5:プラスチック汚染の危機にどう対処するか | 化学物質過敏症 runのブログ

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・プラスチック戦略のあり方
 では、このような利点と問題点を踏まえて、持続可能な社会を構築する上で、私たちはプラスチックにどのように対処すべきでしょうか。
 プラスチックが海洋でマイクロプラスチックとなって長時間残留し、地球の海全体に広がって回収不能であることや、そのマイクロプラスチックが有害物質を吸着し、野生生物に取り込まれ食物連鎖を通じて地球生態系に重大な影響を及ぼすおそれがあることは、たとえプラスチックにどのような利点があっても、持続可能な社会を構築する上で決して看過することのできない重大な問題です。

このようなプラスチックの性質が改善されるか、又は海洋への流出を完全に防止できない限り、人類にとってプラスチックはコントロール不能な素材であり、DDT、PCB などのPOPs 同様、原則として廃絶するしかないと思います。

DDT やPCBも、その利便性の高さから発明当時は絶賛され、のかという根本的な考察が完全に欠落しています。

そのため、実現可能性に疑問が残るものにとどまっていると言わざるを得ません。
ノーベル賞なども授与されたにもかかわらず、数十年後には、地球規模で汚染が広がり、人や野生生物の体内に蓄積して生態系に重大な影響を及ぼしていることが判明し、使用廃絶することになりました。

このような「利便性の落し穴」を、私たちは忘れてはなりません。
 また、言うまでもなく、プラスチックは石油から作られており、その意味で石油時代の申し子です。

脱炭素社会を構築する上では、これまでのような使い捨ての大量使用は抜本的に改める必要があります。
 さらに、プラスチックの循環利用をする場合には、有害物質を排除する規制の導入が不可欠です。

プラスチック製品への有害化学物質の含有を禁止するとともに、添加剤については安全性が確認された物質のみ使用を認めるポジティブリスト制をすみやかに導入することが求められます。
 このように、プラスチックという素材については、現在のような使い捨ての利用はすみやかに廃止するとともに、他の製品については、用途ごとにその必要性・代替可能性・社会的経済的影響を勘案して段階的に廃止年限を定め、どうしても代替品がない用途についてのみ例外的に使用を認めるべきです。

また、循環利用を認める場合には、製品への有害化学物質の使用禁止及び添加剤のポジティブリスト制の導入、並びにその表示の義務化を行う必要があります。

このような基本方針を定めるとともに、用途ごとの使用廃絶までのプロセスを総合的・計画的に進めるための戦略こそが、プラスチック汚染の危機を回避するための「プラスチック戦略」のあり方ではないでしょうか。

手遅れになる前に、環境省のみならず国を挙げて、このような戦略が策定されることを心より願っています。