れでしたから。
男:変わっとるな、キミ。
女:よく言われます。
男:言われるんかい。
女:憧れと言えば、マンさんはなにに憧れてますのん?
男:オレ?ヒーロー?
女:ちゃいます。なんでもええから。
男:なんでも?そうやなぁ…。
女:けっこう仮面に対抗してハレンチ学園とか言わんといてくださいね。
男:言うかい!勝手に決めんな。
女:覆面もやめといた方が。
男:考えた事ないし。
女:じゃはよ教えてくださいよ。
男:急に聞いといて急かすなよ。ちょっと待てよ。
女:じゃ…渋谷シャンテのゴジラ像の前で待ってます。
男:なんでそこなん?他にないんかい。
女:ハチ公前は待ち合わせのメッカやから、わからんようになるでしょ?
男:確かに。目印とかないとわからんなぁ。
女:けっこう仮面の姿やったらわかるかな…。
男:それでわからんかったら日本は終わってるで。
女:あたしが終わらせた張本人って事でっか?
男:それしかないやろ。
女:で、マンさんの憧れは?
男:どうもキミは、考えさせてくれんようやな。
女:時間与えてますがな。
男:どこがやねん?
女:じゃ、テーマを乳搾りましょうか?
男:乳は削除せーよ。
女:憧れのライフスタイル!どうよこれ?
男:ライフスタイル…そうやな、憧れはあると思う。
女:どんな?聞かせてください。
男:あるんやけど、説明すんのが大変やな。
女:マンさん、もしかして面倒くさがりでっか?
男:そんなんじゃないって。難しいって言うてるやん。
女:そんな難しいでっか?もしかしてアホなん?
男:やかましいな。失礼やなキミ。
女:ほんなら、憧れのライフスタイルに近い人っておりまへんか?
男:近い人………ああ、おったわ。
女:おりましたか?おめでとうございます。
男:所ジョージみたいなライフスタイルに憧れるなぁ。
女:だれが床上手なん?
男:ゆーてへんし!そんな事、自分でゆーかい!
女:そーですよね?まさかね?ちょっと下ネタになってまいますしね。
男:キミがそっちに行きそうになっとるがな、さっきから。
女:それは気を付けますわ。忘れんようにタイマーセットしときますね。
男:タイマー……なんの意味があんねん?
女:キッチンタイマーでええかな。
男:なんでもええわ。
女:で、床上手のライフスタイルに憧れてるって事ですけど。
男:ちゃうから!!タイマーの意味教えろや!!
女:あ、すんまへん。所情事ね。
男:ジョージや。
女:ジョージア。州ですよね?カレー州みたいな。
男:キミ……脳みそ大丈夫か?
女:あたし?あたしの脳みそはさっき冷凍庫から出してきて放置してます。自然解凍ね。もうシャーベット状になってますね。明日の朝には腐ってるでしょう。
男:なるほど。すでに腐っとるな。
女:早いな、それ。
男:今からでも遅くはない。保冷バッグに入れて持ち歩け。
女:えー?めんどっちいわ~。半分っこにしまへん?マンさんが左脳、あたしが右脳で。
男:半分もらってどーすんねん?使い道がわからん。
女:また凍らしてスライスしてしゃぶしゃぶで使うとか。味噌と混ぜて発酵させるとか。
男:どんな使い道やねん、それ。
女:発光してたらかなり怖いと思いまへん?
男:すでに怖いの通り越してるから。
女:それはおめでとうとしか言えなくて申し訳ないっす。
男:キミと会話してると、まだ完成してないAIと会話してるような気持ちになるわ。
女:あたしはAIには負けまへん。
男:ん…ある意味負けてへんかもな。
女:やった!勝った!おっし!(ง •̀_•́)ง
男:キミ、悩み事とかないやろ?
女:悩み事?あるに決まってますやん。
男:え?あるん?そんなんで?
女:そんなんってなんですのん?悩みなんてあるに決まってますやん?人間だもの。
男:ああ、人間やったな(笑)忘れてたわ。
女:忘れるなんてひどいですね、マンさん。ちゃんと写メしとかんと。
男:なんで写メなん?わけわからんわ…。
女:あたしの悩み事、聞きたいんでっか?
男:教えてくれるん?
女:教えたってもええですけどね。
男:なんかごっつい上から目線の言い方が気になるけど、聞きたい気持ちが勝ってる。
女:聞いたら最後。マンさんはあたしの悩みを解決せなあきまへんで。解決でっせ?ケツがかゆいんとは次元がちゃいますで?
男:次元も意味も不明やけどな。なんで聞いたオレが解決までせなあかんねん?
女:それが聞いた人の責任っちゅーもんですがな。
男:じゃあ聞くのやめるわ。
女:解決するんは特別にやめときましょう。
男:どうしても聞いてほしいようやな…。
女:あたしの悩み事…それは…。
男:それは……?
女:カレー臭です。
男:今それ出すか!?
女:加齢臭はまだデビューしてまへんけどね。
男:一応聞いておく。カレー臭のなにに悩んでんねん?
女:加齢臭と発音がそっくりやから、悩んでます。
男:まーたさっきの会話やないか。そんなもんに悩んでどうすんねん?
女:発音をどうにかせんと、あたしの悩みはケツがかゆいまんまです。
男:解決せんって事やな?うーん…わかった。発音をどうにかしよう。
女:どうします?
男:カレー臭の方を変えようか。
女:変えますのん?
男:そう。同じような意味で違う発音…なんかないかな…。
女:“カレーの薫り”とかはどう?
男:お、ええかもな。
女:“カレーのかほり”はもっとシャレオツでっせ。
男:うーん、それもええな。
女:もういっその事、“彼のかほり”にしたろかいな?
男:一気にきたな。っていうか、意味まったくわからんよな(笑)
女:そうですな。下手したら変な想像されてまうかもですね。
男:オレならそれ以上想像せんけどな。
女:あたしはします。“彼のかほり”は結局“加齢臭”やったてオチまで想像しましたよ。
男:結局…カレー臭は加齢臭なんかい!!ほんでオチまで考えたんかい。
女:あたしは想像を止められへん体質なんで。すんまへんな。
男:じゃ、“彼のかほり”の彼って、いったい誰やねん?
女:あたしの想像では、マンさんしかおりまへんな。
男:オレは加齢臭かーい!やめてくれよ。
女:カレーの臭いの方でいいですやん。
男:いいですやんて…なんでオレがカレーの臭いさせなあかんねん。カレーこぼしたんか?
女:カレー屋さんの厨房で働いてるとか。
男:うーん…想像が狭いな。
女:狭いでっか?じゃあ…覆面してマッパでカレー鍋を一晩中混ぜてるカレー職人とか。
男:けっこう仮面がカレー混ぜてるだけやないかい!キミの脳みそ、カレー鍋に入れたろか?
女:そんな事したら、黒カレーになりまっせ。それはそれでシャレオツなメニューですけどね。
男:キミの脳みそって黒いんかい。初めて知ったわ。
女:長年ヘヴィ~なスモーカーやったもんで💦
男:だったら肺が真っ黒やんけ!
女:肺から酸素と共に脳に真っ黒が引っ越ししよったみたいですね。引っ越しそばいただきました。意外とコシがあって美味しかったです。
男:キミ、ちょっと脳みそ休ませようか。今日はこれで撤収やな。
女:脳みそに有給休暇くれますのんか?
男:なんで有給やねん。欠勤や。
女:えー。それは痛い!!
男:大丈夫。そのまんまでも痛い脳みそやから。
女:そっか。なら安心。
男:じゃ終わるで。またな~。
女:はーい。ほなね~♪

終わり