ドロドロと深い淀みの奥のようだ
深い深い沼の底で仄かな淡い光を纏って息をしている
目を閉じると潮騒や、吹き抜けてゆく風や灯台の灯り、汽笛の遠な 鳴きが脳内を駆け巡る
歩みの果てに辿り着くのはそんな場所なのだろうか
目覚めると夢のような日常が繰り広げられ、眠りとともにまた底へと戻ってゆく
煌めきはいつも泡沫の夢の様に瞼の奥に焼き付いている
何処からが夢で、何処からがそうで無いのか
ふわりと舞い上がる思考はいつも夢の中で踊り、淡い光はそこに命のともしびを見付け出す
眠ると目覚め、目覚めと共に腕をするりと抜けてゆく日常
確かに覚えているのはあの笑い声や真剣な眼差し、声に宿る決意の色
まるで夢のよう
愛しい人達が生きていることを感じられること
繰り返す日没と夜明けの中で信じていられる愛してやまないこと
日に日に待ち遠しくなる朝焼けが昨日よりも切なく優しさをたずさえる度にまた囀り歌い出す
肩を並べるビルの狭間に聞こえた小さな叫びが闇を裂いて心を打つ
虚ろな眼差しで錆び付いた想いを動かせるように
何度でも優しい夜がやってくる