海の前のカウンセリングルーム olive　　　　　心がほっとする読むカウンセリング

動物園のガラスが教えてくれた、人と自分の境界線

こんにちは。

カウンセリングスペース「オリーブ」の中野好子です。

先月、名古屋の動物園に行ってきました。
ずっと会いたかったコモドドラゴンのタロウ君にも会えて、大満足の一日でした。

他の動物たちもゆっくり見て回れて、どの子も本当に可愛くて癒されました。

その中でふと立ち止まったのが、熊舎の前。
今年は熊の被害がニュースでよく取り上げられていましたよね。

目の前の熊はとても可愛いのに、私と熊の間に分厚いガラスがなかったら…さすがに「可愛い」なんて余裕は持てないな、と感じました。

動物園は、動物と人の間に「絶対に踏み込めない境界線」があります。
だから安心して「可愛い」と思えたり、じっくり観察できたりするんですよね。

そしてこれ、人間同士の関係にも当てはまるな…と改めて思いました。

私たちにもそれぞれ“心の境界線”があります。
近くに引いている人もいれば、かなり遠くに引いている人もいます。
線がはっきりしている人、ゆるく曖昧な人、これも人それぞれ。

だから、ひとつの言動でも受け取り方がまるで違ったりします。

境界線がゆるめの人にとっては、しっかり線を引く人が「冷たい」と感じられることもあるし、
逆に境界線を強く引く人にとっては、ゆるめの人が「どこまで踏み込んでくるの？」と不安になることもある。

お互い悪気はなくても、違いがすれ違いを生むことがあります。

それに、人が感じる「感情の温度」も違います。

表にしっかり出す人もいれば、外からは分かりにくいけれど心の奥で深く感じている人もいます。

人はつい、自分と同じ“温度”を相手にも求めてしまいがち。
だから違いに触れると、不安になったり傷ついたりすることもあります。

でも、どちらが良い悪いという話ではありません。
むしろ、自分とは逆のタイプに惹かれることだってありますよね。

大切なのは、
相手の境界線や温度を変えようとしないこと。

人は「安心できる場所」があるからこそ、少し変わってみようかなと思えるのです。

守ってほしい部分を壊されそうになると、余計に強く固くなってしまいます。

動物園のガラスのように、
お互いの世界はきちんと守りながら、ちゃんと見合えている状態。

そんな関係が、人を安心させるのかもしれません。

人との間だけでなく、自分の中にも境界線を作ってしまうことがあります。

たとえば、小学生から中学生になるとき。
「なんだか今までとは違う世界に入る気がする…」
そんなふうに不安になった経験、ありませんか？

中学から高校、高校から大学へ。
学生から社会人へ。
会社員から役職者へ、会社員から自営業へ──。

人生には、いくつもの“節目”があって、そのたびに
「ここから先は別の世界かもしれない」
と、私たちは無意識に境界線を引いてしまいます。

年齢でもそうです。
29歳から30歳、30歳から40歳、40歳から50歳…
数字の区切りだけで、急に「大人にならなきゃ」と思ったりしますよね。

独身から既婚へ、
妻（夫）から母親（父親）へ、
そんな役割の変化にも境界線を感じるものです。

でも実は、
自分の中に作った境界線は、破ることができる唯一の境界線なんです。

一歩こえてみると、「あれ、意外と大丈夫かも」と思う瞬間が来ます。

“こっち側”から“あっち側”へ行くことは、思っているよりずっとシンプルです。

未知のものは、どうしても怖く見えます。
不安にもなるし、面倒くさく感じる時もあります。

でも、人って本当に“なんとかなる”力を持っています。
だから必要以上に自分を止めなくて大丈夫。

どうか、自分を信じて、
あなたの中の境界線を、少しずつ乗り越えていきましょう。

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