白黒会話38「蜂になりたい」
※2022年3月の作品



白神:いや~しかし、蜂になってみたいです。
黒山:いきなりなんやねん?
白神:蜂って、なんか良くないですか?
黒山:いや~、オレはあんまりいいイメージないけど。
白神:なんで?
黒山:だって、蜂に刺されたら痛いやん。
白神:そりゃチミ、蜂に変なことするからあかんのです。
黒山:変なことって、なんやねん?
白神:例えば、攻撃するとか、巣を壊すとか、おしっこひっかけるとか、蜂蜜をかっぱらってプレーするとか。
黒山:ちょっと待った。今の最後のプレーってなんや?
白神:蜂蜜とプレーゆーたら、蜂蜜プレーしかないですやんか。
黒山:んー、ちょっと意味わからんけど、ひょっとしてやらしい系かな?
白神:意味わからんのやったら、今度一緒にやってみーひんか?
黒山:いや、遠慮しとく。
白神:遠慮深いね、チミ。で、どこまで話してましたっけ?
黒山:キミが蜂になりたいってこと。
白神:ああ、そうそう。ぼくにとっては蜂はいいイメージなんですよ。
黒山:へ~。いいイメージねぇ…例えば?
白神:まず蜂蜜ですね。
黒山:また蜂蜜かよ!変なイメージ持ってへんか?キミ。
白神:いえいえ。蜂蜜って言えば、蜂が花から花へと飛び回りながら蜜を集めて作るじゃないですか。
黒山:あー、うん。そうやな。
白神:なんか可愛いイメージですやん。
黒山:そうかなぁ。

白神:チミみたいに鼻から鼻へと飛び回りながら鼻くそ集めて鼻くそ団子作るのとは大違いですけどね。
黒山:誰が鼻くそ団子作るねん!?汚いな!!
白神:じゃケツからケツへと飛び回りながら…
黒山:はい、それ以上言うな。やめろやめろ。
白神:あと、みんなで巣を作って、みんなで巣を守って、みんなで子どもを育てるとことか。
黒山:なるほど。協力しあってってことか。
白神:そうです。
黒山:それはわからんでもないんやけど、ちょっと腑に落ちんことが…。
白神:なに?
黒山:キミって、みんなで協力しあって何かするっていう性格やったっけか?
白神:ああ、ぼくの性格としては正反対です。ぼくには協調性が微塵もないですから。
黒山:そやろ。やのにそういうとこがええって思ってるんか?
白神:正反対やからこそ、ええなぁって思うんですよ。
黒山:ある意味、憧れてんのかな?
白神:そうですねぇ。それもあるんかも知れまへんなぁ。
黒山:じゃそういう意味で、キミは蜂になってみたいと。
白神:さようでございます。
黒山:しかし…キミが蜂になったらかなり怖いよな。
白神:なにを想像してるんですか、勝手に。
黒山:いやいや、だって冒頭でも言ったけど、蜂って刺すやろ?
白神:いやいや、それも冒頭で言いましたけど、蜂に変なことするからですやん。
黒山:ある意味、キミが蜂ってこと自体が変なことやけどな。
白神:どういうこと?それ。
黒山:キミのでっかいケツに針があんねんで?変やし怖いやん。
白神:いきなりそこまで思考を高めてますやん、勝手に。
黒山:うわ~想像しただけで怖い~~~。
白神:やかましわ。ケツの針で刺し殺すぞ。
黒山:いや。そんな針なんて意味がないわ。
白神:え?なんで?
黒山:針なんてなくったって、そのでかいケツで圧死させられるやろ。
白神:へ~、それってアッシのケツのことですかい?旦那。
黒山:旦那ゆーな。ほんで駄洒落かい。
白神:あ…ひょっとして…
黒山:なんやねん?
白神:ぼくのケツで圧死したい願望あるんすか?
黒山:どんな願望じゃ!ないない!
白神:じゃ、ぼくのケツで圧死したい症候群とか。
黒山:しつこいやつやな、キミ。
白神:だって、ぼくが蜂になりたいってだけで異常に怖がるから。
黒山:誰だって怖がると思う。オレだけやない。
白神:わかった。じゃ蜂になるんじゃなくって、蜂みたいになるんやったら怖くないでしょ?
黒山:なに?それどういうこと?
白神:例えば、黄色と黒のシマシマ模様の服着るとか。
黒山:どえらいファッションやの、それ。
白神:胸元にはフッカフカの毛が生えてます。
黒山:胸元…毛…
白神:こらこら、胸元から盛大にはみ出した胸毛を想像してません?
黒山:ああ、想像してたわ(笑)
白神:どうせはみ出すんやったら、盛大に乳首を飛び出させた方が粋やと思いますが。
黒山:なにが粋やねん!?乳首出してる蜂なんて想像できんし!
白神:頭からは可愛く触覚生やしまっせ♪
黒山:あ~、あれね。でもあんな触覚生やしたやつおったら、ちょっと怖いよな。
白神:ほんまチミ、怖がりさんやね。
黒山:だって、めっちゃ変なやつやん。そんなやつ。
白神:頭の触覚が怖かったら、股間から生やせばええですやん。
黒山:なんで股間!?そっちももっと怖いやろ!
白神:怖いけど、パンツ履いてるから見えませんがな。
黒山:っていうか、隠すんやったら初めから触覚の意味ないし。
白神:でも触覚がないと蜂らしくないや~ん。
黒山:どうしても蜂っぽくなりたいみたいやな。
白神:はい。そしてしっかり仕事して、蜂蜜いっぱい作りますねん。
黒山:え…キミが?いっぱい作るん?蜂蜜を…?
白神:なに?不満かね?
黒山:うーん…キミが作る蜂蜜って…なんか怖い。
白神:まーだ怖がってっし!!!
黒山:怖いって。どう考えても。
白神:ぼくが蜂蜜作るだけでっせ?チミと子供作る方がもっと怖いですやん。
黒山:ああ、それは即死やね。
白神:でしょ?だからぼくが作った蜂蜜をぜひ堪能してくだされ。
黒山:堪能て…。どうしたらええん?
白神:例えば、焼き立ての食パンになすり付けて朝食にするとか。
黒山:表現が汚れとるな、キミ。
白神:それか、焼き立てのぼくのホットパンツにぶっかけるとか。
黒山:焼き立てって…しかもキミのって…なぜにホットパンツ?
白神:挙句の果てには日焼け止めローションといつわってぼくの体中に塗りたくって「気持ちええか?ハニ~♪」ってベタベタするとか。
黒山:それって、冒頭にキミが言ってた蜂蜜プレーちゃうんか?
白神:いえいえ。ぼくのプレーは、全部なめ取って完結ですわ。
黒山:やっぱり怖い。もう嫌や~。
白神:怖がりさんやね~。じゃ今日は勘弁しといたるわ。
黒山:ほな、またね。

終わり