「ストレス要因」の調査で、毎年1位の「社会での人間関係」。
職場、子どもの学校や園、ご近所、家族、親戚・・・
一日中気を使いますよね💦
また、不登校、発達凸凹など、平均とは異なる属性を持っていると、
他の人からの言葉に、傷ついたりモヤモヤしたりすることも多いです。
今日は、人と適度な距離感を保って対人ストレスを減らすための、心の整理のお話をします。
「みんなと仲良く」しなくてもいい
学校で「みんなと仲良くしましょう」と習ってきたためか、
みんなと仲良くしなくてはと思い、できないことで凹んでしまう方も多いですね。
でも、みんなと仲良くしなくてもいいんです。
誰とでも気が合うなんてことはありません。
仲良しとは仲良く、苦手な人とは大きなトラブルなく平和に過ごせれば、それでいいと思います。
苦手だなと思う人とは、このくらいの関係なら辛くないなという適切な距離を置いて付き合い、
対人ストレスを減らしましょう。
家族であっても、気が合う合わないはあります。
精神科外来では、家族とのストレスはかなりよく伺います。
「家族だから〜〜べき」という思いが強いと、相手にも自分にも期待をしすぎてしまい、しんどくなってしまいます。
家族といえど他人です。
でも、家族だと、なかなか完全に離れることはできません。
だからこそ、適度な距離をとって、持続可能な関係を保った方がいいですね。
そこで、人間関係に関する心の整理をしてみましょう。
人間関係を整理しよう
現在の人間関係
まずは、現在、ストレスになる人間関係を書き出し、以下のように分類して対策しましょう。
①今、関係が改善しつつある場合
改善してきたその努力をそのまま継続しましょう
②改善の可能性がある
意見の共通点や相違点を書き出してみましょう。
それを元に、お互いに納得のできる落とし所を書き出しましょう。
③改善の可能性なし
距離を取ったりお別れしたりする方がいいか検討しましょう。
離れるのであれば、お互いのためになるような離れ方ができると良いですね。
例えば、
①言い方がきつい先輩。
でも仕事で言葉を交わすうちに、ああいう喋り方が癖なだけで、実は結構親切なことがわかってきた。
→このまま関係性を良くする努力を続けていきましょう。
②上司が怖そうで報連相ができない。
でも私も、怖いという思い込みだけで、思い切ってきちんと話そうとしていなかった。
相違点は、フランクに話すか話さないか。共通点はお互いに仕事には真面目に取り組んでいること。
→勇気を出して話しかけ、言いたいことをきちんと簡潔にまとめた上で、相談をしてみよう。
③子どもの頃から、常に否定をしてくる親。
長年我慢してきたし、指摘をしてみたこともあるが、私が悪いと言われてしまう。
→ストレスが大きく、改善の見込みもないのなら、心が傷つかずにいられるくらいの距離を置口ことを考えてみましょう。
過去の人間関係
次に、過去の人間関係についてストレスになっている場合です。
こういった場合、過度に美化していたり、過度に悪く考えていたりするものです。
なので、その人の良いところ・悪いところ、一緒にいてよかったこと・悪かったことを書き出し、
「過度に」考えてしまっていた像を、実物大に近づけましょう。
未来の人間関係
最後に、未来の人間関係について考えてみましょう。
誰と、どんな付き合いをしていきたいですか?
ここはワクワクしながら考えてくださいね。
適切に主張するための伝え方の整理
人間関係を良くするためには、自分の気持ちをバランスよく伝える技が役立ちます。
攻撃的になりすぎず、自分を押し殺しすぎず、適度な主張ができるとストレスがぐっと減ります。
ストレス状況に遭った時のことを思い出し、
まず「攻撃的な話し方」と「受け身的な話し方」を両方書いてみましょう。
そしてそれを元に、「バランスよく気持ちを伝える話し方」に書き換えてみましょう。
例)
学校の先生から子どもが「書取りの字が雑だ。もっと真面目にやりなさい」と言われた。
子どもは学習障害の傾向があり、字を書くのが苦手なので、先生には「できたことに目を向けて力を伸ばしていきたい」と伝えてあったので、腹が立った。
・攻撃的な話し方
「以前、こういった話をお伝えしたはずです!叱られたせいで苦手意識を持ってしまい、取り組めなくなるのでやめてください!!」
・受け身的な話し方
「申し訳ありません。がんばって書くよう言い聞かせます。」
これらを元に、バランスよく気持ちを伝える話し方に変換してみます。
「ご心配をおかけしてすみません。
学習障害のため、一生懸命書いているのですが、バランスがうまく取れず雑に見えてしまいます。
本人もがんばっているのですが、上手にできず意欲を失いがちです。
宿題を見る時に、うまく書けた場所だけでもほめてあげたら、喜んでがんばって書いていましたので、
もしかしたらそういう励まし方が本人には合っているかもしれません」
ここでは、「ご心配をおかけして」とクッションになる言葉を冒頭に置き、事情を説明し、どういう対応をしてほしいかやんわりと伝えています。
もう一つ例を挙げます。
例)
不登校の子どもに、祖父母が「学校に行かないなんて怠けている」と叱るので、本人も親も嫌な気持ちになっている。
・攻撃的な話し方
「本人が一番辛いのに、追い詰めるようなことを言うのはやめて!」
・受け身的な話し方
「すみません」
・バランスよく気持ちを伝える話し方
「ご心配をかけていてすみませんね。
本人も学校に行けなくて苦しんでいるみたいです。
カウンセラーさんに、こういう時は本人の気持ちを大事にして、決して無理に行かせたり、なぜ行けないのか問い詰めたりしないようにとお叱りを受けてしまいましたので、それに従おうと思っています」
ここでも冒頭にクッション言葉を置き、事情を説明し、どういう対応をしてほしいかを伝えます。
お悩みのほとんどは、人との付き合い。
楽しいことの多くも、人との付き合い。
いい距離感でバランスよく人と付き合い、いい時間を過ごしたいですね。