東京自転車ではなく埼玉からつれてきた自転車で買い物に行く
買い物袋の無い食品店だから、空の鞄を持っていく
必要なものを買い鞄に詰め込む
そんなに大きな鞄じゃないから、要らないものは、買えない
隙間だらけだった頭にはいつの間にか色や匂いや暖かさが満ちていた
これが私に必要なものだったんだと、頭の中を覗いてにやりと笑う
長い日々をかけて、選び、捨て、残し、忘れ、留め、そうやって満たされた頭の中は誰にも譲れないただひとつのコレクション
鞄が小さくて、欲しいものを諦めなきゃいけない場面に立ったなら
その前に新しい鞄を買いにいこう
今よりもふたまわりくらい大きな鞄
記憶に限界は無いのだから
あなたとの新しい思い出も
いくらでも広げていける
そして頭の中に、
嫌だったことはちょっと引っくり返して奥に追いやったりしながら
拡がる記憶領域にできる隙間に出会う色や匂いや音やあなたのことを
また足して行ける