残念すぎる職業訓練校不合格通知が届く数日前の話。


「そういえば、パソコン教室どうなりました?」


ヘルニア再発か腰が辛くて最近お世話になり始めた先生に聞かれる。


「落ちました。不合格通知まだ来てないんですが」

「え?通知が来てないのに何でまたそんなこと?」

「いやぁ、私が甘かったんですよね色々と。

あと、私が顔と態度にイラッとしたことが出てしまって」


詳細を話すのもよくない。

サラッとフワッと事情を説明。

先生は、災難でしたねと声をかけてくれた。


「昨日またハローワーク行ってきたんです。その時に面接どうでした?って聞かれたんです。まぁ、どうもこうもないわ!なんて言えないんでね、少し思ったことを話してきました」

「へぇ」

「面接官の高圧的な感じというか…まぁ、私の思い込みだと言われたらそれまでなんですけどね」

「でも、それって伝えにくくないですか?僕なら言えないかも、どうやって伝えたんです?」

「まず、大前提に私が面接を受けることがもう10数年ぶりな訳です。古い話しか知らないので、単純に“最近の面接は、あのようなスタイル…圧をかけるといいますか…圧迫面接がブーム…というか主流なのでしょうか?”としれっと聞きました」

「えぇ!?キツ〜イ!!僕、職員だったらビビる」

「慌てて“まさか!そんなことありません。圧迫面接なんてとんでもない!今回は、ものすごい倍率でしたので、面接官も相当厳しい質問をしたのだと思います”と答えました。そんなの、分かってますよ私も。

なので、“それは承知しています。ただ、託児付きと記載している以上、様々な状況の母親が面接に来ることがあると思うんです。面接官の問いかけは、子どもは健康な一人っ子。かつ、手助けをしてくれる両親が近くにいる者限定、という印象でしたよ。ハローワークでもそのような人、もしくは独身だけに職業訓練校に通ってもらいたい、ということなんでしょうか?そのように依託されてるんですか?”という内容をできるだけ優しい言葉で聞いてみました。まぁ、その後、少し感情的な私の思いも言ってしまったんですけどね…」

「…どうしよう、怖い」

ガチでポロっと出てしまった先生の本心なんだろう。

先生がハッとして、慌てて

「いや、その、あの…子育て世代の再就職?は重要ですよね、国が働けとか言っといてそんなんじゃねぇ!」

…先生、無理しないで。

「他の面接者からは圧迫面接だなんて苦情来てないし、今までも無かった。そんなことありませんよ!って言われました。そうですよね。ですから私も色々と言うのもどうかと思って、“分かってます。ただ、少し辛かったです。他の子は一人あたり20分と長い時間かけて面接。私はものの5分。場違いでした。申し込みしてすみませんでした”って」

「そうでしたか…」

「はい。で、」

「で?とは…?」

「肝心なこと伝えてないから、最後に言いました。“とにかく今回の面接、私が悪いところも多かったです、準備不足もありました。当日の息子の高熱騒ぎでご迷惑もおかけしてしまいました。けど、面接官のあの態度、非常に不愉快でした”と」

「意外に鋼メンタルですね、うわぁ、こわっ…じゃなくて、キツイなぁ、僕が職員だったら無理!!」

ちょいちょい本音が出てしまう先生。

「先生、ハローワークって、本当に激しいこともある場所なんですよ。生活かかってる人が来るんです。

職員さんも、鍛え抜かれたプロなんです。なので、私がこんな酷いこと言ったあとも、ちゃんと“落ちた場合、パート探しということでいいですか?”と普通に話を振ってきました」

「もはや、お互い強い…」

「先生、鋼と言いますが、私だって本当に面接で傷付いたんですよ?」

「え?!傷付いたんですか?」

そんなに文句言えるのに?という言葉を多分先生は飲み込んでくれた。

「こんだけ聞いたらクレーマーみたいでしょ?

ハローワークで伝えたとき、私はものすごく嫌な気持ちになりました。帰宅後も一日中落ち込んでいたんです。

でも、同じような思いをするお母さんがいたら、もっと嫌だなって思っただけ」

「女性が働くのって、大変なんですね…」


先生は最後に

「腰だけじゃなく、あちこち状態がよくないです。できれば日付をあけずに来てください。これ、GW中のご案内です」

「先生、GWもやってるんですか?!」

「祝日ですから早く閉めますよ?夕方6時までなので、気をつけてくださいね」

それは、早いというのだろうか?


様々な人を日々診る先生が“鋼メンタル”と言うのだから、私は強いのだろう。

この鋼が悪い方に向かわぬよう、要注意して人と接しなくては。