インクス流!
試作業界の風雲児と言われたのかどうなのか知りませんが、
昨年の2月に突然倒産したインクス創始者山田眞次郎氏の著作、
インクス流(定価1600+税:アマゾンの中古本1円~)という本がございます。
人のサクセスストーリーほど、後付け的でお手盛り風で、
役に立たないなものはございません。
もちろん私の性格上、この本を手に入れたのは、
この、インクスという急成長企業が倒産してからです。
内容は、たまたま勤めていた会社からの海外派遣先で、
光造型を見て「これはすごい」と思い、大手の会社を辞め、
独立後、形状確認の試作の為の光造形機を導入し、
その後は、自社製の金型CAD-CAMシステムを構築し、
職人を必要としないITに基づく金型の自動化工場まで作ってしまい、
一部の金型関係者の世の中を「あっ」と言わせたと言う内容ですが、
その後「あっ」と言う間に民事再生法を申請し、
「あっ?」と世の中を驚かせた事までは、
残念ながらこの本には当然ながら書いておりません。
この人のこの本を読んですごいと思ったのは、
文章の組み立てから比喩までとても旨い。
ただ、内容が薄っぺらなのです。(光造形も含めて普通の事しか書いてない)
お話しもうまく講演依頼の多かった人物らしいですし、
いわゆる良い毛並みと高学歴ですから、
技術よりは人との付き合い(コネクション)で急成長をしたようです。
ただ、年々増えてゆく新卒採用者が、機械のある工場とは程遠いタイプ、
ものづくりを理解していない高学歴だけが取柄の、
役に立たないぶら下がり社員が急増していた事も、
講演依頼や人付き合いやらが忙しく、どうやらご存知無かったようです。
※結論※(何が言いたいか…)
ものづくり屋は人付き合いだけでは成長後のビジョンが無くなる。
かと言って、ものづくり屋は物を作っているだけでは仕事が無くなる。
残念ながら、両方が無いウチは大変の2乗でございます。(小)