恐怖体験(後半)
身に降りかかる火の粉は払わなければいけません。
運転していたあんちゃんが私の顔の間近でインネンをつけています。
ハッキリ言って怖い。
て言うか、殺らんと殺られる。
覚悟を決めて左ショートアッパー一閃。
ショートアッパーなんぞスパーリングでも使った事が無い。
あんな接近戦用のパンチなんてボクシング上級者が使うもの。
そんなものを実戦で使用したことなどついぞ初めてであります。
しかも、一発KOパンチ。
卑怯にも不意打ちですが、窓越しに先に一発もらっています。
一発は一発です。って子供か?
真珠湾攻撃当時の海軍航空隊の気持ちが少しですがわかる気がします。
さて、もう一人が狂ったように襲い掛かってきました。
素人パンチは一度腕を引く動作が入りますので、
100%の確率でパンチが来るのがわかります。
その後有利な展開が続き、
馬乗りになって二人目を殴りながら考えます。「どう収拾をつけようか?」と。
やはり殺らんと殺られるのならこのまま殴り続ける事になるのだろうか。
「わたしの友達はどうしてる?(車の裏側に隠れて見えなかったので…)」
「このまま殴り続ければ俺って殺人者?」
「こいつがどこまで弱ったら逃げれるだろうか?」
慣れない事はしてはいけません。
変な方向からの不安がよぎります。
その時です。
誰かに後頭部を叩かれました。
通りがかりの心優しい親切な「怖い人」二人の登場です。
お忙しい中にもかかわらずわざわざ仲裁していただき、
無事その場を離れる事が出来ました。
ちなみに、気がかりだった友達は、ちゃぁんと私がKOした運転してたあんちゃんを、
寝技で(若干の柔道経験者)動きを封じており無事でありました。
もし対戦相手がたとえば空手の有段者だったとしたら…?
恐怖がよぎります。
見知らぬ人は何があるのか、何を持っているかわかりません。
今回はたまたま相手が良かっただけです。
それからというもの、私のチキンハートにもより磨きがかかり、
運転中はモミ手しながらの低姿勢に徹しております。(小)