こんな私になったのはお母さんのせいよという怒りはなぜ消えない？

こんにちは。公認心理師の上土井好子です。

「あなたはどんな人ですか？」
って聞かれたら、なかなか言葉で表しにくいと思います。
だって全部を語りきれるわけないし…

そもそも自分でも自分がよくわかってないということもあるはず。

「自分はこういう人間だ」と作り上げていく作業は、
生まれてから始まっています。

でも小さい頃は、自分を客観視する力もなければ、
そもそも、そんなに言葉を習得しているわけでもありません。

だから人から言われたことがダイレクトに入りやすいんです。

母親から、「もうあなたは落ち着きのない子ね」なんて言われると、
自分は落ち着きのない子供なんだと自然と思ってしまいます。

でも実は、自分がどんな人間かという思い込みを作るものが
もうひとつあるんです。

それは、母親が第三者に自分のことを話している時です。

たとえば、
「下の子はお姉ちゃん見てるからか要領いいんだけど、上の子は消極的だし要領悪いのよ」

なんて話を横で聞いてないふりして聞いてたりすると、
そうか、やることが遅いのは要領悪いっていうのかって思い込んでしまいます。

これは母親を責めているわけではありません。
まあまあ大人の会話で話しがちなことです。
程度の差は確かにありますけどね。

本当は褒めたいんだけど、
なんだか自分の子を自慢してる風に見られるのもなんだし…
ということもママ友との間では起りやすい。

本当はポジティブな面を強調してもらいたいものですが、
そう言わなかったから、
こんな自分になって今しんどい思いをしてると母親を責めても
これからの自分の人生に対して時間を無駄にしていしまっています。

言いたい気持ちは十分にあるでしょう。
親に反省してもらい謝罪してもらいたい。

私の感覚ですが、
親に直接話して謝ってもらうことで、
すっきりして気持ちに踏ん切りがつき前に向かえる人と、

怒りをぶつけて謝ってもらっても、どうもいっときで、
何度も怒りをぶつけては自分が被害者だと感じてしまう人と、
半々くらいな感覚です。

なぜ怒りをぶつけ続けるのかは、人によって理由は様々ですが、
理由のひとつに、
過去のあのときの親に反省して謝ってほしいというのがあります。

目の前の今の母は、
もしかしたら、
覚えてないけど適当に謝ってるのかもしれない、
謝れっていうから謝っただけで反省などしてないのかもしれない、
そう思うと怒りが復活するんですね。

素直な人ほど、人の言うことをすんなり心に入れてしまいます。
言い方を変えれば、真に受けやすいということです。

だからきっと傷つくことも多かったのではないでしょうか。

「自分はこんな人間だ」と言うのは、
固定されているわけではありません。

でも過去に付けた自分の思い込み通りの人間だと思う方が、
実は楽だし、自分にも言い訳が付けやすい。

しかし実際はいくつからでも自分を作り替えることができます。
そんなに簡単で楽な作業ではないかもしれません。

でも母親や他人から着せられた服で過ごすより、
自分が選んだ服を着て過ごす方が、
心は楽になっていきます。

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