・https://www.env.go.jp/air/osen/voc/seido/001.pdf
揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制制度の概要
1.趣旨・経緯
○浮遊粒子状物質(以下「SPM」という )や光化学オキシダントに係る大気汚染の 。
状況はいまだ深刻であり、現在でも、浮遊粒子状物質による人の健康への影響が懸念され、光化学オキシダントによる健康被害が数多く届出されており、これに緊急に対処することが必要。
○SPM及び光化学オキシダントの原因には様々なものがあるが 揮発性有機化合物 以 、 (
下「VOC ( の略)という )もその一つ。VOCとは、 」 。
volatile organic compounds揮発性を有し 大気中で気体状となる有機化合物の総称であり トルエン キシレン酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれる。
○このため、SPM及び光化学オキシダント対策の一環として、VOCの排出を抑制するため、平成 年5月に大気汚染防止法を改正した。
○さらに、平成 年5月、6月に大気汚染防止 17 法に基づく大気汚染防止法施行令(政令)大気汚染防止法施行規則(省令)を改正し、また、VOC濃度の測定法を環境省告示で定めた。
○これらを受け、VOCの排出規制が平成 年4月1日より開始される。 18VOCに係る排出規制と事業者の自主的取組とをともに推進し 平成 年度までに 、 22工場等の固定発生源からのVOC排出総量を平成 年度比で3割程度抑制すること 12を目標とする。
2.改正大気汚染防止法の主な内容
(1)定義
○大気中に排出され、又は飛散した時に気体である有機化合物(浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならない物質として政令で定める物質を除く )を 「揮発性有機化合物(VOC 」として定める。 )
○工場・事業場に設置される施設で、VOCの排出量が多いためにその規制を行うことが特に必要なものを 揮発性有機化合物排出施設 以下 VOC排出施設 という 「 」(「 」 。)として定める。
(2)施策の指針
○VOCの排出規制と事業者の自主的取組とを適切に組み合わせて(ベスト・ミックス 、効果的な排出抑制を図る。 )
(3)排出規制
○VOC排出施設を設置し、又は構造等を変更する際には、都道府県知事への届出を義務付ける。
○既設のVOC排出施設については、規制の施行の日(平成 年4月1日)から 日 18 30以内の届出を義務付ける。
○VOC排出施設の排出口におけるVOC濃度の許容限度として排出基準を定め、その遵守を義務付ける。
○都道府県知事は、排出基準に適合しないと認めるときは、届出に係る計画変更命令又は構造等の改善命令等を行う。
○VOC排出施設におけるVOC濃度の測定及び記録を義務付ける。
○計画変更命令及び改善命令に違反した者は、1年以下の懲役又は 万円以下の罰金 100に処する等の罰則を設ける。
3.政令の主な内容
(1)VOCから除く物質の指定
○前述のように、浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならない物質は、規制の対象となるVOCの範囲から除くこととした。
○除く物質としては、従来の大気汚染対策の中でオキシダント生成能が低い物質として扱われてきたメタンに加え、それと同等以下のオキシダント生成能を有する物質であって、かつ、我が国のVOC年間排出量に占める割合が一定量以上あるもの( % 0.01を超えるもの)として7種類のフロン類を指定した。
○除外物質は、揮発性有機化合物排出施設において使用し、又は発生させている場合において測定する。
また、測定に係る負担の軽減の観点から、VOCの排出濃度が排出基準値以下の場合には、除外物質の測定をする必要はない。
(2)規制対象施設の指定
○VOCの多くは、塗料、接着剤、インキ等に溶剤として含有しているため、塗装、接着、印刷関係施設からのVOCの排出が多い。
また、VOCを溶剤として使用する化学製品製造関係施設からの排出や、VOCを洗浄剤として使用する工業用洗浄施設からの排出がある。
また、ガソリン等の石油類をはじめとするVOCの貯蔵タンクからも、通気口を経てVOCが排出される。
○今回のVOC規制は自主的取組を最大限に尊重した上での限定的なものであることを踏まえ、前述の施設のうち、法規制を中心にVOCの排出抑制を図っている欧米等の対象施設に比して相当程度大規模な施設が規制の対象となるようにした。
○EUのVOC規制における規制対象施設の規模要件(VOC年間消費量)は、我が国で規制対象になると思われる施設については概ね ~ トン/年であることから 0.5 25 、それと比べて「相当程度大規模」である施設としては、 トン/年程度の潜在排出 50量(処理装置を設置していない場合の排出量等)が目安になると考えられる。
○ただし、規模要件については、大気汚染防止法においては、事業者及び規制当局が外形から容易に判断できる指標(外形指標)を用いていることから、年により変動の大きい トン/年 そのものは規模要件とはせず 「」 、 「 50 排出量の多寡と相関性がある 送風機の送風能力」等の外形指標を採用して、「 トン/年」に相当する規模要件を定めることとした。
○以上の考え方により、規制の対象となるVOC排出施設として、9種類の施設を指定した(別表参照 。)