【写真1】入賞者6人の表彰式の様子。前列右から1位藤原盛企さん、2位押山一路さん、3位福山日陽さん、後列右から4位小林龍和さん、5位岡本周さん、6位深澤太一さん。
昨日5/3(火・祝)東京・中央区の日本橋公会堂で開催された、第53回クラシカルギターコンクールを観戦してきましたので結果をお知らせします。
【第53回クラシカルギターコンクール結果】(敬称略)
第1位 藤原盛企
第2位 押山一路
第3位 福山日陽
第4位 小林龍和
第5位 岡本周
第6位 深澤太一
※二次予選会には34名がエントリーし、3名の欠席者が出て、出場者は31名でした。
第1位を獲得された藤原さん、おめでとうございます!
表彰式の祝辞で述べられていましたが、2008年からこのコンクールに挑戦を始めたとの事で足掛け14年目にして栄冠を勝ち取った事になります。石の上にも3年どころか14年ですね。長年の絶え間ない努力に敬意を表します。
私は藤原さんの演奏をスペインやクラシカルなどのコンクールで何度も聴かせて頂いてきましたが、正確なテクニックと美しく大きな音、そしてダイナミックで雄大は音楽表現が感じられる見事な演奏で、優勝に相応しい演奏でした。この日の演奏はこれまで聴いた中で最高の演奏でした。結果発表前に優勝すると思っていました。大阪在住で現在30代との事ですが、これを契機に更なるご活躍を期待しています。楽器はキム・リサラグ。
第2位の押山さんは高校1年生ですが、高度なテクニックに裏付けられた安定した音楽は大いに好感が持て、将来性を感じました。優勝者との差もわずかだっと思います。押山さんは2年ほど前に私が開催した「ギターコンクール優勝者の競演」シリーズに出演して頂いたことがあり、早くからその才能に注目していました。楽器はサイモン・マーティ。
第3位の福山さんもまだ高校2年生と若く、名古屋在住との事。ダイナミックで迫力がある演奏は優勝してもおかしくないような素晴らしい演奏でした。今後の活躍が期待されます。
第4位の小林さんは20代の若者に見えましたが、メカニックの完成度は非常に高かったものの、音楽表現力に単調さがあった事と、音に潤いが無く乾いた感じだったのが惜しい演奏でした。楽器はスモールマンと思われる。
第5位の岡本さんは中学3年生と今回の本選会最年少で、唯一の女性奏者。テクニックや音楽性に高いものを感じましたが、上位入賞者に比べて音の力強さや迫力が足りなかった感じ。音楽を表現する基本的な能力と将来性は十分に持っているので、大きな表現力を目指して精進して欲しい。岡本さんは今年7/31に浦安音楽ホールで開催する「ギターコンクール優勝者の競演Vol.18」に曽根知輝さん、高田英里佳さん、山本采和さんの4人で出演していただく事になっています。
第6位の深澤さんは20代の若手に見えましたが、課題曲のジュリアーニの大序曲で何か所か大きなミスをしてしまい、結果的にそれが最後まで挽回できなかった結果での6位となったと思う。自由曲の演奏が素晴らしかっただけに、一発勝負のコンクールの怖さを感じました。安定感が出てくれば優勝が狙える逸材だと思う。
私は二次予選を全員聴きましたが、本選に行けそうな方を7人選んでいましたが、その中の6人が本選に進出しました。残り1名は高田英里佳さんでしたが、わずかの差だったと思います。その他、曽根知輝さん、二上育矢さん、木村崇雅さん、金丸花実さん、大里康平さん、小林透さん、森田晴さんなども本選に行く可能性を感じさせる演奏でした。年配者の方の中では山本孔彦さん、種谷信一さんの演奏が良かったです。
本選演奏前には、昨年の優勝者大谷恵理架さんの記念演奏がありましたが、優勝から1年経過して更に進化した見事な演奏を披露して下さいました。大谷さんはこの春に高校を卒業したばかりのこの世代のトップを走る若手実力者の一人です。大谷さんは今年3月に浦安音楽ホールでリサイタルを主催させて頂き、多数の来場者で盛況でしたが、来年4/16にも浦安音楽ホールで2回目のリサイタルを開催する予定です。お楽しみに!
さて、ゴールデンウイーク真っただ中ですが、今日は14時から東京文化会館で開催される岡本拓也ギターリサイタルを聴いてきます。こちらも楽しみです。
【写真2】表彰式の様子。中央は審査講評をする小笠原委員長。
【写真3】優勝した藤原盛企さんの賞状授与式。
【写真4】会場の日本橋公会堂
【写真5】惜しくも予選突破ならなかった高田英里佳さん、曽根知輝さんと私。