2:薬剤性アナフィラキシーの診断と治療 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

起因薬
本邦における薬剤誘発性アナフィラキシー・蕁麻疹の原因物質の中で原因として最も多いのは抗生物質である(表1)3).

ついで多いものには解熱鎮痛消炎剤,X線造影剤,酵素製剤などがある.多くの場合は単純化学物質によって引き起こされるが,インスリンのような蛋白やカルボキシメチルセルロースのような糖類が起因物質となる場合もある.

また主剤以外の添加物が原因となることもある.ガンマグロブリン製剤や血小板などの血液製剤によって誘発されたり,後述のように食物アレルギーに関連して発症する場合もある.


図1. 薬剤による肥満細胞からの脱顆粒促進機序.
(文献2より,一部改変)
抗菌薬
薬剤誘発性蕁麻疹・アナフィラキシーを誘発させる抗菌薬の中で本邦において最も報告が多いのはセフェムであるが,中でもセファクロルである4).

セファクロルについで報告が多いのは塩酸セフォチアムであるが,接触蕁麻疹を惹起しやすくアナフィラキシーなどの重篤な症状を呈するものが多い5).

塩酸セフォチアムによるものは点滴薬の作成時に感作されることが多く,看護士などの医療関係者に発症しやすかった.

最近は薬剤が皮膚に付着しないように点滴薬を作成できるキットが使用されるようになり,報告数が減っている.その他ではミノサイクリンによるものが多い.
ペニシリンはベータラクタム環を有する抗生物質であるが,その抗原認識の仕方には2 種類あり,ペニシロイル基の骨格構造を認識する場合と,側鎖構造を認識する場合がある6).

前者の方が交叉反応を起こしやすい.

セファロスポリンもまたベータラクタム環を有する抗生物質であるが,ペニシリンとセファロスポリンとの間の交差反応性については一定の見解がないのが現状である.

ペニシリンとセファロスポリンとの間で交差する場合があるので注意が必要である.

このことから即時型のペニシリンアレルギー患者ではセフェムを使用する場合は皮膚テストを行った方が良いとの意見もある7).

興味深いことにセファクロルのI 型アレルギーではこの薬剤ときわめて構造が類似しているセファレキシンには交叉反応を示さないことがある8).

この両者の違いはCl がH 基に変わっただけであり,特異IgE 抗体は抗原決定基のこのような小さな違いを認識する場合がある.
表1 薬剤によるアナフィラキシー・蕁麻疹*