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化学物質過敏症 絵で語る
奈良の中3作品展 「知るきっかけに」
身の回りにある様々な化学物質で体調不良を引き起こす「化学物質過敏症」。
この病気と食物アレルギーに悩まされている奈良市の中学3年の男子生徒で、作家名「SHOTARO」さん(14)が描いた絵を集めた作品展が、市内のコンビニで開かれている。
周囲の理解を得にくいという病気だけに、関係者は「展示を通じて少しでも病気を知るきっかけになってほしい」と話している。(有留貴博)
コンビニに展示されているSHOTAROさんの作品(奈良市で)
SHOTAROさんが描いたゾウの親子
作品展の会場は、奈良市のファミリーマート奈良鶴舞西店の一角。色鉛筆で描いたゾウの親子やシロクマ、デジタル技術を使って描いたウミガメといった11点がイートインスペースの壁に飾られている。絵とともに化学物質過敏症の説明も掲示している。
SHOTAROさんの母(47)によると、生後まもなく重度の化学物質過敏症と食物アレルギーを発症。
化学物質過敏症は、柔軟剤や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質に反応、めまいや吐き気、湿疹など体調不良を引き起こす。
発症の仕組みは未だに明らかになっておらず、治療法も確立されていない。
SHOTAROさんは皮膚炎などの症状のため、生活に制約がある。
小学校の頃は様々な支援で学校に通うこともできたが、中学校では難しく、自宅で過ごす時間がほとんどという。
そんな中で作品展開催にいたったのは、今年1月に亡くなった奈良市議の林政行さんと知り合ったことからだ。
林さんが約1年前、京都市のアーティスト山里敬美さんに「何か彼がやりがいの感じられることができないか」と相談。
すると、山里さんはSHOTAROさんが絵を描くことが好きでデッサン力があったことから作品展を提案した。
「画廊を借りる方法ではなく、多くの人が関わることで、応援のメッセージを伝えることになる」として、山里さんの縁でファミリーマートに打診し、同店の協力を得る形で開催できることになった。
絵を色鉛筆で描いているのは、鉛を含む鉛筆や絵の具は症状が出て使えないため。
色鉛筆も症状が出るものがあり、特定のメーカーのものしか使えないという。
SHOTAROさんの母は「展示を通じて、この病気が気持ちの問題やわがままではないことを少しでもわかってもらえたら」と話している。