「おはようございます。」

出勤した課長に挨拶をしようと振り向いたとたん、課長の顔の横に黒いモヤモヤがっ。

 

びっくりして二度見した時には、もう何も見えなかった。

目の錯覚だろうか?

でも確かに黒い靄みたいなものがあったんだけど・・・。

 

一週間後、課長は入院した。(こわっ!)

 

そんなことがあったなんてすっかり忘れた頃、まだ外で遊んでいる子供たちを迎えにマンションの外へ。

秋の夕方は日が暮れるのが早い。

すぐ隣の児童公園のイチョウの大木が夕日にすっくりと立って・・・。

 

何これ!?

すっごくきれいなんだけど。

 

イチョウの幹の周りに、細い細い金色の光。

周囲に大きく広がって実に神々しい。

ふと他の木も見てみると同じように輝いているではないか!

 

それからの私は、植物たちだけでなく人の周囲にもうっすらと光が見えるようになった。

朝夕の斜めに光が差し込む時間帯に特によく見える。

無機物にも層は薄いけど見えるようになってからは、真剣に悩んだ。

 

きっと目の病気だ。

他の人には見えてないものが見えている。

 

怖くて怖くて、誰にも相談できなかった。

まだ子供たちは幼い。

こんなことを打ち明けたら精神病院に入れられて、可愛い子供たちと引き裂かれるのではないか?

 

数ヵ月悩み続け、わざわざ仙台から都内まで行って眼科を受診した。

なのにドクターに打ち明けることすら怖くてできず、ただの視力検査と化す。

また別の眼科に行ってみる。

どこにも目の異常はない。

 

じゃあ、私が見えているこれは一体?

 

悶々と日々を過ごしながら、大好きな八文字屋書店に気分転換に行く。

落ち込んだら本屋さんに行くのが私の定番だ。

 

ある書棚の前を通り過ぎて「!」

目の端にチラッと見えた本の表紙。

大急ぎで戻って手に取る。

 

これだ!

この本の表紙と同じものがイチョウの幹を中心に私には見えている!

同じ風景を見ている人がいる!

あー、よかった!

私は気が狂ったわけでも、目の病気でもないんだ!

子供たちと一緒に居られる。

 

見えているモノが何なのか、答えが知りたい!

すぐさま買って貪るように読んだ。

バーバラ・ブレナンの『究極の光の手』。

 

「オーラ」っていうのね?

 

しばらくしてから「オーラの泉」っていうTV番組が始まった。

こんな人たちがいたんだ。

一人ぼっちじゃなかった。

感激と感謝で涙ぐみながら番組を見た。

 

その後、またまた引っ越して今の職場に転職したとき、困った事態になった。

「うわー!ピンク!」

 

説明のためホワイトボードに書いて振り返った私の目には、人々のオーラの色が飛び込んでくる。

油断しているとうっかりオーラが視えてしまう。

色の意味なんて全然わからないけど、課長の黒いモヤモヤの件から、黒やくすんだ色はやばいっていうのはわかる。

大抵の方は青や緑、時々黄色、すこーし赤が入ってたりなんだけど、こんな奇麗なピンクは初めてだったので、ついつい。

 

これじゃあ、仕事にならない。

オンとオフを切り替えられるようになれればいいんだけど・・・。

この調整がなかなか。

 

でも、他の方々の健康状態とか、今どんな気分なのかをオーラの色や輝きで判断できるから便利!

元気そうに振舞っていてもオーラの色がちょっと暗いなって思ったら声を掛けるし、

体調が悪いんですっていう相手のオーラが真っ白に力強く輝いているのをみて仮病も見抜ける。(笑)

朝ごはん、しっかり食べて来たなぁって分かる。

体調がわるかったり、食事がきちんととれていない人のオーラは、ヨロヨロしてて、色も薄い。

 

ある日、パワハラしまくっていた専務をオンにして観察してみた。

ほぉ!人よりもオーラの層が厚いし、輝きもあるではないか。

パワハラ管理職だけど、この人は何か理由があってこうなっているんだな。

距離を取りつつ尊敬の念はキープだ。

 

そう思えたのは、前職でくすんだ緑と黒が混ざったとっても汚いオーラの人を見たことがあるせいかもしれない。

彼は部下の一人だったが、仕事上やらかして社内に大迷惑をかけ、謝罪した後、仲直りしましょうと部長の私に握手を求めてきた。

仕事上のことは処理したからもういい。

でもごめん。

オーラが汚すぎて私は手を握り返せない。(焦)

本心からの謝罪ではないことも分かってしまうし困ったなぁ。

これじゃー、部下の失敗を許さないきびしーい管理職じゃん。

でも、ほんと無理。

近寄れないし、触れない。

肩を落として出ていく彼に、これからもよろしくね、優秀なんだから、と声だけは掛ける。

 

そして、それが彼と会った最後だった。

直後にまた引っ越すことになりその会社を辞めたから。

 

これまで視たオーラの中で、この方のオーラが一番汚かった。

動物好きの優しい青年だったけど、オーラで視ると違うんだよね。

勉強になったなぁ。

 

そして、人だけではなく場所にも使える。
グレーがかっている場所はなんとなーく近寄りたくない。

運転中に隣の友人に、「なんだかここ、景色がグレイがかって見えるんだけど。」と言ったら

「この奥で先日、〇体が発見されたんだよ。」って言われて驚いた。

本当にびっくりじゃい。

 

反対にキラキラしている場所もあって、ついつい事務所用にその地域にアパートを借りてしまった。(笑)

当時は、会社員しながら講師もして、個人事業主としても仕事をしていたから仕事用の部屋が欲しかったんだよね。

実は正夢で見たからでもある。

目が覚めてからも、間取りも窓から見える景色もしっかり覚えていた。

 

夢を見てから早速そのエリアに住んでいる部下に相談する。

知らない土地だからそのエリアのどのあたりなのか全然検討が付かないのだ。

 

上司の相談に断り切れなかったこともあるだろうけど、地元であるそのエリアの不動産会社も紹介するし案内しましょうと言ってくれた。助かる!

 

不動産会社に行く前、こんな間取りのアパートで窓からはこういった景色が見えると絵に書いて説明する。

行ったことがない場所なのになんで分かるんですか?の問いに、夢で見た、といったら思いっきり変な顔をされた。

しかし・・・説明と全く同じ物件に2件目に出会ったときの彼の顔が・・・。

ごめんなさい。びっくりしますよね。

不気味がられて会社で噂になったらどうしようと心配していたら、逆に仲良くしてくれるようになった。

ほっ。

 

でも、そんな人ばかりじゃない。

仕事上も支障が出るかもしれないので、人様のオーラの観察をするのを止めた。

視えないようにしてって天使にお願いした。

仕事にも役立つことがあってよかったんだけどね。

 

最近になって、もうそろそろ前みたいに見えてもいいかもしれないと思うようになった。

今のご時世であれば、変人扱いされないのでは?

 

付喪神を私の家で発見してくれた彼女に話すと

「さび付いているかもよって、守護天使が言っているよー」と教えてくれた。

私の目にブラインドがあって、今はそれをおろしているそうな。

それが錆びているかもしれないからあげるのちょっとかかりそうって。

でも、ブラインドを開けてしまえばいいのね!

 

今はまだ前のようにクリアには見えない。

通勤時の街路樹のオーラの美しさに毎朝ほぉーっとなるけど。

 

これ、だんだんまた見えるようになったら楽しい・・・かな?

それともまた相談事を持ち込まれるのか?

 

仙台の大きな青い馬で出会ったおばあさんからは、

「いい人も、悪い人も引き寄せる。一人で墓地や山に行ってはいけないよ。」とアドバイスされたっけ。

 

ひとまず自分のオーラをブロックだ。
オーラを卵型に3回撫でて、丹田でしっかり止める。

これで人ごみの中に行っても大丈夫!

影響なし!