店に入ると昼間なのに薄暗く、ウッディな大人のバーに迷い込んでしまったような錯覚に陥る。思わず洋酒などをオーダーしてしまいそうになるくらい落ち着くカフェであり、昼からちょっと夜のバー気分を味わいたいときにはいいだろう。
しかも、ビルの3階にあって階段じゃないと登ってこれないので、ますます隠れ家である。
しかし、メニューを見ると、雑穀、無農薬、和三盆などの「和」や「健康」な文字がずらっと並んでいる。ランチメニューも体に良さそうな中身で、思わず食指が動いてしまう。いかんいかん、この後何軒もの店を回らなければいけないのだ!と心を鬼にする。しかし、ここでコーヒーも興ざめかと思い、お勧めメニューの中にあった「十六穀ともち米のお汁粉」をオーダーする。普段、私はお汁粉など食べたいとは思わないのだが、薄暗く落ち着く雰囲気の中、ちょっとまったりしたいなあ、というときには、酒もいいが、甘いものも格別である。私が座った席には天井からランプがすぐ目の前まで降りてきていて、スポットライトのようにテーブルの上を照らしている。
窓際はさすがに日が入るから、そんなことはないのだが、壁側はすべて間接照明であるから、すぐ近くに座っている人の顔もいまいち判別できない。そうすると間仕切りを作らなくても、プライベートな感覚が実現できるわけだ。ゆえに、否応なく落ち着いてしまうのである。さて、運ばれてきたお汁粉は、予想通りやさしい甘さで、じっくりと舌になじみ、そして、体が心持ほっこりあったかくなるおいしさである。あったかいお汁粉の上にアイスクリームが乗っているのだが、これがまたいいバランスで非常においしい。病み付きになること請け合いであり、思い切りがーっとかきこんで「おかわり!」と言いたい気分にさせられた。