最近の急激な気候の変化には、私もついていけなくなりました。ここ2週間ばかりはウィルスに悩まされました。こう書くと遺伝子治療のウィルスか?と思われるかも知れませんが、実は風邪ウィルスと帯状疱疹ウィルスのダブルパンチを受けました。たぶん、私の免疫細胞が気候の変化についていけなくなり、ウィルスの侵入を赦したのでしょう。帯状疱疹は免疫低下の表れです。いままで体内で押さえ込んできた水痘ウィルスが免疫の低下をきっかけに活動を始めたのです。皆様も気候の変わり目にはご注意ください。

ウィルスを使った治療法のつづきをどうぞ。


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治療法シリーズ 6: がん治療の『遺伝子はどうやって新しいものと入れ替えるか』

遺伝子は細胞の外にあっても働きません。細胞内の核のなかの染色体に組み込まれて、はじめてその機能を発揮します遺伝子を細胞に入れて働かせることを遺伝子導入といいます。遺伝子導入にはベクターと呼ばれるものを使用します。ベクターには、元々細胞に入り込む性質を持つウイルスの「殻」や、脂質のボール(リポソーム)等が使われます。ウイルスはもともと、空気中や水のなかに浮遊していて、ひとが息をしたときに吸い込まれて、鼻の粘膜や、口、呼吸器などの粘膜に引っ付きます。細胞表面にくっ付いたウイルスは細胞膜と一体化するかたちで細胞膜を通り抜けます。映画のターミネーター2での形状記憶合金ロボットが鉄格子をすり抜けていくイメージです。細胞膜を通り抜けて、核に近づきますが、ここにも核膜があります。これも通り抜けて、遺伝子は染色体とドッキングします。












やっと本格的な秋になりました。今年の異常気象の猛暑を皆さまは、無事乗り越えられましたでしょうか?われわれが住んでいるこの地球も、わずかな変化で大きく異常な気象状態になります。人間のからだも同じことで、わずかに遺伝子が異常をきたすと発ガンに繋がります。もちろん、からだにはその異常を修復する機能が備わっていますが、頻回に異常をきたすと修復が追いつかなくなります。これからは穏やかな気候が続くことを祈っていますが、気候の急変に耐えられるように体力を作っておきましょう。味覚の秋です。さんまの季節ですが、はやく安く市場に出回ってほしいものです。






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治療法シリーズ 5: 『遺伝子治療の社会的影響』

異常な遺伝子をコントロールすることで発病を抑えようとする治療が遺伝子治療です。しかし、遺伝子治療は、生命の根幹を操作するため、他の治療法よりさらに難しい倫理的・社会的問題を生じます。生命の根幹である遺伝子を操作することは生命の神秘の領域を侵すと考えられ、特に宗教的見地からは、造物主の神聖な領域を冒すこととなります。遺伝子検査により出生前に遺伝子病が発覚すれば、遺伝子疾患による患者・障害者はこの世に生まれられない、という事態が生じます。倫理的問題や宗教観の違いにより、日本をはじめ多くの国での遺伝子治療が、臨床的応用に至る一歩手前で止まっています。遺伝子操作を野放しにすると、優秀な遺伝子だけをこの世に残し、劣等であると判断した遺伝子は排除されるようなことにもつながります。しかし p53遺伝子治療はもともと存在する正常な遺伝子を、壊れた異常なp53遺伝子と置き換えるものなので、倫理的問題はないと考えられます。世界中で臨床的応用が可能となっている遺伝子治療はp53遺伝子治療だけです






お盆が過ぎ、処暑も越え、9月に入りましたが、蝉の鳴き声が収まりません。秋の音色が聞こえてくるはずなのに連日、猛暑日が続いています。新聞では連日のように熱中症の記事が見られます。これらの記事を見るたびに、人間はもろいものだと考え込みます。熱中症は日射病や熱射病などの総称ですが、高温下で発汗機構や循環系に異常をきたして起きます。体温上昇、発汗停止とともに虚脱・けいれん・精神錯乱・昏睡などを起こし、生命の危険を伴うこともあります。体温の調節機構が狂ってしまうと、からだを維持できなくなります。からだの体調を整えて、残った夏を乗り越えていきましょう。ガンもおなじことでからだのバランスが崩れた時に発症します。遺伝子のくるいによってがんが出来てきます。さて治療法シリーズの続きです。 



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治療法シリーズ 4: がん治療の『分子標的治療から遺伝子治療』

異常なRAS蛋白は正常細胞に存在するがん遺伝子が突然変異を起こした際に生成され、細胞のがん化を誘導するといわれています。細胞核の染色体に分裂しなさいよ、と信号を出すRAS蛋白が異常な興奮を繰り返して、細胞分裂が繰り返されます。このRAS蛋白を制御して、細胞分裂が活性化されるのをコントロールして、細胞周期を安定させているのがp53蛋白です。

RAS蛋白の活性化を阻害する薬がBisphosphonate Complex (A121)ですが、これと同じように53蛋白はRAS蛋白と結合してその働きを制御します。p53蛋白を作っているのがp53遺伝子で、正常細胞では、p53遺伝子の発現はごく低レベルです。発がん遺伝子が活性化していたり、低酸素で細胞がダメージを受けたとき、化学物質や放射線などでDNAに損傷を受け、細胞に異常が起こった場合には、p53遺伝子が活性化されます。それによりp53蛋白が生成され、がん細胞および傷ついた細胞のアポトーシス(細胞の自殺死)を引き起こします。壊れた細胞を自殺死させることでがん細胞を結果的に消滅させているのです。このp53遺伝子が傷ついた場合は、異常なp53蛋白がつくられますが、まともに働かないため、RAS蛋白の暴走を防ぐことはできません。遺伝子治療は正常な遺伝子を細胞に補い、遺伝子の欠陥を修復・修正することで病気を治療する手法です。現在、臨床投与可能な遺伝子治療は、癌組織中に正常なp53遺伝子を投与するものです。