七夕が過ぎました。まもなく、祇園祭りや天神祭りがやってきます。街にお祭りの囃子が聴かれるようになると、また、夏がやってきたと感じます。蒸し暑い日が続きますが、あたまがオーバーヒートしないようにしましょう。そうそう、がん細胞もオーバーヒートしちゃった細胞なのです。続いてはがんを引き起こす遺伝子の異常についてお話しましょう。
治療法シリーズ 3: 『がん遺伝子』
現在、マサチューセッツ工科大学の生物学教授であるRobert WEinberg博士は、1982年にras遺伝子の変化ががんの原因であると発見しました。この癌化につながるという癌遺伝子の発見以来、発がんメカニズムの研究は急速に進歩してきました。細胞が分裂して、組織や臓器を作り、生命を維持するしくみが同じメカニズムからなっていることも解ってきました。
癌の発生や進行にはさまざまな遺伝子が関わっています。これらの遺伝子の中には癌化させる遺伝子だけではなく、癌を抑制する遺伝子もあると解ってきました。これらの遺伝子に異常が起こると癌が発生したり増殖したりします。自動車に例えると発癌遺伝子が自動車のアクセル、癌抑制遺伝子は自動車のブレーキに相当し、癌遺伝子の異常はアクセルが踏み込まれたままの状態、癌抑制遺伝子の異常はブレーキが壊れてしまった状態と考えられます。ひとつだけの遺伝子異常であれば、対になった遺伝子がその異常をカバーしてがん細胞とはなりません。しかし、異常がいくつか重なると、細胞周期をコントロールできなくり暴走が始まります。
いままで抗がん剤治療などで腫瘍の増大を抑えることができていた癌が急速に増悪した場合には、アクセルの異常に加えて、ブレーキの制御遺伝子も異常をきたしていると思われます。この制御遺伝子の代表がp53遺伝子です。p53遺伝子はp53蛋白を作成し、RAS蛋白と結合することでRAS蛋白の暴走を抑えます。ブレーキが壊れた状態では、ブレーキを正常なものと交換することが必要となります。これがp53遺伝子治療です。異常なp53遺伝子を、正常なp53遺伝子と置き換えることで、正常なp53蛋白を作成させ、RAS蛋白の異常暴走を止めます。p53遺伝子治療は分子標的治療薬と同じところで働いています。


