『“納得”と“共感”を無視する』 | ~100年企業を目指して~理念浸透と人材育成の教科書~

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100年続く会社の生存率を考えると奇跡に近い。1代の経営者で終わらず4~5代の経営者がバトンを繋ぎ続ける。そこに何かロマンを感じますね。どんな秘密があるのか。経営の量ではなく、経営の質に拘ったコンテンツをお送りします。

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。


部下たちにテーマを与えた。

すると

“みんなで話し合って決めました”

という回答が返ってきた。

たまにその空気に違和感を抱くことがある。


みんなで話し合って結論を出すこと=合議制。

合議制は響きがいいし、美しいものだ。


みんなに説明をして、みんなが納得する。
するとみんなが行動しやすい。


ただデメリットもないだろうか?

みんなの意見を取り入れているうちに、
どんどん特徴が「標準」になっていく。

尖りがない。特徴もない。



T社では役員が10人いる。

社長が最終決定できる権限をあまり持っていなくて、
役員10人の賛同を得られないと施行できないそうだ。

「この10人のコンセンサスを取るのが大変なんだ…」
とおっしゃっていて保留案件がいくつもあるらしい。


議論することは必要だし、
意見をぶつけ合うことは必要。

その過程でA案がバージョンアップしたB案になれば
まだいい。

しかし10人のご機嫌をとるような議論をしていると
A案がバージョンダウンしたC案になる。

もはやC案であるならば、
差別化もできないのでやる意味がない。


極端なアイデア、非常識なアイデアは
議論の過程で角を削り取られて、
かえって魅力のないものになってしまう。

「納得」や「共感」を求めるがあまり、
「普通に近づいていないか?」
と考えてほしい。



理解を得られないと組織は動かしにくい。

一方、理解が得られるものは
常識的で魅力的がないとも見ることができる。


トップダウン経営は批判されがち。
でも上記の理由からメリットもあります。

尖ったアイデアのまま遂行できるという点。


最終的には関係者の「納得」や「共感」がなければ
成果は出しにくいだろう。

ただ「納得」や「共感」を重視しすぎて、
タイミングを伸ばすのは惜しい。

日本の会社で
“変革やイノベーションが起こりにくい”
と言われるのは、これらの理由もあるでしょう。