ポンコツな私が、私以上にポンコツな夫の悪口をひたすら綴っていく回です。見苦しいです。

 

 

ことばの教室がどんな場所かを知らない夫に1度で良いから見て欲しいと思い、夏休みをずらしてもらいサマープログラムに参加してもらうことにした。

 

まず、我が家へ到着そうそう私を仏頂面にさせた。

義母からの訳の分からない土産は持ってこないで欲しいとお願いして、分かったと言ってくれたのが前回。

子どもたちへのプレゼントの駄菓子は

“2トンさんに文句言われる筋合い無い”

と義母が言ってきたので、それもそうかと思うことにしていた。(他に言い方あると思わない?)

問題は、明らかに子ども向けじゃない、少しオシャレな(お酒が入ったりしている)お菓子や食べきれないくらい大量のパンに、キロ単位で脂たっぷりの肉がクール便で到着する(肉は義父が肉屋の卸だからだろう)子どもだけじゃ、どうにもならない食べ物たち。

きっと、私の両親や祖父母宛かと思われるが明確に誰にと言わないで持たせるズルイ人なのだ。

手紙の1枚だって入っていたこと無い。

何がしたいのか、私には意味がわからない。

 

物に罪は何一つ無いのだけど、私の心が不安定になるから、どうか持ってこないでくれ。と父が夫にお願いしてくれたのがゴールデンウィークだったかな。

なのに今回、堂々と持ってきやがった。

約束、忘れた??

 

サマープログラムには、この怒りを抑えて出席しようと心に誓う。子どもたちには関係のないことなのだ。

しかし、すぐにこの思いが折れてしまった。

夫ときたら、玄関で子どもたちを迎えてくれる先生に挨拶をするでもなし。

「ねえ、双子たちの担任の先生だよ」

「あ、ども」

…あ、ども…じゃねぇだろ?

どんだけお世話になっているか伝えていたのに。

しかし、ここの先生たちは本当に優しさの塊みたいな方たちなので笑顔のまま

「お父さん、はじめまして。担任の○○です。

こちらにはいつ到着したんですか?お疲れのところ、参加していただきありがとうございます!」

「いや、大丈夫っす」

…消えてしまえ。って本気で思った。

どんどん顔が怖くなっていく私に先生は

「今日も暑くて辛いですね。

お母さん、奥のお部屋クーラー効いているので、水分補給しましょう。3人分の荷物は多くて大変ですよね!持ちますよ、一緒に行きましょう」

玄関前の水槽に釘付けの双子の手を引き、脱ぎたくないと駄々をこねる三男の靴を脱がせてくれた。

夫婦揃って先生に気を遣わせる自分が心底情けなくて泣きそうになった。

 

その後、園長先生や施設の理事長先生との挨拶も同じようなやり取りをする夫にゲンナリする。

 

子どもを見てて、と言っても普段一緒に過ごしていないからできるはずもなく。

「それはできなくて当然なんだから、あんたがしっかりしろ」と母にものすごく釘を刺されて来ている。

先生たちも、夫が慣れていないのなんて承知しているから、すごく双子を気にかけて一緒に遊んでくれた。

 

ここにいる間だけ、優しい空間というか、なんだかちょっと周りと違う子どもといても、変な目を向けられない安心感がある。

同じ社会福祉の仕事をする人なのに、なんで義母は私にあんな酷いことを平気で言ったのだろう。

優しい先生たちと過ごせば過ごすほど思い出して辛くなる。

「これが本当の福祉なんだね。全然違う。一緒な訳がない」

心の声が思いっきり口から出てしまい、なんてこと!と思い夫をみるが、何も聞いていない。ボケーっとしながらスマホを見ている。

 

耐えて耐えてのサマープログラムが終了し、子どもたちも笑顔で先生やお友だちとバイバイ。

車に乗り込み、

「ねぇ?どうだった?」

「まぁ、こんな場所かぁって感じ」 

薄い感想どうも。期待した私がバカだった。

「あのさ、もうちょい先生たちにしっかり挨拶したほうが良かったよ」

「あーそう?」

なんか、心の中でブチッと切れる。

あ、思い出した。

この人、私に昔言ったんだ。

“挨拶して俺に何か得なことある?仕事の上司でもないのにさ”

この人は、こういう人なのだった。

「…いや、私があなたの分も挨拶すればよかったのか…」

 

仏頂面での帰宅。

子どもたちがご飯を食べる間も仏頂面。

母がとうとう私を怒鳴る。

「私はあんたたちが帰ってきたら、給食無くて困るよなって思いで、すぐにご飯を食べられるようにしていたっていうのに!!

せっかく夫さんも来たのに、あんたはなんでそんな顔をしているんだ!?」

そっから、私は狂ったように大声で泣きながら、もうこんな人と居たくない、帰って欲しいと訴えた。

あまりの騒ぎに父も部屋から出てきて

「おい、一体どうしたんだ。

子どもたちが困っているだろ!それに、ご近所さんも驚く。泣き止みなさい」

と怒られる。

「いつも周りの目ばっかり気にして!こいつがどんだけ酷かったか知りもしないで泣きやめなんて言わないで!」

完全に流れ弾くらう父。こうなれば母しかダメだ。

 

「待って。まず、何が気に入らなかった?」

「こいつ、約束破った!」

「“こいつ”はやめな」

「…約束破った」

「ちゃんとサマープログラム一緒に行ってくれたでしょ?」

「ポンコツだったよ!先生にどんだけお世話になったか伝えてきたのに挨拶も出来ない!」

「挨拶できないのなんて今に始まったことじゃないでしょ?!あんたがしっかり言わないからダメだ!できないのなんて分かってたことなんだから!」

母もなかなか酷い。

「分かった。私がそこはダメだった」

「あんたが甘いんだよ。で?あとは?」

「そうだよ。それは百万歩譲って、お義母さんの訳の分からない土産持ってきたから、そっから気分悪かった」

「…は?来た瞬間から機嫌悪いわけ?」

「前回約束してくれたのに」

「あ、俺がした。俺が言ったんだよ。土産は持ってこないで欲しいって」

ようやく父の発言。

「それは私も覚えている。私からもお願いしたから。

それは持ってきたあなたが悪かったね」

夫が呆然とする。

「夫さん、あなたズルくなれば良かった。

私ならね、もしお義母さん用意して持っていけないと言えないのなら、車から下ろさず持ち帰るとかさ、食べてしまうとかさ、フードバンクに寄付してくるとか。

この子に見せない方法、あったよ」

「そんなに嫌がられるなんて思ってなかったんです」

「それも前回説明したけど分からなかったかな?」

夫は困った顔をして、黙り込む。

「まず、これは私達が後でフードバンクに入れてくる。目に見えるのが嫌なら、もう車に積んでおく。これでいい?」

「…私が言ってるのは、そういうことじゃない」

なんでこんなに感情のコントロールができないのだろう?

私、とうとうおかしくなったのかな?

驚くぐらい汚い乱暴な言葉がどんどん溢れてくる。

「違うだろ?約束平気で破るような奴と一緒に生活したくないんだよ。どうせ、お義母さんに私がなんで嫌なのかも伝えられずに来たんだろ?!」

 

私がどんなに酷いことを言われたか、

その時の夫が味方にもならず、私を一人にしたこと。

お金使い方の荒さ、

気に入らないと部屋で暴れ私の胸ぐら掴んで脅す。

夫や義父母が私にしてきたこと、今まで親にも言わないでいたことを全部吐き出す。

 

「ほら、前みたいに胸ぐら掴んで文句言えよ!」

黙り込む夫を見かねて母が私を睨む。

「もうやめなさい。夫くんも、言われっぱなしじゃ無くて思うこと言いなさい!良いの?こんなに言われて!?これじゃあ、この子が一方的過ぎるよ」

「…いや、その…」

「全部本当だから言い返せないんだろ?」

「あんたは黙りなさい!」

「いや、黙らないね。いつもそう!困れば黙って部屋に籠もる。それをあなたの両親は良しとして、追い詰めたのはあなたでしょ?と私のせいにする」

呆然とした顔で母が夫へ聞く。

「…全部本当なの?」

夫がこくん、と頷くと父はとても深いため息をついた。

母は呆れたように続ける

「あー。だとしたらあなた達親子は最低だ。娘になんてことしてくれた?

この子の自己肯定感、前はもっとあったのに、こんなに奈落まで突き落として人格まで変えるようなことして!なんてことしてくれた!?」

「被害者ぶるのやめろよ。私が被害者だよ!」

「いや被害者は、あんたじゃなくて私とお父さんだな」

「…あの、僕は…僕は昔から人の心が分からないのです」

「はぁ?!本当に都合のいいときだけそんなこと言ってんじゃないよ?私が何度も指摘したのに、あんたら親子は私が発達障がいだって言ってきたろ?!」

「あんたは黙りなさい!!本当に黙りなさい!」

怒鳴られ、シブシブ黙る。

 

母はそれから、静かな声で、まるで子どもに話しかけるように穏やかな声で話す。

「そう。じゃあ、娘がなんでこんなに怒っているのか、泣いているのか、分からなくて困っているのね」

「うちの親が嫌いで怒っているのは分かります」

「…なんで嫌いか分からない?」

「…分かりません」

「小さいときから大変だったんじゃない?

気付いたら周りの子を怒らせてしまったり、一人ぼっちにされてしまったり。

両親にもうまく伝えられなかったり」

「あー…そうかもしれませんね」

 

ほら、ずっとずっと私が指摘してきたこと。

なんだよ、自覚あったんじゃない。

 

「双子はさ、特に三男。あなたと、同じ。

ことばの遅れはもちろん、人の心や表情を理解することがとても苦手なの。

どんなに娘が怒っても、怒られていると分からなくてニコニコして抱きついてくるんだよ。

小さいうちから、こういうときはこうする。こんな言葉をかける。って教えていくの。

今日あなたが会った先生は、そういうプロ。

大きくなって学校行ったときに、少しでも困らないようにするために訓練するの。

あなた達が子どものとき、まだ発達障がいなんて言葉は無かった。躾がなってないとか、男の子だからこんなもんでしょ?と言われていた世代なの。だからあなたも、あなたのお母さんも悪くない。

ただ、あなたのお母さんは、もう少しあなたと話をするべきだったと私は思う」

 

母が私を見る。

「これで全て合致したでしょ?

残念だけど、夫くんがあんたの気持ちをお義母さんに伝えることはできない。まぁ、伝える必要もないでしょうと私は思う」

「合致って…私はイヤだよ。今更!!双子みたいなのが一人増えたってことでしょ?!」

「なんてこと言うの!」

「訓練もしてこなかった。認めもしなかった。疑いもしなかった。全部お前がおかしいで済ませてきた人を、今更…はい、そうですか!心が分からないなら仕方なかったよね。って許せるほど私は人間できてない!」

「あんたが一緒に訓練していくの!あんたが対処法を学ぶんだよ!」

「なんで?!なんで私ばかり!」

私の一言が夫にとんでもないとどめを刺した。

 

「私の人生返して」

 

言ってしまった言葉は取り消せない。

夫はポロポロと泣き始めた。

そんなに自分のことが嫌いなら、子どもに対しての責任はあるから今まで貯めてきたお金は全額私に渡す。

そして自分は身を引く。

と言い出した。

「は?!私たちの貯金(世間一般ではささやかすぎる金額)で私の人生弁償できるとでも思ってんのか?!

ふざけんな?!どんだけ失礼なんだよ。そんなに私の人生安かったか?!安いのかって聞いてんだよ!」

「やめなさい!」

「ごめんなさい…」と泣き続ける夫。

「いや、泣くなよ。こっちが泣きたいよ。話し合いをしたいと一度うちに来たあんたのババアも泣いたよな?同じかよ。ふざけんな?」

「お義母さんと言いなさい!」

ちょっと黙りなさいと睨まれる。

「この子の言いたいことは、きっとそのお金があるのなら、何か別の道を見つけてほしいということ。

まず、あなたは1度家を出るべきだと思う。この子は、あなたのお母さんの住むあの家にはこれから先戻ることはないのだから。

そのお金、この子に渡すよりも、また場所を変えて一緒に暮らす方向には向かない?」

「向かないです。自分は、こんなにも嫌われている」

「…あんたのせいだよ?こんなに追い詰めて」

「私!?私がどんだけ追い詰められて帰ってきたと思っているの!?こんなの優しい方だ。私はあの家で誰にも話を聞いてもらえなかった」

「あの家と、うちを同じだと思うのやめなさい」

「私が悪者?!」

「あの人たちと同じ人間になりたいのだったら、そうやって続けていなさい!なんて醜い!!」

 

夫の両親と同じになるのはごめんだ。

となれば、落ち着くしか無い。

子どもたちは空気を読んだのか、いつの間にか布団の上で昼寝をしていた。

 

「子どもたちにまで気を使わせて、情けない!

あんたがそんな顔しているから、ことばに困っているこの子たちをもっと困らせる!

不安にさせるんだ!

母親なんてやめてしまいなさい!自分のことばかり!

夫さんも、子どもへの責任が、とか、前回話したときも子どもがかわいそうだから離婚はしない、とか。

あなたはいつも子ども子ども。

あなたのお義母さんなんて双子の話もしない。

家を継いでくれる、障がいのない長男一人欲しいの?

あなただけでも、娘を想ってくれる人はいないのか?」

 

沈黙が続く。

父が

「誰も冷静に話せる状態ではないから、まず少し休んでから帰りなさい。この状態で帰ったら、事故にあってしまう。そうなれば、皆心残りだろう」

「追い出したことになるよ。あなたは娘がされたことと同じことをするんだ?」

「お母さん、状況がまるで違うだろ。こうして親を挟んでも会話ができてない。お互い一緒にいても、何も話ができる状態じゃない。

お前もいいね?夫くんは今日帰る。だからもう泣き喚くのはやめるんだ」

 

この歳になって、両親を巻き込んでの夫婦喧嘩。

「こんなに怒っているなんて知らなかった…」

と夫はもう反撃も何も無く、ただ呆然としていた。

 

そして、昼寝から起きた長男に母が説明する。

「パパが一緒に住んでいたおばあさん。長男にとっては、ひいおばあちゃん。ちょっと具合が悪くて、心配だから帰ることになっちゃった」

実際、施設に移ったおばあさんの体調はすこぶる悪かった。

「そっかぁ。残念だなぁ。パパの夏休みはとても短いんだね。ママ、パパ居ると具合が悪くなる?元気ない」

「そんなことないよ。ママ、パパに意地悪言ったり、ちょっとワガママ言ったから、ばあちゃんが怒ったんだ。ばあちゃん、とてもたくさん怒ったから、ママ元気ないだけ」

「明日は元気?」

「夜には元気になると思うよ」

子どもたちと夕食を食べ、一緒にお風呂に入る。

双子が寝てから、長男とバイバイをし、夫は千葉へと帰った。

 

翌朝、次男は「パパは?」と探していたが、長男が帰ったんだよと伝えると「かえったのか〜!ママ、あそぼー!」となんてこと無いのか、いつもの朝が始まる。

三男はパパを探すでもなく、「くだしゃ〜い!」とヤクルト目指して食卓へ一直線。

一緒に暮らした時間が少ないとこんなもんなんだろうか。

一番かわいそうなのが長男なのは確かだ。

 

数日間は自己嫌悪でいっぱいだった。

しかし、ことばの教室の夏休みが終わると、また忙しい日が始まる。

夫とのことは何も解決できないままで、どうやって気持ちの分からない人と話し合いをすればいいのか分からない。

義母は今まで、どうやって彼と会話をしてきたんだ?

いや、きっとしてこなかったから、こんな状況になってしまったんだ。

 

どう考えても、やっぱり私が対処法を学び、彼の特性を理解して接するしかないのだ。

 

あ~なんか私、悪いことしたのかな?

だからこんな悪いことばかり続くのかななんて思ったりする。

もはや私を嫌っている義母の呪いなんじゃないかとすら真面目に考えた。

 

いやいや、何かのせいにするのは良くない。

良くないけどさ、何かのせいにしないと、こっちもやっていられないよ?!

 

あ~穏やかに、日々の生活を送りたい。