今年の冬は、本当に寒いと感じる火が例年に比べて少ない気がします。
そんなことを言うと、決まってフランス人の友人に「本当に寒いのは2月だから、それを言うのはまだ早いよ」とたしなめらてしまいますが...。
それでも、今日みたいに晴れて青空が広がる日があると、春はそこまで来てるのかも!と五感の全てが嬉しくなってしまいます♪
写真左側に見えるのは、湖の真ん中にある切り立った崖のような小島。天辺に見える展望台からは、モンマルトルの丘に建つサクレクール寺院も見えますよ〜。
そこでButtes Chaumont(ビュット・ショーモン)という名前の公園に、久しぶりに出かけてきました。
この公園は、私が住むところから割と近く、ちょっと自然に触れたいとか、気分転換したり、気持ちを落ち着けたい時によく足を運ぶところです。
この公園は、約150年まえに造られた公園です。
起伏にとんだ造りで、公園の真ん中に大きな湖があり、それを取り囲むように芝生や木々が豊かな丘が広がっています。
当時、ここは石膏の採掘場だったそうで、ここから切り出された石膏はパリ中心部の建物などに使われていたそうです。
石が切り出されてできた大きな窪みなどは、採石場が閉鎖された後には巨大ゴミ捨て場として使われていました。
それがナポレオン3世の時代に、パリの大規模な都市開発の一環として、この採石場跡地を公園にする計画が立てられたことにより、全く木も生えていない土地に植林され、水が引かれて現在のような公園になったわけです。
パリにある公園は本当の森を利用したものや、王宮の庭園だったもので、そのほとんどが平坦な造りになっているのに比べると、ここは丘が湖を取り囲み、人工の滝、洞窟、吊り橋などバラエティにとんでいるのが特徴的です。
今日は晴れていたと言っても、最高気温は10℃ほど。それでも太陽が出ていると、ピクニックをする人たちが現れるのがパリ(笑)。気持ちよさそうだけれど、私にとってはピクニックするにはあと10℃くらい気温が上がらないとムリです〜。
歩いて行ける距離に、こうした自然を感じられる空間があることは、本当に幸運なことだと思います。
自分の生活圏内に、一人で過ごすのも、誰かと一緒に過ごすのも心地よい場所があるというのはしみじみ贅沢なことだなぁと感じています。
特に、離婚のことで気持ちが落ち込んでいた時、家の中にいて急に閉塞感のようなものを感じ、どこかに逃げ出したいような気持ちになった時、真っ先に思い浮かんだ「避難場所」が、このButtes Chaumont(ビュット・ショーモン)でした。
公園に着くと、なんだか心が解放されたような気持ちになり、自分でもどう扱っていいかわからないパニックに近い心の状態も、不思議と少しだけ落ち着いてきて、やっと息ができるような気持ちになったものでした。
また、コロナウイルス感染拡大で、政府が外出制限令を出した時も、かろうじて運動のために1時間だけ外出してもいいという条件があり、この公園に行ってました。
わずかな外出時間だけど、木々を見上げながら起伏にとんだ公園内を歩き、人がいないところでマスクを少しだけ外して吸う緑と湿った土の香りのする空気の清涼感が、とてもいい気分転換になって、ココロもカラダも救われた気がします。
手動で回すオルゴール(?)。フランスの古い曲が素朴なオルガンのような音色で奏でられ、それを口ずさむお年寄りの楽しそうな顔で、私も嬉しい気持ちになりました!
残念ながらニュースを見れば、相変わらず日々コロナウイルスの脅威や、紛争、自然災害などの、気持ちが滅入るようなことばかり...。
今日のように、束の間の明るい春を感じさせる日に、こうして五感をフルに使って自然の素晴らしさを味わえる公園に足を運んで、自分をもてなしてあげることができる環境にいられることに改めて感謝したひとときでした。