夜の街に揺れるサキソフォンの音色
人は孤独も持ち寄り暖めて
大きな渦となる
夜が長い事を知っているのに
人生の短さには目を伏せる
高架下
揺れる線路の音波に
あなたはとても麗しい
今宵は仲間達がパレードに出かけている
井の頭線は終点まで私を運ぶ
キオスクに並ぶお握りが胸を締め付ける
ヘッドフォンから注ぎ込まれる音に
空腹も満たされる
利器を欲しがる事はもうあまりない
長く生きた人の言葉が争いの虚しさを説き
生まれたての命が支え合う思いを語る
プランターの小さな植物にも長き時の移ろいと感じたら
今感じた憤りのなんと儚いことか
少しだけ早く目を覚まして
その葉に水をあげよう
ちゃんと手で触れて
喜びや疲れを感じよう
そのわずかな変化に触れられたなら
人の営みのなんと大きなうねりよ
車輪は家路を走る
幸せはあるか
ここに幸せはあるか
悲しみはないか
私はその変化に気づいているか
拒絶なのか求愛なのか
ちゃんと感じ取れますように
もし過ちでも時の流れのその先に
ゆっくりと感じ合えるように