鬱
「鬱」って字、書けますか。
私は書けます。
正確に言うと書けました、です。
確か29画という画数は当時の当用漢字では最多画数でして、
その最多というのにあこがれて、
小学校の私は一生懸命覚えておりました。
ある日の授業で「鬱」って字が書ける人って先生が言ったので、
得意げに手を挙げると「書いてみなさい」ってことになり、
前の黒板に書きました。
正しく書きました。
得意げに書きました。
みんなが「すげー」と言ったどうかは覚えておりませんが、
「そんな字書けても、普段の漢字が書けんとアカンな」
と、いう先生からの褒め言葉をいただき、
「じゃあ書かすなよ!!」ムカっ腹を立てたのは、
小学校6年の出来事だったと思います。
そして本物の鬱な期間を味わったのは、
中学に入ってからの事。
それからというもの数限りない「鬱」のウェーブにもまれ、
そんなものにはすでに慣れっこ子になってしまいました。
人間には耐える心もあるのです。(小)