マシニングでのレンズ製作と問題(山積) | サークルさんのブログ

マシニングでのレンズ製作と問題(山積)

きょうは珍しく真面目なお話です。


本来単純形状のレンズはガラスの研磨で作るものですが、


3D形状の複雑系では透明プラスチックのマシニング加工 になります。


樹脂を削ってマシニングで作ろうとするから誤差が大きくなるのです。


ですが、重なり合った樹脂レンズの場合は↓↓(こんな形状の場合)


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どうしてもマシニングでの三次元加工になります。(試作レンズ=単品物)


マシニングには回転軸や可動部分がいっぱいあります。(詳しい話はまぁ置いといて)


回転軸や可動部分の数が多い分だけ形状誤差が増えるのです。


それに加え回転刃物(エンドミル)の形状誤差もあります。



以前から今まで、微細レンズ等の3D形状の計測と誤差について悩んでいます。


計測システムの構築も湯水のごとくお金が使えれば良いのですが、


大阪細々系の試作屋ですので予算にも限りがあります。



単純にノギスやマイクロメーターで計れれば良いのですが、


曲面はそんなに簡単には測れません。


3次元測定機ではプローブの誤差がミクロン単位で発生します。


(あの測定子にルビーを使った高価な有名メーカー製でさえ誤差が出ると、


カタログにも明記されています)


3次元測定機は特に微細レンズではお手上げです。


輪郭形状測定器では測れる角度とサイズに限界が出ます。


逆に測定相手がマシニング加工したレンズなので、


三鷹製の干渉計で測るほどの精度までは出ていない。


帯に短しタスキに長しの状態です。



現実にはウチにある計測機器を駆使して、レンズ計測方法を構築するしかない。


サイズや曲率に最適な方法で…ケースバイケースの対応です。


そして長期的な観点での計測機器の購入も、


選択とタイミングと少しの知恵が重要です。



また、温度管理も重要です。


例えばこんな実験を…(レンズではありませんが)


ブロックゲージを手で温めてマイクロメーターで計測します。


次に、パーツクリーナーを噴射して冷却します。


また、マイクロメーターで計測します。


すると、たった25mmの厚みで約10ミクロン(0.01mm)くらい短くなります。


精密加工を志す人間にとってはこれはとても怖い数字です。


ウチのソディックのマシニング周りはいつも一定の温度に保つよう努力しています。



すべての誤差を洗い出して補正をかけれれば良いのですが、


まだまだ現実の問題としては難しく、


疑いだすとキリが無いくらいの不安定さで、


私は緊張でお昼は抜きでございます。(土曜のお昼はみんなでマクドですが…)



ウチの現状の計測設備では、レンズは簡易測定くらいですが、


出きうる限り微細なトレランスでの加工を優先して、


より加工時間をかけての丁寧な製作の努力をしています。


まだまだ、改善の余地アリですが、これからも努力をいたします。


研鑽練磨と苦悩と寝不足の日々でございます。(小)