第3話「KGB」

 

危険な作業を終えるまでボリスとレガソフは作業員たちと不安な表情で待ちます

 

 

3人が命がけの作業を終えて、原子炉の外へ出てきます

作業員たちから歓声が上がります

志願者の若者の一人が渡されたウォッカの瓶をボリスに向けます

 

 

ボリスは慣れない微笑みで応えます

 

 

第一の危機は克服します



ゴルバチョフ書記長に電話で報告したボリスはレガソフを外に散歩に誘います
現場で被爆しながら作業を行っている者たちがどうなるか質問します


レガソフは短期間に莫大の量の弾丸である中性子が体内に入り込むとどうなるか正直に説明します


やがて組織の損傷が現れ始めます
骨髄がダメになって、免疫系がやられる
臓器や軟部組織が腐り始める
血管がボロボロになって、あちこちで出血し
モルヒネも効かなくなって
想像を絶する激しい痛みが全身を襲う
そして、3日から3週間で死に至る
それが彼らの末路です


じゃあ、我々は


まあ、一定量は浴びてますが
彼らほどじゃない
細胞は死んではいないでしょうが
DNAは確実に傷ついています
ですから時期にガンか再生不良性貧血になるでしょう


そうか
なら我々はまだマシなほうだろうな
ヴァレリー


レガソフのファーストネームで呼んだボリスは、KGBに監視されていることを教えます


ああやって姿を見せてるのは
我々にそれを警告するためだ


石炭省から派遣された役人が兵を連れて
鉱山労働者に理由も言わずに、政府の仕事に参加するよう横柄な態度で命じます


 

 

そうか
なら撃てよ
全員分の弾は、ねえだろ
弾が切れたら、残った仲間が
お前らをぶちのめす


(兵士)おい、口を慎め


うるせえ、黙れ
ここはトゥーラ
俺らの炭鉱だ
わけもわからず出ていけるか


石炭相は正直に仕事の内容を伝えます

地下水が汚染されないように地面を掘ることでした

場所は爆発があったばかりのチェルノブイリです


君たちにそれを食い止めてほしい


食い止めるってどうやって?


私は知らされてない
その情報はいま必要か?


鉱山労働者たちは石炭相にゆっくり近づいて
一人ずつ石炭相の綺麗なスーツをたたいて
全員がその仕事を引き受ける意思を示します

スーツも顔も汚されていく石炭相はされるがままです


石炭省らしくなったじゃないか


発電所に来たグルコフはボリスとレガソフの説明をうけます

不審な点をつっこんで二人を困惑させながらも
仕事はプロとして引き受ける姿勢を見せます


明日の朝から仕事を始めるというボリスはグルコフに伝えます


いや、今からだ
こんなところに仲間を長居させたくない

効き目があるなら、あんたもつけとけ

(とボリスに炭坑用マスクを投げ渡す)

レガソフは、同僚の科学者ホミュックがKGBに逮捕されたことをチャルコーフKGB副議長に伝えます。
ストレートな対応にボリスはレガソフを止めようとします。
レガソフはチャルコーフに失礼を承知で、ホミュックの逮捕の理由を聞きます
チャルコーフは答えます


悪いが誰のことかわからない

レガソフは粘り強く頼みます
ボリスはレガソフを止めようとします

レガソフは自分とボリスさえも尾行させていることへの不満をぶつけます


KGBのよからぬ噂を聞いたんだろうが
我々は人が言うような恐ろしい組織じゃない
確かに君にも尾行はついてる
その尾行にも誰かついてる
あれを見ろ
私にもついてる
KGBは説明責任の輪にすぎない
気にするな



我々の仕事を見ても信用できないんですか?


信用してるとも
だが昔から言うだろ
『信じても検証せよ』
アメリカ人はこの格言をレーガンが作ったと思っている
笑えるだろ?
話せてよかった



釈放してください


じゃ、君が彼女の責任を負うか?


レガソフは黙ってうなずきます


いいだろ


名前は…


知ってるよ
では失礼



チャルコーフが去った後

レガソフは『自分はバカなことをしたか?』という表情でボリスを見ます


黙って見守っていたボリスはレガソフに近づいて言います

 

いいや
今の君はよかったぞ
実直なバカに見えた
実直なバカは脅威じゃない

 

レガソフとボリスの間に友情のようなものが芽生え始めるのでした

 

次回は第4話になります