マノリート MANOLITO Y SU TRABUCO のロンドン公演。
圧巻だった。
会場はロンドン中心部から少し外れた地区、
エレファント・アンド・カッスル Elephant & Castle の
中規模なシアター。
暗くなってからの一人歩きはためらってしまうような
ちょっとうらぶれた雰囲気漂うラフなエリアに建つ
一昔前のライブハウス。
大きさといい、その微妙な寂れ具合といい
ハバナのカサ・デ・ラ・ムシカを彷彿とさせる。
日曜日の夜、そこは本当に
数時間限定の「ハバナ」になった。
会場のオープンは7時、ライブの開始は10時、ということで
9時頃に行ってみると、場内は予想外に活気のない感じ。
キューバン・ミュージックが大音響でかかって
クラブ空間になっているのだけれど、
フロアーで実際に踊っている人はまばらで
大半はドリンク片手にそれを眺める人たち。
このライブはサルサのコングレスなども主催する
ロンドンの中堅サルサ団体の8周年記念イベントで
踊っている人たちも、キューバンというよりは
いわゆる北米系のカタチの、クルクルした踊り。
ありゃー、バンバンの時とは客層が違うな~
期待する盛り上がりではないかも...とチラリと不安がよぎる。
ライブ開始予定時刻をだいぶん過ぎてからの
司会者のトーク(不評。まわりからブーイングがもれていた。)や
フロアーでのサルサ・パフォーマンス
(同上。何が行われているのか一部の人以外全く見えないから。)に
苛立ちのさざめきが伝播してきた頃
やっとステージにマノリートが登場。
流れるようなピアノをメインに
スカーンと抜ける華やかなホーン隊と
ズンズンと迫ってくるリズム隊の
ジャジーな演奏が始まる。
いきなり、凄い!!!
場内の空気がパーンと弾けて一変する。
盛り上がらないかも、なんて、
まったく要らない心配だった。
最前列の柵と後ろの人たちに挟まれて
押しつぶされそうになりながらも、
踊りまくって熱唱しまくって、2時間強。
熱狂の渦に身を任せているうちに
あっという間に嵐のように過ぎ去ってしまった。
数日たって今あの興奮の後味を
改めてじっくりと噛み締めているところ。
演奏家たちは全員黒一色で登場。
ピアノが マノリート Manolito Simonet
フルートは ダビちゃん David Bencomo
キーボードと4人のホーン・セクション
2人のバイオリン、ベースの他にチェロも加わった、深み。
そしてコンガ、ドラム、グィロ。
楽器の演奏者だけで、14人。
そこに3人のカンタンテ(ボーカル)の
三者三様の個性が加わって
重厚で華麗なマノリート・ワールドの幕開け。
「Locos Por Mi Habana」 の
アマライ Ricardo Amaray
ステージではコメディアン的存在?で盛り上げ役の印象だけど
あの歌声にはボーッとのぼせてしまう。
「Sacude La Mata」 をうたう ラサロ Lazaro 'Miami'
キレのある動きが一番カッコイイ!
レゲトン調の歌も踊りも違和感なく素敵。
「Marcando La Distancia」 の
インディオ Sixto Llorente 'El Indio'
何となく演歌歌手風で親しみが持てる。
誰かに似てるなあと思い巡らせていたら
里帰り時にテレビで見た日本の’中高年のアイドル’
「きみまろ」さん、という名前が浮上。
(詳しくは知らないので追求はご勘弁のほど)
それとも「吉幾三」さん、かな...?
カメラ目線、ありがとう!