5:「ラウンドアップ」のヒトへの発がん性と多様な毒性〈下〉 | 化学物質過敏症 runのブログ

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以上のようにメチル化に関する多数の論文が出ているところから考えると,ある条件下でグリホサートがDNA のメチル化に変化を起こすことは確実であろう。
グリホサートがどのようなメカニズムで,DNA のメチル化に変異を起こすのか,今のところ詳細はわかっていない。

これまで環境ホルモン作用をもつ物質が,DNA のメチル化に変異を起こす報告32が多数あることから,グリホサートの環境ホルモン作用が関わっているのかもしれない。
また活性酸素はDNA のメチル化異常を起こすことが報告33されていることから,グリホサートがNMDA 型受容体を介して発生させる活性酸素が関与している可能性や,グリホサートの金属キレート化による活性酸素不活化酵素SOD の機能低下が関わっているかもしれない。

さらに,DNAの合成やメチル化に重要な葉酸回路におけるメチル基の供給源は,グリシンかセリンであることから,グリシン類似物質のグリホサートがこの葉酸回路を攪乱・阻害している可能性もある34。
DNA のメチル化は,遺伝子発現の調節を担っており(図2B),一旦起こるとその細胞だけでなく,細胞分裂後も通常引き継がれるので影響が大きい。
さらに,前述したように生殖細胞に起きたDNAのメチル化の変異は,次世代以降に引き継がれるゲノム・インプリンティングの可能性も示唆されている。

これまで環境ホルモン作用をもつダイオキシン,プラスチック原料ビスフェノールA,除草剤ビンクロゾリンなどの化学物質などによって,DNA のメチル化に変異が起こり35,その一部は次世代,次々世代に引き継がれる36ことが動物実験で複数報告されている。
一方DNA メチル化の変異が,ヒトで世代を超えた影響を起こすのかどうかは,実証が難しく,現在のところ研究者によって見解が異なっている37, 38。

しかし,動物実験で起こったことは,ヒトでも起こる可能性がある。

予防原則の立場からこのエピジェネティックな影響を考えると,グリホサートは使用規制や禁止を早急に検討すべきと考える。

現行の農薬の毒性試験には,繁殖試験など次世代影響は入っているが,三世代までの影響は調べられていない。

今後,農薬の毒性試験にDNA のメチル化などエピジェネティックな影響についての試験も必須とすべきであろう。