・グリホサート曝露とパーキンソン病グリホサート/「ラウンドアップ」などグリホ
サート製剤曝露と,パーキンソン病発症との関連を示唆した症例が4 件,報告されている。
2 件は誤って農薬散布を大量に経皮曝露した中国39とブラジル40の症例,1 件は3 年間「ラウンドアップ」を使用して慢性曝露した中国41の症例で,曝露から数週から数カ月後にパーキンソン病を発症し,論文の著者らは「ラウンドアップ」曝露による発症の可能性を示唆している。
もう1 件は,日本で自殺目的で「ラウンドアップ」を服毒した後,一旦は回復したが4 年後にパーキンソン病を発症した例が報告されている42。グリホサート曝露とパーキンソン病発症との因果関係は明らかではないが,パーキンソン病の発症には過剰な活性酸素が関わっていることは以前から言われており,グリホサートにも活性酸素の発生による神経毒性が報告(〈上〉文献41)されており,グリホサートの金属キレート化によるSOD の不活化の可能性,さらに動物実験ではドーパミン神経細胞が細胞死を起こした研究43もあるので,パーキンソン病発症の一因となっている可能性も考えられる。パーキンソン病はパラコートやロテノンなど,農薬曝露との関係が明らかとなっており,フランスでは2012 年,農業従事者の職業病と認定した44。