先週の金曜日、「LADY SALSA」 のステージを観るために
ロンドン郊外のリッチモンドまで出かけてきた。
ロンドンの中心部から電車で30分くらい、
チューブ(地下鉄)でも行けるから
行政区分的には隣のサリー州だけど、
感覚的にはここもロンドン、といってもいいくらい。
「LADY SALSA」 は、黒人系キューバ人女性アーティスト
Trinidad Rolando (彼女が’レディ・サルサ’)の半生を土台に
音楽と踊りでキューバの現代史を辿るパフォーマンス。
数年前に英国スコットランドの夏の一大イベント、
エディンバラ・フェスティバルで大好評を博して
その後ロンドンのウエストエンドで長期公開されていた作品。
ドイツや、オーストラリア、ニュージーランド、
マレーシアでの公演もあったとか。
今年は7月から10月までの4ヵ月間、
英国各地でそれぞれ1週間ずつの限定リバイバル公演。
6月に観た 「ハバナ・ラカタン」 HAVANA RAKATAN と
重なる部分も多いけれど、
バレエ・カンパニーによるシアター・アートで
より芸術的な 「HAVANA RAKATAN」 に比べると
こちらの方が一般向け、エンターテイメント的な要素が強い印象。
各場面、「レディ・サルサ」が舞台の袖にでてきて
その当時の思い出を(英語で)語るという構成で
言葉による説明や解説が加わる分、
キューバや音楽、ダンスの予備知識がない人にも分かりやすい。
ショーとしての「サルサ」の見所も満載!
50年代のハバナがアメリカの植民地状態で
マフィアが自由を謳歌している状況を風刺してみたり
父親はアフリカ系、母親はスペイン系の混血の彼女が
アーティストになりたいと夢を語っても
「黒い肌」だからありえない、と言われたり。
そういうことは、さらっとエピソードとして流しているのだけど
盛り込まれていることは実は奥深い。。。
革命後に設立されたキューバの国立芸術学校
ENA (Escuela National de Arte de Cuba) に通えたのは
チェ・ゲバラのお陰! と言って場内の笑いを誘っていたけれど
これって真意だろうな、と思ってみたり。
全ての音楽はライブで、やっぱり素晴らしくて
着席鑑賞だけど、体がムズムズと勝手に動きだすから
抑えるのが大変!
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ショーも終わりに近づいた頃、キューバのライブなら恒例、
観客席から何人かを呼び上げて
ステージ上でのシントゥーラ大会が始まった。
ここでは「サルサ経験者」らしき動きをする人は皆無だったけど
盛り上げ上手なキューバ人の手にかかれば
気恥ずかしさを忘れてみんな大ノリ!
一般客がステージに上がったせいか、カメラを取り出す人が続出。
これ以降フィナーレまでは実質撮影OK状態になった。
幕がおりて、劇場を出て行く人たちの中から
私もサルサ踊ってみたい、という声が聞こえてきて
何だかとても嬉しい気分になった。
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会場となった リッチモンド・シアター Richmond Theatre は
百年以上前に建てられた美しい劇場。
ミュージカルもそうだけど、
ロンドンでヒットした作品をNYや日本で観ても
違うなと感じるのは(その違いもまた興味深いところ)
会場となる「箱」そのものが違うから。
舞台の上だけではなく、観客席も含めた全体の空気感も
やっぱりライブのステージを構成する一部だな、と思う。
幕間の20分ほどの休憩時間に
グラスのシャンパンやワイン片手に談笑する人たち。
サルサクラブに踊りにくる人たちと、劇場の客層は、ちょっと、違う。
両方を浮遊するわたしはマイノリティー、かも。
場内、観客席の天井は、溜息が漏れる美しさ。
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「LADY SALSA」のサイト、再度ご紹介。
メインページの動画のルエダがいい感じ。