『なぜ分院展開できるのか?』 | ~100年企業を目指して~理念浸透と人材育成の教科書~

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100年続く会社の生存率を考えると奇跡に近い。1代の経営者で終わらず4~5代の経営者がバトンを繋ぎ続ける。そこに何かロマンを感じますね。どんな秘密があるのか。経営の量ではなく、経営の質に拘ったコンテンツをお送りします。

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV 10月号のゲストは、
ファミール産院グループの杉本理事長。
同グループは現在、産婦人科医院を8院展開しています。

今回も前回に続き、杉本理事長のお話をご紹介します。

私が同グループに興味を持ったきっかけは、
「一つの産院から、8院体制へと成長している」点でした。

2005年:ファミール産院館山 開院

2014年:ファミール産院君津 開院

2015年:なのはなクリニック 開院

以降も、ほぼ毎年のペースで新規開院

医療業界において、
一院から多院展開するケースは決して多くありません。

優秀な医師でも、経営が得意とは限らないためです。
医療と経営では求められるスキルがまったく違い、
分院展開で経営が一気に悪化してしまうケースも珍しくありません。
開業には医療機器を含む大きな投資も伴います。

その中で杉本理事長は、医師として現場に立ちながら、
グループ全体のマネジメントも的確に実践されています。

近年の分院ペースが加速しているのは、
「廃業案件の引き継ぎ」が増えているためだといいます。


そこで私は、

「どのような基準で事業を引き継ぐのですか? 
断る案件もありますか?」

と質問しました。

杉本理事長の答えは明快でした。

「最終的に、自分がその産院のリーダーとして
“何とかできる”と思えるかどうか。
自分でも難しいと判断すれば、引き継ぎません。」


過去のケースでは、引き継ぎ後は理事長自身がリーダーとなり、
現場を引っ張っていくことが多かったそうです。

背中を見せ、言葉と行動で経営姿勢を示しながら、
スタッフに自らのイズムを浸透させていく。
そうした丁寧な組織づくりを行っている様子が伺えました。


「引き継ぐ以上、最終的には自分が何とかする。」

その覚悟が問われるのです。

もちろん、優秀な幹部を派遣して立て直す選択肢もあります。
しかしそれは、「人を送って終わり」という話ではありません。

場合によっては自ら現場へ入り、V字回復させる覚悟が必要です。
その気概がなければ、組織も業績も変わりません。

効率だけを求めれば批判されるかもしれませんが、
分院展開の初期フェーズでは「自ら院長を務める覚悟」が
不可欠なのだと思います。


一方で、杉本理事長はこうも語ります。

「分院展開は勧めません。とても大変ですから。
分院より先に、まずは今あるクリニックの
成長・発展を考えるべきです。

規模や機能を倍にするなど、
既存院を強くする方がトップの目も行き届きます。」



分院展開には想像以上の労力とリスクが伴います。
その現実を理解したうえで、慎重に経営判断する。
それが、持続的な医療経営の鍵なのだと感じました。