7 -第3回 悪臭の対策技術(脱臭装置に頼らない対策 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2-6 その他の方法
その他の対策としては、排出口の位置を移動させて悪臭問題を解決した事例がある。
工場建設当初は周辺に住居がなかったために 排出口を北側に設置していたが、最近北側に住居が多くなってきたので、南側に排出口を移動して対策をとったケースである。
このような対策は比較的多くみられる。
また、工場の操業時間を、近隣への悪臭被害を低減するため、夜間に作業を移している工場もある。

皆さんは詳しくはご存じないかもしれないが、不用になったことにより廃棄された牛・豚などから飼肥料などを製造する獣骨処理工場、廃棄された魚から同じく飼肥料などを製造する魚腸骨処理工場などを化製場(かせいじょう)と呼ぶが、これらの工場は比較的強烈な悪臭を発散するため、昔から悪臭対策には苦慮していた。

現在は工場も近代化され悪臭の発生も少なくなってはきているが、家畜及び廃棄された廃魚の収集は夜間に行われ、工場内における製造も夜間に行われ朝には終了しているケースもある。
このように稀ではあるが操業時間を変更し、悪臭対策を講じている工場もある。

また残念なことではあるが、悪臭問題が理由で操業を停止したり、他に移転しているケースも畜産関係などで発生している。
3 おわりに
悪臭対策の難しいのは、感覚公害であるために、事業者と悪臭被害者の関係についても難しい。

近年飲食店に対する悪臭苦情が問題となっているが、あるラーメン屋に対する悪臭苦情が近隣から区役所に出されたケースがある。悪臭苦情申立者は近くのマンションに住む住民の一人であったが、よく話を聞いてみると、ラーメンを作る際のにおいよりは、ラーメンを食べに来る人の違法駐車や道路への違法駐輪の問題を強く訴えていた。

このように悪臭以外の不快感が悪臭被害にもつながってしまうのも、この悪臭公害の特徴である。
悪臭公害が発生した場合には、苦情を訴えている人の話を十分に聞き、また、工場内をしっかり検証し、事業者の意見も把握する必要がある。

また、類似の工場でどの程度まで悪臭対策を実施しているかという情報を集めることも重要である。
今回の掲載にあたっては、悪臭対策の中でも新たに燃焼式や吸着方式などの脱臭装置を導入せず、実施が可能な悪臭対策について紹介した。このような対策方法は、現場においては非常に重要となる場合が多い。

工場側は、高額な経費が掛かる対策にはあまり乗り気にならないケースが多いからである。

当然、経費が掛かっても実施してもらう必要があることも多いが、工場側にとっても、経費の削減につながったり、作業環境の改善につながることは有効であり、近年このような悪臭対策が広く採用されるようになってきており、このような悪臭対策は、事業者だけでなく、悪臭被害者にとっても有効な対策となるものである。
参考文献
※)環境省:悪臭防止法施行状況調査の結果