・給食エプロンの洗濯:いい匂いが「香害」に
以前「シックスクール」という言葉がありました。
今でも新築や改築をした時に、壁や家具などの材料や塗装剤から出る化学物質に体が反応してしまい、気分が悪くなって教室に入れない子が時々います。
「化学物質過敏症」と診断される子もいます。
暮らしの中で使われている化学物質に過敏に反応して、生活に支障をきたすのです。
学校の増改築ではかなり気を使い「基準以下」の塗装剤や材料を使用することになっています。
しかし、基準と言ったって、過敏な子供にとっては「それって誰の基準ですか?」ということになり、十分ではありません。
環境基準というのは、厳しければ厳しいほどいいのです。
今は食物アレルギーを持つ子供の給食への配慮は当たり前になっていますが、20年前は「少数の子供達の特別なこと」だったのです。
最近、みんなで使う給食エプロンは無香料の洗剤で洗って欲しいと言っています。
自分の子供が給食当番だと、週末に給食エプロンを洗うために家に持ち帰ります。
親としては次に使うこともが清潔に使えるように気を使いますが、洗剤の香料に激しく反応する子が時々います。
「洗剤の香料なんかで反応するの?」と不思議に思うかもしれませんが、当人にとってはかなり厳しいです。
めまいや頭痛で来られなくなる子もいるのです。
「香害」と言っても良いかもしれません。
汗や体臭を抑えるために、デオドラント効果のある薬屋洗剤を使う気持ちも分からないではないのですが、その薬品のにおいで苦しんでいる子供たちもいるのだということを知ってほしいと思います。
自分の「いい匂い」は万人共通ではありません。
匂いも自然に勝るものはないのです。
小学校教員、育児雑誌編集者
東京新聞 2019年 10月4日
岡崎 勝