過去のことを少し書いてみる。

忘れたいけど記憶は鮮明だ。


中へと案内され入口に近い部屋の椅子に腰かけた。

目の前にはパソコンがあった、事務所だ。

すると店長だという男の人が入ってきて

簡単に挨拶をすませると警戒してる私に気づいたのか

「俺、手品できるから見せてあげるね」

と言ってコインを取り出して消してみせた。

「ねっすごいっしょ?」と彼は私に微笑んだ。


そんなやりとりのあと

「面接に来たんだもんね!とりあえず軽く説明するから」と言い

紙とペンを取り出した。

「風俗やったことある?」と聞かれたので首を横に振った。

彼は取り出した紙にキャバと風俗の違いを書きだした。


風俗のメリットを話していたけど私は上の空だった。

もちろん働く気なんかないからだ。

店長の質問にも適当に受け答えしていたその時

「お疲れ様です!」ボーイさんたちの声が響いた。


店長もその声で立ち上がり部屋に入ってきた人に

同じく「お疲れ様です!」とやけにぺこぺこして

私にも「うちの代表だから挨拶して!」と小声で急かした。

偉い人なんだ、と思いながら挨拶をした。


その人は「おぉ、よろしく。面接の子?」と言いながら

私の目の前にどさっと腰かけた。

帰るタイミングを見計らってたのにまた話が始まりそうだなと


思いながら時計を横目に見たのが20時くらい。


その代表にもいろいろ質問をされ会話をしていたら

「うちブログでさー動画載せてんだよね。ちょっと出てみない?」

なんて言い出した。

私は「あのー…私働きに来たんじゃ…」と言いかけたが

周りにいたボーイさんや店長までもが「いいじゃんいいじゃん!」

みんな私の話を聞いてはくれない。


代表が「制服あるからさ、とりあえずそれに着替えちゃって。」と言うとみんな部屋からいなくなり

さっきお店まで一緒に来た彼が制服片手に気まずそうに現れた。

私はあえて何も言わないで軽く目線を送ると

「制服、似合いそうだよね!(笑)よろしく!」とだけ言いドアを閉めた。


そう、渡されたのは女子高生の制服。

私は当時21歳、童顔なのでよく年齢より下に見られることはあったけど

制服を着るなんて…と一人固まってしまった。

数分したらノックされて「もう着れたー?」なんて声がしたが

「女子高生なんて着られない」と言うと

「ちょっとおいで!みんな着てるから大丈夫!」と案内されたのは

店内奥。

薄暗くてあまり見えないが確かに制服姿の女の子が数人見えた。


いまでも覚えてる、不思議な光景だった。

よく見ると女の子はみんな可愛い。

風俗だなんて感じさせない明るい笑い声が聞こえた。


「ねっだから大丈夫」と着替えを促された。

「でも着替えたらやらせるんでしょ?やらないよ?」と言ってみるも

「やらなくていいから着替えてみて」と再び部屋に一人残された。

話聞いてくれないし着替えたら帰してくれるかもと思い

複雑な気持ちで制服に着替えた。


するとさっきのボーイくんが「開けるよー」と言い入ってきた。

私を見るなり「あ、超似合うじゃん!!いいね、可愛い…」

なんてボソボソ言ってる後ろから代表が来て

「おっいいじゃん。こいつがさー、さっきからお前のこと可愛い可愛い言ってて。お気に入りらしいよ(笑)」とボーイくんをからかった。


ボーイくん私の方見て顔真っ赤。

私もなんだか気まずくて下を向いた。


すると「動画動画!動画撮ろうぜ!」とノリがいい代表。

断りきれずボーイさん一人と私もなぜか動画に出ることに…。

もちろん顔は映ってない、ただのおふざけ動画で安心した。


そんな感じでバタバタしてたら21時半をまわっていた。

思っていたキャバクラじゃなかったし働くこともないから

帰ることを告げると「働いていきなよ!体入してこ!」

やっぱり帰してくれるはずはない。


「2人ついたら○○円だから、稼いで帰ろうよ」

「どんな人がいい?優しそうな人がいいよね?」

「あと15分したら呼ぶからね」

帰ると告げた途端、急ピッチでことが進んだ。

私はついて行けず何も言えなくなってしまった。


代表が「名前何にする?ケーキ屋さんなんだっけ?」

と源氏名の話をし始めた。

思いついたように「ペコちゃん!どう?」なんて言い出した。

ボーイさんたちもいいっすね!なんて。

私は不○屋じゃないし。変な名前だなって思ったけど

名前なんかどうでも良かった。


私の源氏名はペコちゃんに決まった。