6:「ラウンドアップ」のヒトへの発がん性と多様な毒性〈上〉 | 化学物質過敏症 runのブログ

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一方,米国では「ラウンドアップ」などのグリホサート製剤の曝露により,がんを発症したとする訴訟が1 万件以上も起こっており,そのうち2018 年に2 件,2019 年に1 件,患者側が勝訴して,モンサントならびにバイエル社に賠償金として数百億円が課せられた。
この混乱は,企業関係者が評価に関与した疑惑が関わっているだけでなく,化学物質の有害性を評価する上で,ハザード評価とリスク評価による違いも関わっている。

ハザード評価では化学物質のもつ有害性を評価し,リスク評価では有害性だけでなく曝露量を加えて評価する方法だ。

DNAに損傷を及ぼす遺伝毒性のある物質については,従来ハザード評価が取られてきたが,現実的でないとしてリスク評価が適当とする考え方もあり,現在も議論が続けられている。

上記の国際評価のうち,IARC はハザード評価をしており,FAO/WHO やEPA はリスク評価として捉えている。
曝露量はともあれ,両機関がグリホサートの発がん性について,否定しているようではない。
発がん性についてはまだ議論が継続中だが,予防原則の観点からは,グリホサートは既に規制・禁止すべき物質と考えられる。グリホサートによる発がんのメカニズムについては,最近の研究を紹介してから,続編で考察したい。

グリホサートの多様な生体影響から,複数の要因が絡んだ発がんのメカニズムが想定される。まずは,農薬原体グリホサートと農薬製剤(「ラウンドアップ」など)の毒性の違いから見えてきた,農薬添加物の毒性について現在わかってきたことから紹介したい。
*6―IARC(国際がん研究機関)は,世界保健機関(WHO)の一機関で,ヒトに対する発がん性に関する様々な物質・要因を評価し,5 段階に分類している。

1:ヒトに対する発がん性がある,

2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある,

2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある,

3:ヒトに対する発がん性について分類できない,

4:ヒトに対する発がん性がない。
IARC による発がん性の分類は,ヒトに対する発がん性があるかどうかの「根拠の強さ」を示すもので,物質の発がん性の強さや曝露量にもとづくリスクの大きさを示すものではないとしている。
*7―国内ではダイアジノン,マラチオンの使用は継続しているが,パラチオン,テトラクロルビンホスの登録はすでに失効している。