現在お世話になっている療育先とは別に、言語聴覚士と個別療育が受けられる施設と調整がようやく終わった。

4月から連絡し始めて、6月に見学、そして9月から通所開始。

本当に本当に長かった。もちろん夫は一切ノータッチ。

私、偉い。本当によく頑張った。

誰も褒めちゃくれないし労いの言葉もないのだから自分で言ってあげるしかない。

 

同じ日に双子の個別を入れることはスケジュールの都合でできないそうなので、私は月2回1人ずつ、施設でお世話になることに。

 

そして、記念すべき1回目は次男から。

「三男ちゃんは、ママと留守番こ!!幼稚園には行きません!!違う違う!!ママー!!」

と騒ぐ三男を幼稚園バスになんとか乗せ、お迎えにきていただいた車に次男と乗り込み出発。

 

「次男は、ママと〇〇(新しい施設)??」

「そう」

「…ママは?なにするの?」

こっちの療育は母子分離で送迎付きのため、私はついて行かない。

私が乗っている理由がわからないのだろう。

3ヶ月ぶりの訪問。

忘れているだろうなぁ…騒ぐのかな…と心配していたが、とっとこ歩き玄関を開けてもらうとスーッと入っていった。

「次男君、久しぶり。先生とあそびましょう」

「うん、いいよ。どこで??バイバイママ」

「あ、はい。いってらっしゃい」

惜しまれることもなく、早く行ってよ。みたいな感じで手を適当にふられる。

「えーと、次男君大丈夫そうですね!!

では、お母さんは今のうちに契約書の手続きを」

2人分となると、控えのサインも含め、とんでもない量の書類になる。

その後、2人分の聞き取り調査。

…毎度のことだが長い。

 

夫は、この苦労分かってくれない。

伝えても分からない。

それも特性だと言われれば何も言えない。

なんで私ばかり。といつも思う。

秋田市役所へ、療育先の理事長が付き添ってくださり、面談に行った時だった

 

「いつも私ばかりなんです。夫は、なんだか気が向かないのか興味が無いのか…手続きに行こうか、なんて声もかけてくれない」

障がい福祉課前で、夫婦と子どもで訪れている家庭を横目にぼやいてしまった。

「契約者がお母さんっていうご家庭はとても多いんですよ。

大抵のお家、お母さんが手続きに来て居るんで大丈夫です。お父さんだけで来ても…どうしても子どもの聞き取りが曖昧になってしまうこともあって」

「そうですか…」

「私もこの仕事長くなりますが」

黙って聞いていた理事長がフラフラ歩き回る双子を手招きしながら話しだした。

「煩雑な手続きが多く、あちこち行ったりと、まあ大変です。お母さん一人でやっていたら疲れてしまう。お父さんも仕事があるでしょうしね。そのために私たちのような職員がいるので、声をかけてくださいね」

「ありがとうございます」

 

何を言っても伝わらない夫に期待をするよりは、彼に希望を持たず(という言い方は良くないのかもしれないが)私が変わるしかないのだろう。

「声をかけてください」と言ってくれる療育先の先生方に助けを求めるほうが早く解決できる。

助けてくれ、支えてくれるのが家族とは限らないし、家族である必要は無いのかもしれない。

本当は夫婦二人三脚で、子どもたちと向き合えるのが一番いいだろうに。

でも、現時点で夫とは多分無理なのだ。双子が生まれてすぐに別居した結果、特性を理解するのも、大きな声を出したり癇癪を起す双子に慣れるのも、全部これからなのだ。

 

そんなことを思い出しながら、ひたすらサインすること1時間。

次男と先生がいる部屋に入れてもらう。

たくさんのオモチャに囲まれ、ご機嫌な次男がいた。

「次男君。このオモチャが気に入ったみたいで。とても上手に遊んでいました」

次男があれもこれもと言って出してもらったのか、床一面、テーブルの上もオモチャ。

「今日の次男君について、お母さんにお伝えしますね」

 

次男が取り組んだパズル。

そのパズルも一般的なものではなく、次男が前回面談したときに判明した特性に合わせて作られたものだった。

段階を踏んでレベルアップする形式になっていた。

その他にも先生が見せてくれたオモチャは、初めて見るものから自宅にあるものでできそうなものまで幅広く、このオモチャで遊ぶ意味、次男にとって何を鍛えることになるのか、それぞれ役割が違い、とても勉強になった。

「…という感じで今日は過ごしていました。今日は初日ですから、お勉強というかんじではなく、こんな感じで遊んで終了です」

「ありがとうございます。とても勉強になりました」

「お母さんから、何か気になることや、聞いときたいな~ということはありますか?」

絶対聞こうと思っていたことを聞いた。

「この子が、家でやっておいたほうがいいことを教えてください」

「手先の運動をすることで、色々な神経が刺激をされます。でも、この年齢では手先だけではなく、本当に日常的な、全身を使うような遊びをするだけでいいんです。

お母さん、3人お子さんいるでしょ。何か特別なことをすることは大変です。大変なんですよ。だから気にせず、毎日普通にまずは遊ぶことから。

あとは、声のかけ方を変えてみる、ということですかね」

 

何か特別なことをすることは大変。なんだか救われた気がする。

他の子と何か違うから、家でもなんとかしなきゃ、幼稚園で馴染めるようにしなきゃ、でも色々試しても正解が分からない。ただただ苛立ちと疲労がたまるだけ。

双子にかける言葉も厳しいものになっていくし、優しくなれない。

一緒に暮らすのがなんだか辛い。

そんな憂鬱さが、少し晴れた気分になった。

 

本で読んでもいまいち理解できなかった声のかけ方。

次男には次男向けの声のかけ方があった。そのための方法、名詞・動詞の使い方なども教えてもらった。

もはや、私に対する日本語の授業。

この個別療育は、子どもに対してではなく、親に対しての面が強いのだ。

ここに通える間、私もしっかり勉強しようと思った。

 

「次は三男君ですね。その日までに、次男君の計画を立ててみて、こんな感じで進めます、というお話がお母さんにできたらいいなと思っています」

なんと、計画まで立ててくれるのか!

受給者証の申請時に市役所に提出した、自分で作ったポンコツ計画を思い出す。

よくあんなポンコツ通ったなと思うが、今後は安心だ。

 

次回は問題児の三男。

次男とは違うタイプの三男。

心配しだせばキリがないが、もう先生にお願いするしかないのだ。

三男の時は、どんな勉強ができるのか私は楽しみだ。