
中村知事とフリーディスカッションをする丹下憲孝氏
平成25年7月21日(日)
松山市のリジェール松山において第10回志高塾が開かれ、今回の講師に丹下都市建築設計代表取締役の丹下憲孝氏が招かれた。
丹下憲孝氏は、日本建築界の巨匠・丹下健三氏を父とし、最近では東京モード学園のまゆのような「モード学園コクーンタワー」を設計している。過去においては、東京都庁をはじめ、広島平和記念館、香川県庁、国立代々木体育館、東京カテドラル、愛媛県民文化会館など、丹下健三氏の作品はこれまで時代をリードしてきた。

丹下健三氏の有名な写真。雑誌などにはこの写真が掲載されている
建築学会においては、現代建築の歴史を築いてきたといっても過言では無く、建築を目指す学生などは必ずその足跡を学ぶことになる。学生時代、教授からレクチャーを受けたものだが、その息子である丹下憲孝氏から直接丹下作品についての思いや建築の継承について聞くことができたことは、今回の塾の目的とは別に素晴らしいことだった。
講演の前半は、父丹下健三氏の建築についての考えとか世界を股にかけて活躍し残してきた作品についての逸話などもされ、それが今の建築設計にどう繋がっているのかなどをスライドによって紹介、後半は今の設計への取り組みなどの話で、大学の授業のようなふうに私には思えた。

レクチャーをする丹下憲孝氏
また、最後には松山市のまちづくりをどう展開していくかの提案として、自転車のサイクルポート、電車などの人の流れに注目し、点と点になっている道後温泉や城山公園、子規堂などを面として構築していくアイディアなども披露された。

松山市のまちづくりについての提案。丸印のところに自転車基地を作り、人の移動の要とする提案
帰りのトイレの中で丹下氏と一緒になり、事務所の所員が80名であるということについて聞いてみた。丹下氏は、デザイン事務所という形態では、それ以上の所員になるとデザインのチェックができない、自分の目を通ること無く作品が世に出ていってしまう、だからそれ以上のスタッフにはしないのだと話された。
日本の中では超有名な設計事務所であるだけに、その主宰の方から直接話をきくことができてとても貴重な機会となった。
丹下氏の話とは別に、中村知事は今後のまちづくりについて、人口減少の中で成長していくためには、海外との連携が重要であると話された。そのためには、愛媛県はシンガポールとインドネシアとの関係づくりに力を入れているそうだ。
今年10月には、しまなみ海道の車道を自転車で走るイベントをするらしい。中村知事の趣味はマラソンや自転車があるだけに、それを地域の活性化にも繋げていくのだと思われる。ちなみに、そのイベントはすでに申し込みが満員となったそうだ。

志高塾冒頭の中村知事の挨拶。しまなみ海道で、自転車が車道を通行するイベントを開催することを発表