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これまでに放送されたNHK(月~金)の5分間
番組『日めくり万葉集』から、私の好きな歌、
気になった歌をご紹介しています。


【前回の万葉集の記事はこちらです。】

http://ameblo.jp/csy-sky/day-20110225.html


万葉集の中で「桃の花」を詠んだのは、大伴家持
の二首の歌だけだそうです。
今日の歌はそのうちの一首です。


☆万葉集 巻19・4139 大伴家持
   春の園
   紅にほふ
   桃の花
   下照る道に
   出で立つ娘子


【読み】
はるのその/くれないにおう/もものはな
したでるみちに/いでたつおとめ


【現代訳】
春の園の/紅色に美しく咲いている/
桃の花の/樹の下まで照り輝く道に/
出で佇む乙女よ


天平勝宝2年(750)の歌です。当時34歳の家持
は、越中守(えっちゅうのかみ)として越後に在任
していました。
選者の朱捷(しゅ・しょう)同志社女子大教授は
「この歌は非常に絵画的で視覚的な歌だと思う。」
とおっしゃっています。


私も美しい桃の花に出逢った思い出があります。
ある年の4月、山梨県上野原へ川釣りに行った
帰りでした。大きくうねる道を曲がりきった途端、
爛漫と咲き誇る淡い紅色の花が目に飛び込んでき
ました。それはそれは美しい大きな桃の木でした。
一瞬息を呑み、そして、感嘆の声をあげたことを
今でも覚えています。
もっとも、そこに美しい乙女はいませんでしたが。


お読みいただきありがとうございました。