個人事業主としての私の毎日が始まった。
仕事としての目標とは別に、プライベートでは経済的に自立して、いずれは円満に離婚できるよう出来ることはなんでもやりたい。
藁でもすがりたい一心だ。
私は理系の性で、本を読んでなるほど!と思ったら実行する、してしまう。
仮説を立てて検証するってやつね。
当時はまったのは、ドクターコパさんの風水だ。
間取りだけでなく、マンションの立地、形状などを分析。
うん、ここ運気上がらないね。
さっそく、いつもの直感を活かして隣町の一戸建てに引っ越した。
この物件と出会ったのも不思議だった。
ここだと直感にささやかれた不動産屋さんにふらっと入った。
ちょうどその日、貸し出す予定でまだどこにも掲載されていない物件があった。
私と話をしていた担当者が、あなたなら、と大家さんにその場で電話してくれた。
本来は法人にしか貸さない物件だそうだが、何故かどうぞ借りてくださいと。
間取りも立地も風水的にOKだ!
さっそく一部屋を仕事部屋にしてPCを3台設置。
そして、ひと月の間に一人ではこなせないくらいお仕事をいただいた。
主な仕事はWebサイトの更新や制作、データ入力だ。
大学では化学専攻だったので、サイト制作については全部独学だ。
前職でプログラマだっとはいえ、それだって独学だ。
「君がわが社で初めてC言語の案件を担当する。社内にC言語知っている人はいないからね。はい、これ。」
と言われて『はじめてのC』という本を渡されただけ。
「じゃあ、一週間後にはプログラミングしたものを出して。」
当時、新入社員だった私は真っ青だ。
まだ試用期間中である。
これ、出来なかったら確実にクビ?
3日で本を読破し、4日目に恐る恐るコーディング。
5日目に先輩に初めて作ったプログラムを提出した。
人間、本当に切羽詰まると普段の能力以上を発揮できるもんだ。
そんな新人時代を思い返し、自分ならできる!と叱咤激励しながら勉強しつつ実務をこなす。
嫌でもスキルは身につくね!大変だけど。
並行してKさんからの紹介で始めたIさんの会社にも週3,4日は出勤している。
人手が足りない。
ハローワークにパート求人を出した。
面接をしてみるが、私と同じスキルでPC(ワープロやExcel程度)を使えて、電話番(ビジネスでの敬語や対応)が出来る方がなかなかいない。
みなさん、お小遣い稼ぎのような感覚で面接にいらっしゃる。
時間給なので、その時間だけいればいいと思っているみたい。
いい人が見つかるまで面接だー。
面接に割く時間すら惜しいけど。
開業してからまた世間を知る出来事があった。
実はデータ入力の仕事は、前職の会社からの紹介だ。
仙台支社で請け負うと赤字になってしまうのでと、元社員の私に依頼がきていた。
個人事業主として開業したと告げると、一部上場企業とは直接お取引ができないため打ち切りに。
これまで平気で出入りしていた仙台市内の他IT系企業にも新しい名刺ではもう入ることはできない。
うーん、個人事業主ってそういう扱いなのね。
やっぱ、株式会社かぁ。
さらに、私のことを主婦として足元を見て発注してくる保険代理店と出会った。
不愉快だなぁと感じながらも日本初のペット保険のサイト更新を頼まれた以上の仕上がりでやってしまう自分。
プログラマの性だね。
ついつい他の人でもメンテしやすいように、美しいコーディングに直してしまった。(笑)
仕事はありがたいことに途切れることなく、人を雇わないとさばけないほどくる。
困ったなぁ、と思っていたころ知人から電話があった。
ある社長さんが私のことを知り、インターネット関連会社を起業するから仲間に入らないか?とのお誘いだった。
色々とお話を聞きながら、理想を言ってみた。
今の個人事業主としての仕事とそのために採用しかけている事務員一人も一緒に、さらにIさんの会社の仕事を抱えたままでよいなら一緒に起業します。
なんと先方もOKで、入社は4月からだ。
その前に、確定申告がある。
簿記3級は取得したとはいえ、初めてで手続きがよくわからない。
何より事務にかける時間が惜しい。(笑)
知人に依頼して出来る方を探してもらった。
そうして出会ったのが今でもお付き合いがある行政書士のHさんだ。
仙台の父と言うか、叔父のような存在である。
初めてお会いする約束をした日、事業計画書を手にインターフォンを鳴らすとワンワン!と犬の声。
バロン君というそうだ。
淹れてくださったコーヒーを頂きながら質問攻めにあう。
何を話したか覚えていないが、いきなりHさんが立ち上がり
「成功する人の考え方だ!」と言ってくださったことだけ覚えている。
それからは態度が変わり、金言を授けてくれた。
「商売と言うのは信頼と信用で・・・。」
「Give&Takeじゃない。Give&Give&Giveだ。」
とこれから一人で立つための心構えを教えてくれる。
そして、開業してしてからの収支報告を見て
「えっ!?初年度から黒字なの?たった3ヶ月で。」ととっても驚いていた。
私も驚く。
えっ!?黒字になるもんでしょ?だって、仕事しているんだもん。
だが、Hさんの経験上、一般的には黒字になるには2,3年かかるそうだ。
「君、ここの事務所私と一緒に使いなさい。確定申告の仕方も教えてあげるから自分でやってみなさい。お金はいらないよ。」
あんぐりする私を見ながら、バロン君と一緒にニコニコするHさんだった。
こうして私は、個人事業主+Iさんの会社+起業という3足の草鞋を履くこととなった。
ドクターコパさんの著書の熱心な読者になったのはもちろんだ。(笑)
他の方の風水の本も読書の趣味がてら読むようになった。
住むところや環境は本当に大事だね。