いい依存と悪い依存の境界線はここです

こんにちは。公認心理師の中野好子です。

「依存」と聞くと、どうもあまりいいイメージで捉えられません。
最近は、「依存症」とか「○○依存」とか「共依存」という言葉が

よく聞かれるからかもしれませんね。

本当に「依存」は悪いものなのでしょうか。

人間ってそうそう強い生き物ではありません。
強がっている人はいても、どこかに弱さを隠し持っています。

何にも依存せずに生きていけるほど、人間は強くないのです。

辛いときや苦しいとき、つまらないときや不安なとき、
人って何かにすがりたくなります。

そんなもんでしょ、人間って。

だから、ちょっとだけ逃げさせてもらえるものがあれば、
また前を向ける、元気になれる。
そういうものが「依存」先であれば、それはそれでいいと思います。

でも確かに「悪い依存」もある。

その「悪い依存」にどっぷり浸かってしまった状態が、

「依存症」であり、「○○依存」であり、「共依存」です。

いい依存と悪い依存の境界線ってどこにあるのでしょう。

多くの人は、初めて精神科で出された薬を飲むことを躊躇します。

怖いんです。
どんな風になってしまうのか、どんな副作用があるのか心配するのと同時に、

いったん飲めば、薬から離れられなくなるのではないかという不安です。

薬漬けになってしまうのではないだろうかという不安。
薬に自分が支配されてしまう怖さ。

人間は自分が他の何かに支配されてしまうことへの恐怖を持っています。
おそらくここが境界線なんだろうと思います。

「悪い依存」というのは、ここを越えてしまった状態です。

「これがなければ」「あなたがいなければ」生きていけない…
ところまで行ってしまっては、

それは「依存」することで生きる活力を得る方法ではなくなります。

「依存」できなければ、生きていけないくらいのものだと、

それが無くなる恐怖と生きていくことになり、

その恐怖に耐えられなくなって自分を捨てていくことになって

どんどん幸せな人生から遠のいていきます。

追いすがって力ずくでも離そうとしない「依存」は、

相手からすると本当にすさまじい怖さを感じるでしょう。

「悪い依存」は相手から支配されています。

そして依存する人は、逆に依存先を支配したいと考えます。

この依存関係に「支配」という言葉が出てくるようになると、

それは「悪い依存」だということです。

「依存」を悪者にしてはいけない。
しかし、そのためには境界線を越えてはいけない。
だから依存先をたくさん持っておきましょうと言われているわけです。

今自分が「依存」しているものに支配されていませんか？
自分のコントローラーを渡さないようにしましょう。

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