口蹄疫と食肉生産とゼロ戦生産‐2
ゼロ戦ってみなさんも名前ぐらいはご存知だとは思います。
第二次大戦初期、羽布張りの複葉機から、
単葉全金属製に変わった頃のごく一時期に最盛期を迎えた戦闘機です。
その数年間は世界最強の戦闘機だという専門家もいます。
ゼロ戦の最強伝説を支えたのは、
名人と呼ばれたパイロットの技量は勿論のこと、
熟練工と言われた機械加工職人の加工技術だったのです。
その頃の栄エンジン(ゼロ戦のエンジン)の稼働率は最高水準だったそうです。
ところが、戦争中期から末期にかけての根こそぎ動員で、
熟練工と言われるような機械加工職人を陸軍に招集して、
鉄砲を持たせて、なんと!歩兵として戦場へと送り続けました。
「これでは戦闘機、特に精密加工が必要なエンジンが作れない」
と工場長クラスが軍幹部へ抗議に行くと、
「機械加工職人を優遇すれば他から不公平との声が上がる」と、
全く取り合わなかったのです。
そして、よりはめ合わせの公差や真円度などの難易度が高い誉エンジンを、
なんと素人の学生やご婦人に作らせることになってしまった。
結果は不良品の山になり戦争遂行の足かせとなりました。
熟練工に鉄砲持たせるのと、旋盤のハンドルを持たせるのと、
どちらが国家のお役に立つと思います?
答えは分かりきっています。
でも、役人(軍人も役人です)は「規則、規則、規則」なのです。
いつの時代でも…。
例えばウチの仕事ですが、
素人の学生が突然「加工するのだ~」とやって来ても、
無理です。作れません。
作れないどころではありません。
工作機械を壊すのが関の山でございます。
この話、口蹄疫との絡みでPART-3へと続きます。(小)