3:食品や環境中の化学物質と子どもの健康 | 化学物質過敏症 runのブログ

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プラスチック可塑剤は、子どもの言語発達を遅らせる
フタル酸エステルは、マニキュア、ヘアスプレー、食品包装だけでなく、ビニル製の床材や化粧品などにも広く使われています。

米国のマウントサイナイ医科大学のシャナ・スワン博士らは、母親が妊娠初期にフタル酸エステルにばく露すると、子どもが3歳になった時点で言語発達の遅延がみられる可能性が高いと報告しました。

シャナ・スワン博士は、フタル酸はホルモンに作用し、内分泌機能に影響を及ぼすことが知られており、とくにフタル酸エステルの2成分、フタル酸ジブチル(DBP)やフタル酸ブチルベンジル(BBP)が、妊娠初期の妊婦のテストステロン(男性ホルモン)値を低下させるため、この作用により子どもの知能発達に影響を与えるメカニズムが説明できるとしました。

妊娠中にマニキュアを多用すると、子どもは言語の発達が遅れるかもしれないので注意が必要です。

食品中の有機リン系殺虫剤
2000年頃の学校給食のパンには有機リン系殺虫剤がかなり残留していました。

有機リン系殺虫剤は副交感神経を過剰に興奮させて、多動や注意欠如、うつ状態、アレルギー症状の悪化などをもたらします。

当クリニックの診療では、学校給食のパンを長年食べ続けてきた学校の先生に、喘息やアトピーが多く見られました。

米国では、子どもの尿中有機リン系殺虫剤に使われる化学物質の代謝産物の濃度が高いと、注意欠如・多動性障害(ADHD)のリスクが上昇するとの報告があります。

同じように家庭でよく使われるピレスロイド系の殺虫剤によっても、ADHD が増加すると報告されています。

ですから、子どものいる家庭では、防虫剤を入れて収納していた寝具や衣類は掃除機をかけたり洗濯をしたりしてから使いましょう。

有害なトランス脂肪酸に注意
トランス脂肪酸はショートニング、市販の植物性油脂、スナック菓子やインスタントラーメン、人工ミルクなどに含まれていますが、とくにマーガリンに多く含まれています。

トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、アレルギー疾患の罹患率が上がるといわれています。

さらに、胎児や乳幼児の発達に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

それはトランス脂肪酸に細胞膜の機能を悪くする働きがあり、脂質代謝にも影響を与えるからです。

また、トランス脂肪酸を多く摂取すると、子どもの学習能力や運動能力が低下し、体全体に悪影響を及ぼします。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、2015年マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸を採り過ぎると心臓病などのリスクを高めるとして、食品への添加を3年以内に全廃すると発表しました。

食品への使用に関して「一般的に安全とは認められない」と結論づけました。さらに2018年 世 界 保 健 機 構(WHO)は、2023年までに世界の食品からトランス脂肪酸を一掃するための段階的な戦略を発表しました。

ところが日本では、2018年末時点では、この問題に対する国の姿勢には進展が見られません。一方で、企業がトランス脂肪酸を減らしたマーガリンを販売するようになり、小さい子どもたちのアトピー性皮膚炎は軽減しているように見えます。

(報告:水野 玲子)