有機フッ素化合物の水汚染 第二のダイオキシン問題になるか | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

ニュースレター第122号 2020年4月

・有機フッ素化合物の水汚染 第二のダイオキシン問題になるか
事務局・ジャーナリスト 植田武智
永遠の化学物質
有機フッ素化合物とは
 有機フッ素化合物とは、炭素にフッ素が結合した化合物の総称で、その代表的なものが PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸、またはペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(パーフルオロオクタン酸、またはペルフルオロオクタン酸)です。
 有機フッ素化合物の特徴は、環境中に放出された後も分解されずに残留しつづけることです。また生物の体内にも蓄積しやすい性質を持っています。

海外では「永遠に残る化学物質(フォーエバーケミカル)」と呼ばれ、ダイオキシンやポリ塩化ビフェニル(PCB)のような問題となることが懸念されています。
 代表的な PFOSとPFOA については、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」で、2009年と2019年に製造・輸入・使用が原則禁止されました。

しかし、それ以前に使われてきたPFOSとPFOA による環境汚染は継続しています。

沖縄では米軍基地での泡消火剤由来と疑われる地下水・水道水汚染が問題になっており(「JEPAニュース」118号)、また同様の汚染が東京多摩地区の地下水や水道水からも見つかっています(朝日新聞2020年1月8日付)。
PFOSとPFOA の摂取による有害影響として、大人ではがん(精巣・腎臓)、高コレステロール血症、潰瘍性大腸炎などが、子どもでは低出生体重、ぜん息などの免疫異常、甲状腺ホルモンのかく乱、脳の発達阻害などが指摘されています。


飲料水への有機フッ素化合物の基準設定の動き
PFOSとPFOA に関しては、世界各国で耐容一日摂取量(TDI)が設定されています。2012年頃までは、人の実際の摂取量は、TDIよりはるかに低いから問題ないと考えられてきました。

しかし近年、新しい毒性試験の結果から TDI の設定は下げられています。

2018年に欧州食品安全機関(EFSA)が決めた耐容週間摂取量(TWI)で見ると、かなりの割合の人たちが基準を超えるPFOSとPFOA を摂取していることになります。
 飲料水について残留量の目標値を設定する動きが出てきています。
汚染がひどい米国では、2016年に飲料水への基準(生涯健康勧告値)を PFOS/PFOA 合計で水1ℓ当たり70ng に設定しました。
 日本でも、厚労省で飲料水水質基準に、PFOS/PFOA での暫定目標値の設定が検討され、2020年4月から従来の「要検討項目」から「水質管理目標設定項目」に格上げし、暫定目標値として、PFOS/PFOA の合計で、水1ℓ当たり50ngと設定することが決定されました。

それに伴い環境省でも、公共水域の水質基準として同じ値が設定されました。
スウェーデンでは、水道水について PFOS/PFOA を含む有機フッ素化合物11種の合計で基準値を設定していますが、日本では PFOS/PFOA以外の有機フッ素化合物についての基準値設定の動きはありません。

 

水道水高濃度汚染地域の調査を
 現在東京都は、東京都水道局のホームページで、多摩地区の浄水所のうち、PFOS/PFOA が検出された一部の井戸については、一時停止するなどの暫定的な対応を行い、水道水中の濃度は低く保たれており安全だと説明しています。
しかし先述の朝日新聞の報道によれば、東京都が井戸からのくみ上げをやめたのは2019年6月。それ以前は浄水所の水は基準値を超えていた疑いが高く、その水道水を長年飲み続けた地域住民の人たちの体内に、PFOS/PFOA がどれくらい溜まっているのか、血液中のコレステロールや中性脂肪などが高くなる脂質代謝異常などは起きていないのか、ぜひ調査すべきだと思われます。