「そうかー、去年は前厄だったんだ。」
帰り道、ハンドルを握りながら、そういえば・・・と思い出す。

去年の人事異動でかつてセクハラしてきた先輩社員が同じチームになった。
転職して今の会社に入り初めての会議。

会議が終わって片付けをしていたら、いきなり後ろから抱き付かれての胸もみもみ。
初対面がそれだ。


社内でいつなんどき襲われるかもしれない恐怖に出勤できなくなりかけた私は上司に直訴した。
今だから苦笑いしてしまうけど、なんと二次被害にあった。

 

うん、この職場、セクハラとパワハラが普通なのである。

男性社員の意識レベルが昭和だ。

私以外にもそれぞれ別の男性社員にエレベーターで胸を触られたり、会議室で無理やりキスされたり・・・。

被害にあった女性社員は、私と同じように上層部に訴えるが動きなし。

だって専務がパワハラの権化ですもん。
みんな退職していった。

 

で、私は退職しなかった。(笑)

”正しいリベンジ”がモットーだ。

職場でのことである。
仕事上で、実力で、リベンジである。

肩書もつき、入社当時の上司は部下となり・・・まぁ色々とあった。


さて、件の先輩社員、当時の意趣返しなのだろう。
今度はパワハラがすごかった。

あまりの態度に部長に呼ばれて叱責されていたよと別の社員が教えてくれたり
一体何があったのか興味本位で聞き出そうとする噂好きな同僚も。

「大企業の部長とかに向いていると思いますよー。

私が作った企画書は全部『うん、分かった。』と通してくれるんですよ。

ただ、実務は苦手のようで、そこをフォローしようと書類を作成して渡したりしているんですが
気に入らなかったようで怒鳴られちゃいましたー。」

 

事実である。
過去、この先輩に仕事上助けていただいたこともある。

とにかく陰で褒める。
 

ちょっと量子物理学的な視点になるけど、次元は折り畳まれて存在する。

同じ空間に居て、見えて聞こえても影響はないのだ。

今どきの言葉でいうと、波動、周波数が違う。
自分を保つことだ。


とはいえ、何かにつけてパワハラをしてきたり
ぽろぽろとこぼれた仕事をこっそり手伝うのもしんどい。
周囲には私の悪口を言いふらしているし、何も私が言わないのでそれを信じている人もいるだろう。


どう対策しようかと考えていた時に、彼女の話をふと思い出したのだった。
娘さんが学校でいじめにあっていたそう。
困った彼女は師匠に相談。

この師匠がとってもすごかった。
本物の陰陽師らしい。
何と娘さんの周囲に結界みたいな盾(たて)を作ったそうな。
結果・・・いじめていた方が転校するはめに。

いいな、師匠がいて。

一瞬連絡して頼ろうかと思ったけれど、師匠を紹介された時に言われた言葉を思い出す。
「あなたは一人でやりなさい。一人で道を拓いていく人だ。
そしてすごく強い。これを持っておきなさい。」

いただいた龍と小判のアイテムを握りしめ、ならば一人でやってみようと思った。

パワハラから自分を守るためにどうすればいいのか?
相手を傷つけたいわけじゃないから、攻撃されたときだけ弾き返せる何かを、私も身に纏うことができれば。
彼女の娘さんの盾みたいに自分を守るもの。

・・・そうだ!
ヤマタノオロチを退治した素戔嗚尊(スサノオノミコト)様にお願いして剣を借りてこよう!

あとで彼女に大爆笑されたが、ほとほと先輩社員の態度に困り果てていたその時の私は真剣だった。