夜更けに弱く降り始めた雨がベランダのサッシにあたり不規則なリズムを刻む。
引っ越してから間もなく一ヶ月が経とうとしているが、相変わらず夜は長くてとても短い。
人の一生だって長いようで短いらしい。
私たちはこのリミットのある限られた時間を出来る限り大切に、
そして有意義に生きて行こうとしている。
人を傷つける言葉を平気で吐けるような人間などいないと思いたいけど、
世間ではなかなかそうも行かないようです。
とても悲しいことがたくさんあり、今日は不覚にも涙を流してしまい、こんなことではいけないと後悔し、
心を入れ替えるべくゆっくりと回り道をして帰る家路にほっとした。
引っ越し先の選択は間違っていなかった。
人は皆、この世に生を受けた時は善良にできている。
生まれ、生き、そして死を迎えるという簡単なサイクルの中に、
どれだけの誠実さをもって世界と対面できるか。
世界とはそんなおっきいものではなく、
例えば両親、
例えば日々出会う人。
例えば友人、
例えば友人の友人、
例えば恋人、
例えば出会う事無い遠い国の人
すべてに誠実に考え、行動すれば、無駄な悲しみなんてなくなる。
愛する人にも、大好きな人にも、そして道ゆく人にも
日付の変わる前にあれだけ長いと思っていた夜は、
25時を過ぎるあたりからどんどん時計の針は先を急ぎ
あっという間にまた朝がくる。
今日生まれた悲しみや喜びは
グラスの水に溶かして飲み干そう。
朝が来たらきっとありがとうを言えるように枕の下に右腕をしまって。