エッセイ「虫退治の神様」
※今年4月の作品
昨日の金曜日から、こちらはかなりの暖かさとなっております。
以上、気象予報士の『蜃気楼みぞれ』でした。《誰やねん?それ》
いや、そーやなくて…
その暖かさゆえか、虫がいっぱい出てきてますね。
ほんで会社での話なんですけど…。
え?クレーンの話ですって?《それ昨日のエッセイやん》
ちゃいますちゃいます。
そんな、クレーンなんてチミたちが操縦しなはれ。《今日は放置かい!》
昨日のお昼に会社の休憩室で一人で休憩してましたら、あとから二人ほどの男性社員が入ってきました。
その二人は、
「いや~今日は暑いな」
とか言いながら窓を開け始めました。
そしたら窓を開けた瞬間、その二人の男性が、
「うわーっ!!」
って叫んで後ずさりしたんです。《なになに?》
あたしは(何事?)って思ってそちらを見ました。
そしたら、どうも窓にでっかい虫がくっ付いてたみたいで、その虫を外に逃がそうとしてましたが、どうしても内側にくっ付いてて離れません。
何回もそうやって四苦八苦(ってゆーほどの事はしてまへんが)して、とうとう諦めて窓から離れてしまいました。
その結果、窓を全開に出来ず少し開けたぐらいの状態やったんです。
その様子をずっと見ていたあたしは、おもむろにでっかいケツを上げて立ち上がり、《ケツの描写は必要ないやろ…》
「どんな虫?」
と言いながら窓の方に歩いていきました。
男性社員は
「けっこうでかいっすよ?」
と、まだビビッてます。二人とも、あたしが単に好奇心で虫を覗きに来たと思ったんでしょう。
その男性社員はあたしに向かって
「仕方ないね。窓全開あきらめて我慢しましょうか」
とに向って苦笑いしていました。
あたしはそんな二人を無視してさらに窓に近付き、よく見てみました。
すると、内側の窓ガラスと外側の窓ガラスの間に虫のシルエットが見えました。
(うん、確かにでかいけど、あたしの指ぐらいほっそいね)
と判断したあたしは無言でゆっくり外側の窓をずらし始めました。
そしたら、やっと外側の窓ガラスの内側に張り付いた虫の姿が現れました。
縦に細長い形で羽を閉じた状態が一見棒みたいに見える茶色い昆虫でした。長さは4cmぐらいでしょうかね?
あたしは脚がいっぱいある虫は少し苦手ですけど、昆虫はほぼ大丈夫です。
安心したあたしは、素手でその虫を掴みました。《素手なんかい》
それを見た男性社員は
「うわ!神リオさん(実際はここは本名です)だ!!さすが!!」
と二人して騒いでます。《さすがって(笑)》
そんな二人を無視してあたしは、窓を全開にして掴んだ虫を外に投げ捨て、手を払って網戸だけ閉じました。
「これで大丈夫」
と言いながらあたしは元の席に戻ろうとしましたが、男性社員はまだビビった顔をして
「ここも!ここにも!」
と、窓のそばのソファの上を指さしています。《まだなんかおんのかい?》
(なによ!?)と思いながら目を近づけてソファの上を凝視したら、さっきの虫のもっとちっさいタイプがへばり付いていました。《おったんや》
あたしは心の中で目がバッテン状態になり(こんなちっさいのもあかんのかーい!!)と悪態をつきながらその虫をつまみ上げようとしました。
そしたら、さっきよりもサイズが小さかったために手加減が狂い、ほぼつまみながら殺してしまいました…。《マジかい!》
その虫もまた網戸を開けて外に投げ捨て、手を払い、網戸を閉めました。
「さ、終わったよ」
と二人に言いながら休憩室を出て手を洗いに行きました。
手を洗って再び休憩室に戻ると、その間に男性社員が4人、女子社員が2人に増えてて、その中の一人の女子社員があたしに話しかけてきました。
「ずっと前に〇〇さん(女子社員)から聞いたんですけど、ゴキブリが出て騒いでたら、リオさんが握りつぶして捨ててたって話が有名になってるんですけど、それって本当なんですか?」《マジかい!?》
実はあたし、さっきの虫退治の時にふとそれを思い出してたんです(笑)《マジやったんかい》
なので、
「ああ、昔そんなことあったな~。懐かしい噂やわ」
と笑いながら席に着いてまた休憩を再開しました。《え?噂?》
それを聞いたみんなは、またザワザワと騒いでいました。
しかし…残りの休憩時間、ずっとこんな雰囲気だと落ち着かないので、《ま、そうやろうな…》
あたしは休憩室を出て職場の席に戻り、そこで休憩を再開しました。
もちろんクレーンを監視しながら…。《やっぱり監視しとんかい!》
ほんで、その日の顛末はやっぱりカイマンちゃん(会社の先輩)の耳にも届いたらしく、あとでこんなメールが届きました。
「みんなリオちゃんのこと『虫退治の神様』って呼んでるよ(笑)で…噂じゃないでしょ!本当でしょ!!」《やっぱり神様になっとるやん》
あたしからしたら…みんな頼りなさすぎ!!《叫ぶなて》
ま、『ゴキブリ退治の神様』やなくて良かったですけど…。《そらひどいわ》
これから先、虫はどんどん増えるでしょう。そやけど…あたしはそんなもん無視でっせ。《さぶいぞ…》
まだ明るいけど、ほなまたね♪